薬学部

Faculty of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences

病態生理・ゲノム機能学研究室

病態生理・ゲノム機能学研究室

病態生理・ゲノム機能学研究室(GFP : Laboratory of genomic function and pathophysiology)では、生化学的また遺伝子工学的手法を用いて、病気になる原因・現象を遺伝子レベルまで解明・理解しようと、日夜研究に励んでいます。実際には、病態(脳卒中、注意欠如・多動症)モデル動物と健常(対照)動物を比較検討することにより、疾病の原因・現象を理解し、ヒト疾病の原因のヒントを得たいと考えています。また、当研究室では、学生と常にコミュニケーションを図りながら、「 人格に優れた薬剤師 」 の育成をモットーに、教員共々、日々精進しています。

お知らせ

 

研究内容

1.脳卒中易発症および注意欠如・多動症ラットのコレステロール低下機構に関する研究

コレステロールが低下すると、総死亡率、脳卒中(脳内出血)、うつ病、注意欠如・多動症、自殺、癌等の増加、免疫力の低下を生じることが報告されています。 また、コレステロールが高いと、動脈硬化、心筋梗塞の増加を引き起こします。 高コレステロール血症の場合、酸化を抑えることにより、これらの疾病をある程度防ぐことができます。 コレステロールの著しい増加は生体内に悪影響を及ぼしますが、低すぎる方がさらに悪影響を増加させることについて多くの人たちに知っていただきたいと考えています。 特に、コレステロール低下が示されている脳卒中あるいは注意欠如・多動症モデルラットのコレステロール合成酵素の発現量低下機構について研究を進めています。

2.コレステロール合成経路の調節機構に関する研究

生体に必要なコレステロールは主に肝臓で合成され、リポタンパク質に包まれた後、血液を介して各臓器に輸送されます。 その生合成はコレステロール濃度により厳密に調節されています。 コレステロールは脳(全体の20~25%)に多く存在しており、細胞膜の構成成分(神経細胞においては軸索の主要構成成分)、胆汁酸、ステロイドホルモンの形成にも関与しています。 また、コレステロール中間代謝物の7-デヒドロコレステロールは、紫外線と熱の作用によりビタミンD3(皮膚中)に変換されます。 コレステロール合成経路(1:細胞質―小胞体経路、2:ペルオキシソーム経路、3:複合型経路)は、3経路が提案されています。 しかし、コンセンサスは得られていません。 コレステロール合成酵素の1つであるメバロン酸二リン酸脱炭酸酵素(MPD)の細胞内分布を明らかにすることにより、コレステロール合成経路を明らかにしていきたいと考えています。

3.細胞接着分子クローディンの発現調節機構に関する研究

脳組織と血液を隔てる血液脳関門(blood brain barrier : BBB)の破綻は、脳卒中の発症および悪化に関与しています。血管内皮細胞において、細胞間の密着結合(タイトジャンクション)は、物質透過性の制御に重要な役割を担っています。タイトジャンクションは、接着分子であるクローディン(CLDN)により形成されています。アミノ酸相同性により分類されたCLDNファミリーはヒトにおいて27種類同定されており、それら27種の組織分布は異なります。我々は、脳に多く発現するCLDND1に着目し、脳卒中の病態との関連について解析を進めています。現在は、CLDNの機能および発現調節メカニズムの解明を通じて、脳血管疾患の治療応用への可能性を模索しています。

4.動脈硬化抑制に関わる核内受容体の標的遺伝子群の探索とその機能解析

ステロイドホルモンや、甲状腺ホルモン、ビタミンDなどの生理活性物質は個体の発生や細胞の増殖、あるいは恒常性維持に不可欠な物質です。 これら生理活性物質は細胞膜を透過し、細胞内に局在する受容体と結合します。 活性化された受容体は核へ移行し(このため、核内受容体とよばれる)、特定遺伝子の転写を活性化あるいは抑制する転写制御因子として作用します。 リガンドにより働きが調節されるという特徴から、核内受容体は創薬の重要な標的分子の一つです。 例えば、PPARαを標的とする脂質異常症薬(フィブラート系)、骨のERを選択的に標的とする骨粗鬆症薬(SERM)など、多くの核内受容体を標的とした薬剤が臨床応用されています。 一方、核内受容体RORαは、炎症、免疫、脂質や糖代謝などへ密接に関係しており、生体内で多彩な働きをする鍵因子として注目されています。 RORα欠損マウスの表現型は、脂質代謝異常を惹き起こし、HDLコレステロールの減少や、過剰な炎症反応の末に、マクロファージの泡沫化を促し、アテローム性動脈硬化を発症させます。 すなわち、RORαを含めたその標的遺伝子群の転写制御ネットワークの働きには、動脈硬化に対して抑制作用があると考えられます。そこで我々は、RORα核内受容体の機能に焦点を当て、研究を行なっています。

 

研究業績
(researchmap研究者情報)

 

スタッフ
(教員紹介)

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道原明宏教授
松岡浩史講師
志摩亜季保助手