【薬学部】第18回セルフメディケーションアワードにおいて佳作ダブル受賞!

【薬学部】第18回セルフメディケーションアワードにおいて佳作ダブル受賞!

2023年8月18日~20日に開催された第23回JAPANドラッグストアショーにおいて、一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)主催の第18回セルフメディケーションアワードの最終選考会が行われました。多くの応募の中から、薬学部6年生の西江智美さんと松本達也さんが執筆した論文が、それぞれ佳作に選ばれました。詳しい内容について、薬学部の道原教授からの報告を、薬学部ブロガーのY.Sが紹介いたします。

 


 

第18回セルフメディケーションアワードのポスター

JACDSの目的

JACDSは、チェーン化を指向するドラッグストアの社会的な役割を果すために、以下の3つのことを主な目的として設立されました。
1) 健康産業としてのわが国のドラッグストア業態の産業化の推進
2) ドラッグストア産業の具体的な発展、育成に必要な情報の収集・提供
3) ドラッグストアを取り巻く生活者、産業界、行政に対する建議、提言を行い、国民の健康と豊かな暮らしに寄与

セルフメディケーションアワードの募集テーマと学生部門賞

本アワードの募集テーマは、大きく分けて3つあります。
1) 薬局・ドラッグストアにおけるセルフメディケーションの推進
2) 街の健康ハブステーション構想の実現に向けた取り組みの紹介や提言
3) 地域包括ケアへの対応、多職種・地域連携や在宅支援、地域生活者の健康支援等に関する取り組みと成果

本アワードの学生部門で授与される賞は、3つあります。
◆ 特別賞(学生最高賞:1名)
◆ 佳作(次席クラス:数名)
◆ 奨励賞(10名)

佳作以上の賞に選ばれた論文は、優秀作品集としてまとめられ、多くの人たちが観覧できるようになっています。2023年度優秀作品集(PDFファイル)

 今年度は、学生120名の応募の中から、8名の論文が佳作以上の優秀作品に選ばれました(特別賞1名、佳作7名)。福山大学から学生2名が応募し、2名が共に「佳作」に選ばれました。では、学生2名の論文の内容と喜びの声を聞きたいと思います。

佳作をダブル受賞した西江さん(左)と松本さん(右)

薬学部6年生、西江智美さんの佳作受賞

佳作を受賞した西江さん(病態生理・ゲノム機能学研究室所属、岡山県立井原高等学校出身)

論文タイトル:薬学生とドラッグストアの新しい関わり方~情報提供を視野に入れた取り組みの思案~

内容:大学1年次から4年間、調剤を伴わないドラッグストアでアルバイトをしていました。その経験の中で、体調を崩した来訪者の多くは、薬剤師や登録販売員に対し、何の薬を購入したらよいか尋ねた後、OTC医薬品等を選択する傾向が強いことに気が付きました。しかし、ドラッグストアで働くスタッフは、商品・在庫管理や発注などの店舗業務に日々追われ、セルフメディケーションを推進するために必要な時間を割くことは難しい状況でした。医薬品等の知識を学習する薬学生が、セルフメディケーションの推進、さらには自身の知識向上のために、医薬品・サプリメント・食品の有用な情報を修得し、それらに関連する分かりやすい動画やポスターを作成後、来訪者に情報提供することができれば、学生自身だけでなくドラッグストア・来訪者、延いては地域住民等に対して、相互利益をもたらす関係性の構築に寄与できると考えました。そこで、薬学生がドラッグストアで行う動画作成と視聴における具体案ならびに意義についてまとめました。

西江さんの感想:今回、私は、1年生の時から4年間続けてきたドラッグストアでのアルバイトを通して感じたことを第18回セルフメディケーションアワードに応募させていただき、佳作に選んでいただけたことはとても嬉しく思います。薬剤師を目指す薬学生がドラッグストアにおいてイラスト動画作りに関わることは、将来の就職先の候補、自身の知識向上だけでなく、一般市民に対するセルフメディケーションの関心も高めることから、ドラッグストア・学生・一般市民の相互利益に繋がると考えています。今後は、薬剤師としてセルフメディケーションの向上に繋がるようなことに取り組んでいきたいです。

 

薬学部6年生、松本達也さんの佳作受賞

佳作を受賞した松本さん(病態生理・ゲノム機能学研究室所属、京都府立西舞鶴高等学校出身) 

論文タイトル:ドラッグストアが支援する学生主導型認知症カフェの提案

内容:地域の認知症者や介護者、認知症家族を支える認知症カフェは現在全国各地で開催されています。開催にあたる基本的な方針は地方自治体が定めていますが、開催日時や参加費用、行う内容等は運営スタッフが決めることができます。そのため、地元の特色や参加者の希望に合わせた自由な企画・運営をする事が可能です。しかし、運営に必要な物資は、地方自治体から支給される補助金から購入する規則があり、外部から物品を受け取ることが出来ません。この規則よって、「ドラッグストアから余った物品を支給してもらうことができれば、お菓子や飲み物に使っていた費用を他のことに使用できる」という案は実現できませんでした。自治体から補助金を得て開催する従来の認知症カフェでは、参加者が楽しめる自由な企画を考えても自治体の方針により実現できない可能性があると考えました。そこで、自治体に縛られない学生主体の認知症カフェが実現できれば、自由な発想を生かしたより良いカフェとなると考え、論文としてまとめました。

松本さんの感想:私は2022年4月から広島県福山市で開催されている認知症カフェにスタッフとして参加してきました。その中で「もっと参加者の方々が楽しめるカフェを開催したい」との思いで論文を投稿しました。実現にはまだ困難が多いアイデアですが、こうして佳作として評価していただけたことにとても感謝しています。5年次のふるさと実務実習の期間中に、私の地元である京都府舞鶴市でも認知症カフェが開催されていることを知り、大学卒業後は地元に就職し、今度は大学で得られた経験・企画を地元で生かしていきたいと思っています。

 

未来創造館5階オープンラボにて、同級生や後輩から祝福を受ける受賞者の二人

道原教授から一言:西江さん、松本さん、受賞おめでとう!お二人には、この福山大学で培われた経験を活かし、是非、セルフメディケーションアワードグランプリを目指して頑張ってほしいですね!期待していますよ! 学生諸君!できるかできないかは関係ありません。自分がいいなと思うこと、それを自分の手で形にしてみましょう! きみたちのパッション、熱い思い、いつでも待っています! 私の想い、君に届け!

 

 

学長から一言:セルフメディケーション、つまり自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすることを推進するのに役立つ経験や構想をまとめ上げた論文に対して、チェーン店化した薬局の協議会から表彰された西江智美さんと松本達也さん、おめでとうございます。薬学部で6年間学ぶ中で身につけた知見が大いに物を言ったのでしょう。後に続く学生諸君にとって良い手本となりました。