【薬学部】健康管理と地域の健康増進イベントを学修する教養教育科目「セルフメディケーション」

【薬学部】健康管理と地域の健康増進イベントを学修する教養教育科目「セルフメディケーション」

本学の教養教育科目「セルフメディケーション」の取り組みについて、薬学部中村講師から報告がありました。このことについて、薬学部学長室ブログメンバーのY.Sが紹介します。

 


セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」(WHOの定義)です。セルフメディケーションを推進していくことは、我々の自発的な健康管理や疾病予防の取り組みを促進することはもちろん、医療費の適正化にもつながります。

授業では、血圧・脈拍・呼吸・体温などのバイタルサイン等の学修により自己の健康管理の大切さを自覚すると共に、地域における健康増進イベントにスタッフとして参加するフィールドワークを通じて健康増進対策や福祉対策について学修しています。

また、基礎知識を習得するために、メンタルヘルス、生活習慣と健康、アレルギー、保健機能食品、サプリメントや薬の使用等についても講義で学修しています。

担当教員は、石津教授杉原教授田中教授小嶋教授竹田教授大西准教授松岡准教授上敷領准教授中村講師と、人間文化学部心理学科日下部教授です。

まず、血圧・脈拍・呼吸・体温などのバイタルサイン等について学修しました。
  血圧計を用いた血圧測定の実践


パルスオキシメーターを用いた血中溶存酸素の測定

自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator;AED)による救急救命訓練

心臓マッサージによる救急救命訓練

 

血圧・脈拍・呼吸・体温などのバイタルサインの測定方法と意識および救急救命処置について実際に体験することで、自分の健康状態と緊急時救命活動に対するより深い理解を得られるのではないかと考えています。

次に、地域における健康増進イベントに参加するフィールドワークによって、健康増進対策や福祉対策について学修しました。フィールドワークの事前学修では、松岡准教授により課題テーマの確認、事後学修におけるSmall Group Discussion(SGD)を経ての課題に対する学修成果報告会へのビジョンを含めた講義が行われました。


フィールドワーク前:地域支援イベントの目的や意義についての事前学修

今年度のフィールドワークは「ふくやまスポーツフェスティバル」、「神辺歴史巡りウォーキング」、「福山城ロゲイニング」の3カ所の中から学生自身が興味関心のあるイベントを選択してもらいました。また、各イベントにおいて、経済学部人間文化学部工学部生命工学部薬学部の学生達からなる混成グループで自己紹介とグループリーダーなどの役割分担を行い、フィールドワークへ向けての準備をしました。

「ふくやまスポーツフェスティバル」では、田中教授、大西准教授、上敷領准教授がオブザーバーにつきました。イベントは子供を中心として、祖父母・親・子と3世代が幅広く楽しめる工夫がされているようでした。



「ふくやまスポーツフェスティバル」で受付と発熱チェックを担当している学生スタッフ

 
「ふくやまスポーツフェスティバル」会場の様子

「神辺歴史巡りウォーキング」では、石津教授、杉原教授、松岡准教授がオブザーバーにつきました。比較的小規模な人数でのイベントのため、参加者、スタッフ、学生さんの一体感が生まれ、幅広い年代と交流ができたようでした。
 
「神辺歴史巡りウォーキング」で受付と発熱チェックを担当している学生スタッフ



吉野山公園や神辺城跡を巡りました


儒学者・菅茶山によって江戸時代後期に開かれた廉塾(国が指定した特別史跡)


神辺で100年以上続く福山唯一の酒蔵「天寶一」

「福山城ロゲイニング」では、小嶋教授、竹田教授、中村講師がオブザーバーにつきました。ロゲイニングとは、マップやアプリケーションを用いてチェックポイントをできるだけ多く制限時間内にまわり、ポイントを競うスポーツです。総距離として13kmも歩いた学生さんグループもあり、積極的にイベントを楽しんでいました。

 

「福山城ロゲイニング」での駐車場誘導を担当した学生スタッフ

受付でチェックポイントマップを参加者へ配布している学生スタッフ

イベントを体験させてもらい、ゴールした学生さんたち

 

これらのイベントは 福山市スポーツ協会・スポーツ推進課 が中心となり、福山大学からも学生スタッフとして協力させていただきました。各イベントに参加した学生は、地域の参加者に対して積極的に挨拶やインタビューを行うことでコミュニケーションを図ると共に、運営に関わり、自らがイベントを楽しみながら地域の健康増進イベントについて理解を深めてくれているようでした。

フィールドワークの事後学修では、各グループでそれぞれの課題テーマについてSGDにより体験内容をパワーポイント資料にまとめました。早朝よりイベントを一緒に体験したこともあり、楽しく積極的に意見交換を行っている様子でした。


フィールドワーク後:SGDにより体験内容についてのスライド作成

フィールドワークの学習成果報告会において、それぞれのグループで発表スライドに工夫がみられました。また、学生達からは地域の方々との交流が楽しかったとの意見が多く、積極性やコミュニケーション能力の高さが感じられました。

それぞれのイベントグループでの学修成果を発表

机上で学ぶだけではなく、実際に現地のイベントへ参加するなどの体験を通じて多くの刺激を受けると共に、自らの健康管理と地域の健康増進事業についての認識が深まり、セルフメディケーションの重要性を感じてくれたのではないかと思います。

 

 

学長から一言:教養教育科目の一つ、「セルフメディケーション」という名の授業は、地域社会に出かけ、地域の皆さんを巻き込んでの健康増進活動も含めて、実に多様な内容から構成されていることが分かりました。受講した学生の皆さんは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てする」というこの言葉の意味をしっかりと体得できたことでしょう。