【プレスリリース】動脈硬化を抑制する新たな治療薬への期待!

■研究成果の概要

動脈硬化とは血管が硬くなった状態をいい、その進行に伴って血管が詰まりやすくなり、脳卒中や心筋梗塞などの重篤な疾患を引き起こします。動脈硬化の進展は、血管内壁下にコレステロールを溜めこむことで生じており、脂質異常症(血中コレステロールや中性脂肪の増加)、高血圧や糖尿病などの生活習慣病により引き起こされることも分かっています。

福山大学薬学部の松岡浩史講師と道原明宏教授らの研究グループは、動脈硬化を抑制する分子であるRORα核内受容体が、コレステロール蓄積を抑制する中性コレステロールエステル水解酵素を調節していることを見出しました。そこで、RORα核内受容体を活性化させたところ、マクロファージ細胞内の蓄積コレステロールにより生じる脂肪滴を縮小させることに成功しました(下図)。今回の研究により、RORαを標的とした作動薬を創薬シーズとし、動脈硬化を効率的に退縮させる治療薬への応用が可能になると期待されます。

本研究は、福山大学学内助成金、NIG-JOINなどの助成を受けて実施されました。

 

■論文発表の概要

・論文名: Retinoic acid receptor-related orphan receptor α reduces lipid droplets by upregulating neutral cholesterol ester hydrolase 1 in macrophages(レチノイン酸関連オーファン受容体αはマクロファージにおける中性コレステロールエステル水解酵素の上方制御により脂肪滴を縮小させる)

・公表雑誌:BMC Molecular and Cell Biology, 21(1):32

・公表日:2020年4月22日(オンライン公開)

 


☆本件に関するお問い合わせ先☆

【担当者】松岡 浩史(まつおか ひろし)(薬学部講師)

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【FAX】084-936-2024

【E-mail】matsuoka@fukuyama-u.ac.jp