2018年度 福山大学 研究成果発表会を開催!

2018年度 福山大学 研究成果発表会を開催!

産学官金民等によるシーズとニーズのマッチング交流や、備後圏域の皆様に本学の教育・研究を具体的に理解して頂くことを目的として、全5学部14学科、大学院4研究科の教員による福山大学の研究成果を備後地域の企業及び地域に紹介すべく、研究成果発表会を開催しています。

その模様を、学長室ブログメンバーで社会連携センターの中村が報告します。

2018年度福山大学研究成果発表会は、2018年6月27日(水)に福山市ものづくり交流館(福山市西町1-1-1 エフピコRiM7F)で開催しました。

主催は福山大学社会連携センターで、共催は福山市、株式会社広島銀行、一般財団法人備後地域地場産業振興センター、ビジネス交流会:福山未来(バイオビジネス研究会、スマートビジネス研究会)です。広島県、備後圏域連携協議会、備後圏域の商工会議所及び商工会、公益財団法人ひろしま産業振興機構から後援を頂きました。

今回の研究成果発表会をお知らせするポスターは、昨年に引き続き企画・文書課の三浦職員による力作です。
毎年ありがとうございます。

今回で第4回目となる2018年度福山大学研究成果発表会のポスターのテーマは、本学のブランディング戦略にそって、「“未来創造人”を育成する教育・研究」としました。もちろん、そのブランディング戦略に関係する研究成果も発表しました。

今回の研究成果発表会では特別講演が2演題、研究成果ポスターセッションが61題でした。

なお、過去の研究成果発表会に関する学長室ブログは、こちら

第1回目 2015年度 福山大学 研究成果発表会開催!!
第2回目 産学連携の接点はここにあり!! -「2016年度福山大学研究成果発表会」開催-(プレリリース)
第2回目 備後圏域の皆さまに本学の研究成果をお伝えしました!
第3回目 備後ブランドの萌芽を探そう「2017年度福山大学研究成果発表会」を開催

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それでは、第一部の特別講演から紹介します。

司会は、社会連携センターの都祭弘幸センター長(建築学科・教授)です。

続いて、福山大学冨士彰夫副学長より、2015年度から始まった研究成果発表会がシーズとニーズを円滑に繋げる場として始まった経緯や、ポスターのテーマの「“未来創造人”を育成する教育・研究」について、福山大学は、“未来創造人”を育むことをミッションとして掲げていますが、これは地域を愛して、地域で活躍し、地域から国際社会に繋がる未来の場を創っていく“未来創造人”を育んでいくことを大学のミッションとしているとの説明がありました。


さらに、地域に根差した福山大学が地域と連携・交流しながら地域貢献や学生を育む時に、福山大学のブランディングを明確にする必要性から、次のようなブランディング事業の説明もありました。
「福山は前を見れば瀬戸内海に面し、後ろを見れば中国山地に面しているように、まさに里山里海が象徴的に集まっている場所である。
この地理的条件の中で、福山大学が地域貢献を果たすときのブランディングは里山・里海学を中心に進めることが、最も地域貢献や学生のアクティブラーニングを含めた教育に繋げられる可能性があることから、瀬戸内の里山・里海学をブランディングに掲げている。
2017年度に、文部科学省の私立大学研究ブランディング事業に「瀬戸内海 しまなみ沿岸生態系に眠る多面的機能の解明と産業支援・教育」として採択され、今回のブランディング関係の発表は里海部分になり、現在、重点的に取り組んでいる」などの挨拶がありました。

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最初の講演者は、広島銀行と連携包括協定を締結させて頂いていることから、一般財団法人ひろぎん経済研究所 常務理事 岡崎 裕一様で、「スポーツを活用した地域の活性化」と題して講演を行って頂きました。

広島あるいは中国地方で「スポーツが持つ力」、「スポーツが人々を勇気付ける力」、「活性化する力」など、スポーツを活用した地域の活性化の方向性について、中国経済産業局との「中国地域プロスポーツ団体等による連携プラットフォーム構築事業」における地域の活性化を図るための取組を中心に、主に次のことについてご講演された。

一つ目は、広島には全国から広島東洋カープのファンが多く訪れるので、広島を起点に広島県内や中国地方の他のスポーツの観戦および観光地への勧誘を促す必要性について

二つ目は、中国地方にはたくさんのスポーツチームがあり、お互いファンが行き来してホームゲームを観戦し、その地域を見て楽しんだり、その地域の方と触れ合ったり、競技をまたいで違う競技を見に行って違う場所を見て頂くような、中国地方の中での域内交流の推進について

三つ目は、東京オリンピックの開催やしまなみ海道の世界的なサイクリストの聖地や世界的にネームバリューのある広島を活用することによって世界中からインバウンド外国人観光客の集客についてでした。

昨年度の特別講演に続き、今年度もご講演頂きましてありがとうございました。

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次の講演者は、福山大学 内海生物資源研究所 所長 有瀧真人教授で、「しまなみテッポウギスプロジェクトのご紹介~福山大学ブランディング推進研究「瀬戸内の里山・里海学」より~」と題して、福山大学ブランディング研究について講演しました。

少し長文になりました。(^_^;)
特別講演の概略です。

3年前から福山大学のブランディング推進研究の瀬戸内海の里山・里海の一環として、瀬戸内海の因島の内海生物資源研究所で、里海を中心に解明された生態系の研究資源を地域社会へ還元することを目的に、シロギスの養殖研究を中心とした「しまなみテッポウギスプロジェクト」に取り組んでいることや、「しまなみテッポウギスプロジェクト」の名前の由来は、最大限に大きく育ったシロギスの地方名である「テッポウギス」の頭に、有名なしまなみ海道の「しまなみ」を冠として付けたものとの説明がありました。

この「しまなみテッポウギスプロジェクト」は、福山大学と店頭販売して頂く廻鮮寿司しまなみ株式会社アペックスインターナショナル)様と開発した養殖技術を用いて実際に養殖して頂く愛媛県のカネキ水産株式会社様との3者による共同研究として始まっています。

これまで日本の養殖は天然種苗がほとんどだったが、最近は人間の手で育てた魚介類の子供である人口種苗が非常に注目されて養殖に使われるようになっている。また天然の魚を釣ってきて、子供を取り、その子供から更に子供を取る完全養殖を繰り返していくと天然の魚より速く大きくなることも分かったとのことです。

シロギスは主に15cmから20cm位のサイズのものが多く流通していて、天ぷらやフライに調理されるが、そのキロ単価は1000円位だそうです。キロ単価1000円は高級魚の部類に入るようですが養殖するには小さいし、まだまだ単価的にも儲からないことからシロギスの養殖はだれも考えなかったようです。

ところが25cm以上の大型になると使用目的が一変し、寿司ダネや刺身にするために直接高級料亭に届けられたり、築地でもキロ単価が3000円の超高級魚になるとのことです。

養殖シロギスの美味しさの評価を調べるために、お披露目会と称して2017年の12月7日に30名弱の皆さんにテッポウギス御膳を食べて頂いたそうです。
その評価の結果は、刺身や寿司ダネはモチモチして非常に食感が良くて甘いことや、見た目が綺麗で透明感があることから、活魚の握りは非常に高評価とのことでした。

このお披露目会の評価をもとに商品開発した4種類のお寿司の試験販売を2018年の4月27日から29日の3日間ほど、廻鮮寿司しまなみ様で行いました。
その結果、一番評価が高かったのは、活魚の握り(48.7%)で、ほぼ半数の方が注文され、続いて、酢〆の炙り握り(20%)、糸作りの軍艦巻き(14.3%)、糸作りの握り(1.7%)の順になったとのことでした。

有瀧教授からは、25cmの大型に成長させるシロギスの基礎技術は固まってきたことや、シロギスを早く大きくする技術、エネルギーを消耗する産卵を行わない飼育コントロール、大きくなる個体を集めた選抜育種とテッポウギスの遺伝子解析を組み合わせた安定生産の技術開発に取り組んでいることや、今後はシーズとニーズの展開規模が大きな課題になることの説明がありました。

なお、テッポウギスプロジェクトに続く、次期養殖プロジェクトの対象魚はキジハタやウシノシタとのことです。
魚好きの私としては、とても楽しみです。

また、次のことも補足されました。
この取り組みを実際に行っているのは学生達であり、当時の中心学生の藤川君は学部4年生と大学院の合計3年間ほどシロギスの養殖研究に携わり、現在は因島の技術職員として引き続きこのプロジェクトに関わっているとのこと。

有瀧教授から、藤川君が中心にやっている「笑えるほどうまい!しまなみテッポウギス」をよろしくお願いします!と言うことで講演は終了しました。

2演題が行われた特別講演会場は、90人程度の聴講者で満席となり講演を熱心に聴講されていました。

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引き続き、第二部の研究成果ポスターセッションの様子です。
今回のブログは、特別講演の概要を多く書きました。発表者全員を網羅して発表内容をご紹介するとページが膨大になりますので、抜粋画像でご紹介します。
なお、研究成果発表会に合わせて作成した研究成果発表集研究者情報一覧を福山大学のホームページに掲載しています。どうぞご覧になってください。

特別講演会場や研究成果ポスターセッション会場には、他大学の教員、企業の研究者やコーディネータの方々など外部の方も多くお見えになり非常に盛況でした。

本年度は福山市のご協力で、学内外を問わず研究成果発表会に参加するためにエフピコRiMの第2駐車場と第3駐車場に駐車した方は、駐車券を研究成果発表会場の受付に持って来て頂くと駐車料金が無料になりました。
駐車券を割引認証機に差し込んで割引の認証操作を行うと参加時間内の駐車料金が無料になります。
この認証操作は福山市の産業振興課の方が行われました。

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経済学部の経済学科国際経済学科税務会計学科の発表の様子です。
税務会計学科へ新任した関下弘樹講師、大城朝子講師も忙しいさなか発表しました。

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人間文化学部の心理学科人間文化学科メディア・映像学科の発表の様子です。
メディア・映像学科の中嶋健明教授は、学科名に相応しくプロジェクターを用いた発表を行いました。

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工学部のスマートシステム学科建築学科情報工学科機械システム工学科の発表の様子です。
工学部からは22題を発表しました。地元のものづくり企業の方々などが熱心に質問されていました。

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生命工学部の生物工学科生命栄養科学科海洋生物科学科の発表の様子です。
生命工学部にも外部の方々が熱心に質問されていました。

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薬学部の薬学科の発表の様子です。
薬学部の町支臣成教授の発表では共同研究を行っている川崎医科大学の先生が参加されました。

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瀬戸内の里山・里海学のブランディング事業関係の発表の様子です。
全学上げてのブランディング事業のため、全学部から発表を行いました。

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2018年度福山大学研究成果発表会はトラブルもなく無事終えることが出来ました。

社会連携センターは、研究成果発表会のテーマにある「“未来創造人”を育成する教育・研究」に向けての一翼を担うとともに、産学官金によるシーズとニーズのマッチングを更に前進させたいと思っています。

 

学長から一言:長~~いブログでしたが、研究成果がとてもたくさんなので、お許しください。。。福山大学は、教育、研究、地域貢献が一体化していることがよく分かりますねッ!!!