【生物科学科(生物工学科から令和6年4月名称変更)】ヤマネの生態研究 新聞記事に

【生物科学科(生物工学科から令和6年4月名称変更)】ヤマネの生態研究 新聞記事に

ウンチの中に存在する生物のDNAを分析することで、動物の食性を知ることのできる時代になりました。国際学術誌「Mammal Study」10月号に、天然記念物であるニホンヤマネを対象としたDNA分析による食性解明に関する論文が掲載されます。先日、福山大学からプレスリリースを出し、その後、10月23日(月)の『中国新聞』に記事が掲載されました(デジタル版はこちら)。そして、同日、これらの成果を受けて、論文の著者である生物工学科 佐藤教授に理事長賞が授与されました。このことについてブログ委員の生物工学科 佐藤が報告します。はい、わたくし自身のニュースです。

研究内容の詳細については、すでに公開したプレスリリース(福山大学日本の研究.com)を参考にしていただきたく思いますが、ざっくりと申し上げて、今回の研究の要点は「ウンチの中のDNAから保護の対象となる動物の食性を解明する手法を開発した」ことです。動物にストレスを与えずに、食性を分析できる手法を開発したことになります。本学の3名の学生が、未来創造館の次世代シークエンサーMiSeqを活用しながら、進めてきた研究が実を結びました。今日の朝1番に大塚学長から今回の成果について感謝と祝福の電話があり、理事長賞をいただけることになりました。ものすごいスピード感で事が進みましたが、山本学部長とともに、午前中には学長室を訪問し、大塚学長から理事長賞の授与がありました。

研究成果が学術論文に掲載されるということは、ようやく科学の世界の土俵に入ったことを意味します。ここからが勝負です。これからどのような評価を受けることになるのか、楽しみでもあり、怖くもあります。しかし、この最初の時点で、中国新聞様からお声がけがあり、そして、研究に関する記事を掲載していただき、さらに鈴木理事長、大塚学長、山本学部長はじめ、学生の皆さんにまで喜んでいただいたことは大変光栄に思っております。この研究成果はもちろん、わたしの講義の幅を広げるものであり、学生の皆さんには、研究の意義、手法の原理、そしてこの知見が未来の社会に何故必要なのかについてわかりやすく伝えたいと考えています。こんな小さなウンチから生態系が見えるんだと。

左から、大塚学長、佐藤教授、山本生命工学部長

学長室を出たところで、鈴木理事長からも激励の言葉がありました。一つの研究をすることはそれほど難しくはありませんが、研究を長く続けていくには大変なエネルギーが必要です。様々な方からいただくこうした一言一言が研究をし続けようとするエネルギーの源になります。本学においては、いつまでも教育と研究の両輪が同じ方向と同じスピードで回り続けることを願っています。

左から、鈴木理事長、山本生命工学部長、佐藤教授

生物工学科はR6年4月より、生物科学科に学科の名称を変更します。その中で、生物多様性分野の教育は一つの大きな柱となっています。動物の進化生物学や生態学、特に環境DNAなどの遺伝学的な分析技術に興味のある高校生の皆さんは、ぜひ生物科学科にいらしてください。最先端の知識と技術をできるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。最近の研究について、以下にいくつか紹介しますので、興味のある皆さんはぜひ、ご覧ください。

島々に住む野ネズミが語る瀬戸内海成立史

森のネズミの生態的役割の解明

青森県リンゴ園におけるハタネズミの食性の解明

アザラシやアシカの味覚遺伝子の退化

 

学長から一言:佐藤淳教授、このたびの発見、そして研究成果の国際的ジャーナルへの掲載、まことにおめでとうございます。理事長に成り代わって賞を手渡す役目を果たせて、私も嬉しかったです。DNA解析による動物の食性解明という手法がすっかり自家薬籠中の物になりました。次はどんな発見の報告が聞けることでしょう。