学部・学科・大学院

生体有機化学研究室

化学の力で生命現象を解明する

当研究室では有機合成化学を基盤とし、生命現象解明のためのツールの開発やそれに資する基礎化学研究を行っています。

お知らせ

大学院生を募集しています。日本学術振興会特別研究員などへの応募のお手伝いも可能ですので、興味のある方は重永までご連絡ください(shigenaga★fukuyama-u.ac.jp)。 注)メールアドレス中の「★」は、「@」に読み替えてください。

  • 2024.04 重永教授の提案が科研費 基盤研究(C)および学術変革領域研究(A)(公募)に、喜屋武助教の提案が若手研究に採択されました。
  • 2024.03 下記学会で発表しました。
    〇喜屋武龍二、世良圭剛紀、河内野乃、重永 章「アセタール型リゾリン脂質の効率的合成手法確立を指向した1,2-ジオールの2,4-trans選択的アセタール化反応の開発」日本薬学会第144年会
  • 2024.03 石津教授の最終講義「研究と教育の軌跡 -41年間の感謝を込めて-」を行いました。
  • 2024.02 喜屋武助教が協力した鳴海哲夫先生(静岡大)らの論文が受理されました。「Amide-to-Chloroalkene Substitution for Overcoming Intramolecular Acyl Transfer Challenges in Hexapeptidic Neuromedin U Receptor 2 Agonists」Chem. Commun.
  • 2023.11 重永教授が寄稿した「徳島大学での思い出と薬学教育について考えること」が徳島大学薬学部 創立100周年記念誌に掲載されました。
  • 2023.11 下記学会で発表しました。
    〇重永 章、喜屋武龍二「Theoretical study on activation mechanism of N-sulfanylethylanilide-based protein labeling reagent on protein surface」第60回ペプチド討論会
  • 2023.10 下記学会で発表しました。
    〇世良圭剛紀、河内野乃、喜屋武龍二、重永 章「アセタール型リゾリン脂質の効率的合成手法確立を指向した1,2-ジオールのジアステレオ選択的アセタール化反応の開発」第62回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会中国四国支部学術大会
  • 2023.9 3年生が配属されました。
  • 2023.7 石津教授がXXXI International Conferenceon Polyphenols, Nantes, France, 3(ICP2023 フランス ナント)において、口頭発表(Development of High-Order Functions Using Tea Catechins in Water)しました。
  • 2023.6 研究成果「Theoretical study to gain fundamental insight into reaction mechanism of N-S acyl transfer of N-sulfanylethylanilide-based protein labeling reagent on protein surface」がJ. Pept. Sci.の特集”Peptide Talents“に受理されました。
  • 2023.5 薬学部長杯 新入生歓迎ソフトボール大会で優勝しました。

過去のお知らせ

【2022年度】

  • 2023.3 大高 章先生(徳島大院薬)らとの共同研究の成果「Residue-selective C-H sulfenylation enabled by acid-activated S-acetamidomethyl cysteine sulfoxide with application to one-pot stapling and lipidation sequence」がChem. Eur. J.に受理され、Cover Pictureに選ばれました。
  • 2023.3 7118086福場 悠真君と7118087藤谷 侑加さんが日本薬学会第143年会(札幌)でそれぞれの研究成果をポスター発表しました。
  • 2023.3 重永教授が薬学会年会シンポジウム「中分子創薬研究のフロンティア」のオーガナイザーを務めました。
  • 2023.1 重永教授が執筆した「後輩へのメッセージ:薬学部での教育について考える」が徳島大学薬学部広報誌『薬学部だよりvol. 31』に掲載されました。
  • 2022.9 喜屋武助教が福山大学研究成果発表会で講演しました。演題は「1,2-ジオールに対するジアステレオ選択的アセタール化反応の開発研究」です。
  • 2022.8 小暮健太朗先生(徳島大院薬)らとの共同研究の成果「Development of a novel tocopheryl ester for suppression of lipid accumulation without cytotoxicity by optimization of dicarboxylic ester moiety」がBiochem. Biophys. Rep.に掲載されました。
  • 2022.7 重永教授が徳島大学びざん会ニュースレターの「活躍する卒業生」欄で紹介されました。
  • 2022.5 当研究室が福山大学 大学要覧2022で紹介されました。

【2021年度】

  • 2022.3 重永教授の執筆した「有機化学とタンパク質科学の融合による修飾タンパク質精密合成法の創成」が薬学研究の進歩に掲載されました。
  • 2022.3.27 五郎丸 剛准教授との共同研究(茶カテキンによって生じる沈殿に含まれるリスペリドンのNMRをもちいた定量)を日本薬学会第142年会(名古屋)において石津 隆教授がポスター発表(遠隔)を行いました。
  • 2022.3.26 喜屋武助教が日本薬学会第142年会で発表しました。
  • 2022.3.20 旧 生体機能解析学研究室所属の6年生7名(佐藤 ぽぷりさん、津山 詩織さん、長尾 凌介君、福田 萌花さん、藤木 香苗さん、松本 真奈さん、山路 あみ愛さん)が卒業しました。
  • 2022.03.08 喜屋武助教の研究計画が日本私立学校振興・共済事業団 若手研究者奨励金事業に採択されました。
  • 2022.02 三宅雅人先生および親泊政一先生(徳島大先端酵素研)らとの共同研究の成果「Discovery of an endoplasmic reticulum proteostasis modulator that enhances insulin production in pancreatic β cells」がCell Chem. Biol.に受理されました。(プレスリリース学長室ブログ
  • 2022.01 大高 章先生(徳島大院薬)らとの共同研究の成果「Late-stage macrolactonisation enabled by tandem acyl transfers followed by desulphurisation」がChem. Commun.に受理されました。
  • 2022.1.22 喜屋武助教が第145回日本薬学会中国四国支部例会で講演しました。
  • 2022.01 喜屋武助教が執筆した解説「スルフィルイミンの6π電子環状反応/環縮小によるピロール合成」がファルマシア(1月号)に掲載されました。
  • 2022.01 重永教授の執筆した記事「徳島大学を卒業して大学教員になる」が『とくtalk』(徳島大学広報誌)の“先輩に続け”に掲載されました。
  • 2021.12.21 重永教授がPacifichem 2021のシンポジウム「Design of Functional Proteins, Peptides, and Peptidomimetics」で講演しました。
  • 2021.12.16 岡本 伸也先生(薬学部6年制第1期生 尾道市民病院薬剤師)が非常勤講師として「薬剤師を取り囲む法規」の講義を行いました。
  • 2021.11.26 石津 隆教授および劇団「危防」が福山市立新市中央中学校で薬物乱用防止の講演と劇を行いました。
  • 2021.11.9-12.7  重永教授が福山市薬剤師会シリーズ研修会で講演しました。
  • 2021.10.18  石津 隆教授、佐藤 ぽぷりさん、津山 詩織さん、長尾 凌介君、藤木 香苗さん、山路 あみ愛さんによる研究成果「Analysis of the Isomerization of Diketopiperazine consisting of Proline and Aromatic Amino Acid Residues using Nuclear Magnetic Resonance」がAnalytical Science Advances誌に掲載されました。
  • 2021.10.6 3年生が配属されました。
  • 2021.08.09 重永教授が第53回若手ペプチド夏の勉強会で講演しました。
  • 2021.07.15 種子島幸祐先生および原 孝彦先生(都医学研)らとの共同研究の成果「Identification of functional domains of CXCL14 involved in high-affinity binding and intracellular transport of CpG DNA」がJ. Immunol.に掲載されました。
  • 2021.06.01 石津 隆教授、佐藤 ぽぷりさん、徳永 ミクさん、福田 萌花さん、松本 真奈さん、五郎丸 剛准教授、竹本 壮志君による研究成果「Molecular Capture and Conformational Change of Diketopiperazines Containing Proline Residues by Epigallocatechin-3-O-gallate in Water」がChem. Pharm. Bull.誌に掲載されました。
  • 2021.05.06 喜屋武助教の静岡大学在学中の成果「β,γ-trans-Selective γ-butyrolactone formation via homoenolate cross-annulation of enals and aldehydes catalyzed by sterically hindered N-heterocyclic carbene」がTetrahedronに受理されました。
  • 2021.04.01 喜屋武 龍二 助教が着任しました(静岡大 鳴海哲夫先生研究室より)。
  • 2021.04.01 生体有機化学研究室が未来創造館10階へ引っ越しました。

【2020年度】

  • 2021.03.29 日本薬学会 第141年会(広島)において5年生 津山 詩織さんと福田 萌花さんがZoomによりポスター発表を行いました。
  • 2021.03.20 生体有機化学研究室(旧 生体機能解析学研究室)所属の6年生5名(小林 美咲さん、篠田 華蓮さん、辻田 卓也君、野本 貴子さん、宮後 彰範君)が卒業しました。
  • 2021.03.19 卒業していく生体有機化学研究室(旧 生体機能解析学研究室)所属の6年生5名の送別会を(3密をさけて)行いました。
  • 2021.01.13 石津教授および劇団「危防」が広島県立尾道北高校で薬物乱用防止について講演を行いました。(学長室ブログ
  • 2020.12.16 重永教授の研究成果がOrg. Biomol. Chem.に掲載されました。
  • 2020.12.14 重永教授の研究計画が上原記念生命科学財団 研究推進特別奨励金に採択されました。
  • 2020.12.14 重永教授が徳島大学大学院医歯薬学研究部・BRIGHT合同公開シンポジウム(徳島)で講演しました。
  • 2020.12.10-17 岡本伸也君(6年制第1期生 尾道市民病院薬剤師)が非常勤講師として「薬剤師を取り巻く法規」の講義を行いました。
  • 2020.12.01 石津教授の総説がChem. Pharm. Bull.に掲載されました。
  • 2020.12.01 大高 章 先生(徳島大院薬)らとの共同研究の成果がChem. Pharm. Bull.に掲載されました。
  • 2020.11.27 石津教授および劇団「危防」が福山市立新市中央中学校で薬物乱用防止について講演を行いました。
  • 2020.11.20 石津教授が福山市立城西中学校で薬物乱用防止について講演を行いました。
  • 2020.11.05 大高 章 先生(徳島大院薬)らとの共同研究のイラストがOrg. Biomol. Chem.のInside Front Coverに選ばれました。
  • 2020.10.12 重永教授の研究計画が住友財団 基礎科学研究助成に採択されました。
  • 2020.10.01 石津教授が福山市立鳳中学校で薬物乱用防止について講演を行いました。
  • 2020.09.28 重永教授が参画する提案研究がAMED-CRESTに採択されました(研究代表:村上 誠 先生(東大院医))。
  • 2020.09.14 重永教授が令和2年科研費獲得等に関する研修会(福山大)で講演しました。
  • 2020.08.20 大高 章 先生(徳島大院薬)らとの共同研究の成果がOrg. Biomol. Chem.に受理されました。
  • 2020.08.01 重永教授の研究計画が科研費 挑戦的研究(萌芽)に採択されました。
  • 2020.07.22 大高 章 先生(徳島大院薬)らとの共同研究のイラストがOrg. Lett.のSupplementary Cover Artに選ばれました。
  • 2020.06.19 重永教授が第2回生命科学Webセミナー(東北大)で講演しました。
  • 2020.05.12 大高 章 先生(徳島大院薬)らとの共同研究の成果がOrg. Lett.に受理されました。
  • 2020.04.01 重永教授が徳島大院薬(大高 章 先生研究室)より着任しました。
  • 2020.03.31 福田靖葉助手が福山循環器病院に転出されました。
  • 2020.01.22 石津教授および劇団「危防」が広島県立尾道北高校で薬物乱用防止について講演を行いました。
  • 2020.01.18 石津教授が福山暁の星小学校で薬物乱用防止について講演を行いました。
 

研究内容

1.ペプチドの機能を操る(重永)

体内では、ペプチドと呼ばれる物質が様々な働きをしています。私たちは、刺激を与えると機能が変わるペプチドの研究が、生命現象の解明や薬の開発につながると考えています。例えば、光刺激により機能を失うペプチドができれば、光照射前後の細胞を比べることで、そのペプチドの働きが分かります。また、病気の細胞が出す酵素を刺激として細胞にダメージを与えるペプチドができれば、薬の開発につながるはずです。私たちは現在までに、分子構造のたった一か所を変えるだけで様々な刺激に応答可能なペプチドの発明に成功しています。

2.薬の標的タンパク質を見出す(重永)

多くの薬は、特定のタンパク質(標的タンパク質)に結合することで活性を発揮します。このため、薬を理解するには、その標的タンパク質を見出す必要があります。私たちは、夾雑物存在下でも特定の部分同士が結合する化学反応を利用し、細胞に含まれるタンパク質の中から標的タンパク質を釣り上げラベルを付けることで、効率よく標的を見出す方法の開発に成功しています。(図の説明:左)細胞に含まれるタンパク質(黒い横線の一つ一つがタンパク質、たくさんのタンパク質が見える) 右)標的タンパク質の釣り上げ・ラベル化後(標的タンパク質のみが見える))

3.薬がどこに結合するかを明らかにする(重永)

薬を開発するためのアプローチとして、薬が標的タンパク質のどこに結合するのかを明らかにし、そこに結合する薬の候補化合物をコンピューター上で探す方法があります。この方法を用いるには、タンパク質が薬と結合する部分を明らかにする必要があります。私たちは、特定の条件を満たしたときのみ化学反応を起こす分子を利用し、この分子と薬を連結後、タンパク質と混ぜたのち反応を起こさせることで、タンパク質上の薬が結合する部位付近にラベルを導入する方法を開発しました。さらにこれを応用し、統合失調症関連酵素の阻害剤結合部位を明らかにしています。(図の説明:統合失調症関連酵素の構造と阻害剤結合部位(赤色:ラベルが導入された部位;既知の結合部位(左)に加え、新たな結合部位(中央)が見つかった)

4.お茶のカテキンの化学(石津)

温かいお茶が冷めるとにごりや沈殿が生じるのを見たことがあると思います。これは、クリーミングダウン現象といって、お茶本来の風味や外観を損なうものとして問題になっています。そこで、私たちの研究室ではこのクリーミングダウン現象がなぜ起きるのかというメカニズムを調べることにしました。試行錯誤の末、クリーミングダウン現象による沈殿を、お茶に最も多く含まれるカテキン類である(-)-エピガロカテキン-3O-ガレート(EGCg)をもちいて結晶化することにはじめて成功しました。
 X線結晶構造解析を行ったところ、EGCgが集まって疎水性の空間をつくり、そこにカフェインを取り込んだ2:2EGCg・カフェイン錯体であることが分かりました。このように2:2錯体を形成することで疎水性が増し、水への溶解度が急激に低下して、沈殿が生じることが分かりました。これがクリーミングダウン現象のメカニズムであると考えています。
現在、EGCg以外の茶カテキンを用いてさらに詳細なクリーミングダウン現象のメカニズムについて調べています。

5.お茶のカテキンを使った高次機能の開発(石津)

このようにして見つけたクリーミングダウン現象のメカニズムをもちいて、お茶のカテキンの機能の開発をしています。その1つについて紹介いたします。
プロプラノロールなどのβ受容体遮断薬は本態性高血圧症や狭心症の治療薬として用いられていますが、現在、臨床の現場ではラセミ体で用いられいます。しかし、S体のほうがR体よりも100倍生理活性が強いことから、S体単独での使用が望まれるところです。そこで、プロプラノロールの2つのエナンチオマーS体とR体について、EGCgとの相互作用について調べところ、いずれもカフェインのようにEGCgと2:2錯体を形成しますが、R体はEGCgと水素結合をつくり、S体はつくらないことが分かりました。そして、このことを用いてEGCgによるS体とR体の簡便な分離法を検討しています。

 

研究業績
(researchmap研究者情報)

 

スタッフ
(教員紹介)

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重永章教授
喜屋武龍二助教