【海洋生物科学科】因島キャンパスは福山大学の「窓」でありたい

【海洋生物科学科】因島キャンパスは福山大学の「窓」でありたい

皆さん,大学というと何かと「お堅い」イメージや「訳の分からない」難しそうなことをやっている印象が強くありませんか? 確かに,研究にも技術開発にも、先進性やオリジナリティーがないといけません。一方で,地域と連携し前進していく大学として,皆さんに福山大学を知ってもらい,親しんでいただくことはとても重要です。内海生物資源研究所(因島キャンパス)は大学を皆さんに覗いていただく「窓」としての役割も担っています。今回はそんな取り組みの一端について、内海生物資源研究所長の太田健吾教授(海洋生物科学科)からの報告が届きましたので紹介します。(投稿は海洋生物科学科の阪本)

 


大きく開かれた「窓」~さまざまな取り組み~

福山大学を皆さんに理解していただくため,さまざまな取り組みが企画・実施されており,一般向けの公開講座やこの学長室ブログもその一環です。しまなみ海道「因島大橋」の袂にある因島キャンパスは、その立地を生かし,①瀬戸内海,②附属水族館マリンバイオセンター,③海産魚類の飼育施設の3つのフィールドに海洋生物科学科の教員7名が40名強の学生と教育・研究活動に日夜汗を流しております。

しまなみサイエンスカフェ・リレー講座

瀬戸内海で魚はどんな生活をし,どうやって適応・進化してきたの? 学習の場として、水族館の展示はどうすればいいの? 美味しい魚介類をみんなに食べ続けてもらうにはどんな技術が必要なの? これらのテーマを中心として教員・学生は時間を忘れて取り組み,得られた貴重なデータから「おっ!!」,「これは!!!」という成果を掴んできました。でも,そんな素晴らしい「お宝」も皆さんに知ってもらえなければ「持ち腐れ」と成り果ててしまいます。そこで、因島キャンパスでは海洋生物科学科の協力を得ながら,2021年から日本財団が展開している「渚の交番」プロジェクトと連携し,地域の方々に福山大学って? 海洋生物科学科って? 因島キャンパスって何をやっているの??を知っていただく「しまなみサイエンスカフェ・リレー講座」を開催してきました。基本的に毎月一回,海に関わるお題はこれまで16回続いています。今回は「瀬戸内海は魚の宝庫!?〜稚魚のゆりかご“瀬戸内海”〜」と題して、太田が担当しました。

講座のパンフレット

今回の講座は、ゴールデンウィークも終わった5月20日に因島の大浜にある「渚の交番SEABRIDGE」で行いました。当日は4組のご家族,10名(子供4名,大人6名)のご来場でした。まずは,瀬戸内海の漁業について現状を紹介しました。今,瀬戸内海ではピーク時の半分以下まで漁獲量が減少しています(皆さんご存知でしたか?)。その原因としては、沿岸環境の変化,特に魚介類の「幼稚園」と称される藻場の減少が大きく影響していると言われています。浅い海の埋め立てや海の環境変化によって,藻場は大きく面積を減らしています。これ以上藻場を減らさないようにするにはどうしたらいいのか,話を聞く子供たちの目も真剣です。

講座のようす

講座のようす

その後,減少した資源の回復を目的に行われている「作り育てる漁業」(=栽培漁業)について触れ,因島キャンパスで取り組んでいるキジハタ(あこう)やオニオコゼ(おこぜ)の技術開発についてお話ししました。座学だけでは小さい子供たちの注意力を維持するのは困難です。そんな時は最終兵器の登場!! 今回は,まず魚の赤ちゃんに食べさせる動物プランクトン(ワムシ)を持ち込み,顕微鏡で観察しました。そして・・・生きた “あこう” や “おこぜ” をガラス水槽に入れ,みんなに見てもらうと共に,大きなフグを魔法(麻酔薬)で眠らせ,子供達に触ってもらいました。

生きた魚とご対面

ダメ押しに・・・小さな卵から “おこぜ” や “ひらめ” に成長していく様子を標本で確認すると、みんなから「おお!!すご〜〜い!!」と歓声があがりました。一番喜んでいたのは、子供達より,実はお母さんの方だった・・・というのは秘密です。

ヒラメはふ化した後、どんなふうにして平べったくなるのかな?

さて,このように17回目のリレー講座も大盛況のうちに幕を閉じました。因島キャンパスでは、今後もこの取り組みを継続していきます。次回は、6月24日に我如古菜月講師(海洋生物科学科)が「魚と美味しさの話〜楽しいゲームで遊ぼう!〜」というテーマで講演します。ご興味ある方は是非ご参加ください。よろしくお願いします!

 

学長から一言:因島キャンパスにある内海生物資源研究所のスタッフが、日頃の研究の成果を学外の小さなお友達も含めて皆さんに分かり易く紹介する場として「しまなみサイエンスカフェ・リレー講座」は、頑張っていますね。今回の「作り育てる漁業」を知る活動も大いに盛り上がったようです。これからも大学と地域をつなぐために、いろんな工夫を凝らしてください。