【心理学科】ポストコロナの心理学教育:「卒業研究」のオンライン対応

【心理学科】ポストコロナの心理学教育:「卒業研究」のオンライン対応

人を対象とする心理学が直面したコロナ禍という未曽有の危機。多くの研究者が模索した結果、大きく進展したオンライン調査・実験ツールは、見事な助け舟となってくれました。そんなツールを卒業研究でもしっかりと活用する福山大学心理学科。本日はその活用について、宮崎由樹准教授からの報告です(投稿は学長室ブログメンバーの大杉です)。

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心理学科の宮崎です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は、私たちの暮らしを大きく変えました。大学教育も同じく大きな影響を受け、2020年度から2021年度を中心に、多くの大学でオンラインでの授業実施を余儀なくされました。

福山大学においても、講義形式の授業を中心にオンライン授業が実施されました(2020年度の心理学科の授業の様子)。また現在も、受講者数の多い授業はオンライン(あるいは変則的な対面授業)で行われています。

COVID-19の流行下、ほぼ全ての授業がオンライン(または収束時の対面授業・補講等)で対応できましたが、「卒業研究」のように、対応に苦慮した授業科目もあります。特に、「心理学」のように、人を対象として、対面で実験室実験、集合調査、調査的面接等の方法を用いる分野では、今までの研究方法が使用できない状況に陥りました。

こうした状況から、心理学科では「卒業研究」における対面での研究方法に代わるものをCOVID-19の流行当初から模索してきました(令和2年度教育振興助成金活用研究No.1令和3年度教育振興助成金活用研究No.1)。その1つとして、webでの心理調査や心理実験の活用を検討する取り組みを進めてきました。本日は、その取り組みの様子をお伝えしたいと思います。

以下の写真は、昨年度の心理学科専門科目「基礎ゼミ」でqualtricsというweb質問票作成、配布、集計、分析等を行えるサービスを使って、心理学科の2年生がweb調査の演習を実施している様子です。

<心理学科専門科目「基礎ゼミ」でのweb調査の演習>

<様々な「ふくりん」の魅力評価を行う質問票を作成しています>

福山大学では、教育場面でのBYOD(Bring Your Own Device; ノートPC等の自分の携帯機器を持ち込み活用すること)への対応をCOVID-19の流行以前から進めてきました。そのため、学生は自分自身のノートPCを使って、web質問票を作成しています。

<学生一人ひとりが自分自身のノートPCを使って演習に取り組みます>

qualtricsは、操作が直観的で分かりやすいため、学生は1コマ(90分)の授業で基本的な機能は使いこなせるようになりました。具体的には、全学生が以下のような画像評定課題を作成できるようになりました。

はじめに述べたように、COVID-19の感染拡大によって、大学教育は良くも悪くも大きな影響を受けました。COVID-19が終息した後も、良かったものはそのまま残し、さらに発展させていきたいと思います。

今回紹介したオンラインでの「卒業研究」の取り組みも、クラウドソーシングサービスとの併用、日本国外の人々を対象にweb調査を実施することへと発展を見せています。また、DX化の進む日本社会では、webで妥当性と信頼性の高い心理調査(いわゆるwebアンケート)を遂行できる技能が心理学を学んだ者に求められるようにもなりそうです。引き続き、qualtricを 教育で活用しつつ、将来社会で求められる人材の養成も行っていきたいと思います(授業の他、オンライン説明会も実施しています)。

なお、qualtricsは有料のサービスですので、その契約にあたって大学からサポートをしてもらっています。鈴木理事長をはじめとした法人や、大塚学長をはじめとした学長室のCOVID-19下の教育に対する理解と強力な支援があったからこそ、今回紹介したような教育が可能になりました。この場を借りて感謝申し上げます(ちなみに、qualtricsはCOVID-19下の教員の研究12でも活用されています)。

高校生の皆さん、手厚い教育指導体制の福山大学で心理学を学んでみませんか?学内の奨学金制度も充実しています。まずは、オープンキャンパスへお越しください。心理学科の教員一同、お待ちしております!

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「対面で実験ができない!」と慌てた数年前は、オンラインツールの活用がここまで進むとは夢にも思っていませんでした。ポストコロナでも様々な手法が活用できるようになり、結果的に心理学科はパワーアップしています!

今月実施のオープンキャンパスも大いに盛り上がる予感です。皆さん、是非ご来場ください!

 

 

学長から一言:コロナ禍は大学での学びの維持にとって未曾有の危機となった反面、従来いくら有効性が唱えられてもなかなか実践と結びつかなかったオンライン活用の教育や授業方法の改善を一気に前進させました。まさしく「怪我の功名」。好適なツールを使ったWeb利用のアンケート調査方法の習得もスムーズに進んでいるようです。逆境をはね返し、身に付けたオンラインでの調査方法を用いて、優れた研究成果をあげてください。