【研究ブランディング事業】次世代シークエンサーの活躍

【研究ブランディング事業】次世代シークエンサーの活躍

今から15年ほど前の2003年、人ひとりのゲノム(生物が持つ遺伝情報の全体)が解読されました。これはアメリカの国家レベルのプロジェクトである「ヒトゲノム計画」の金字塔でした。つぎ込まれた資金はなんと30億ドル。想像もつかない大金です。

しかし、今や人ひとりのゲノムを解読するのにたったの1000ドル(10万円くらい)もあればよいという時代に様変わりしてしまいました。2000年代後半に、3社のバイオ企業により開発された次世代シークエンサーがブレークスルーを起こしたのです。そんな次世代シークエンサーが福山大学にやってきて早2年弱。文部科学省私立大学研究ブランディング事業「瀬戸内海 しまなみ沿岸生態系に眠る多面的機能の解明と産業支援・教育」及び福山大学ブランディング推進のための研究プロジェクト「瀬戸内の里山・里海学」という本学が進める研究プロジェクトに大きく貢献しています。

どれくらい利用されているのかについて、ちょっとした計算をしてみましたので、生物工学科佐藤が報告します。下の写真はグリーンサイエンス研究センターに設置されたイルミナ社次世代シークエンサーMiSeqです。

2019年、合計して23回の利用がありました(生命工学部20回、薬学部3回)。どうでしょう?これは多い回数なのでしょうか?少ないのでしょうか?1か月に2回のペースです。利用者によって分析するDNAの文字数も異なりますし、サンプルの数も違います。これらを考慮して計算をしてみると、2019年に本学の次世代シークエンサーで解読したDNAの文字数は、、、

95,900,000,000文字

でした。1000億文字弱です。ヒトゲノムを約30億文字とすると、人の遺伝情報全体を30回以上読んでいるのと同じ数になります。一昔前なら1000億ドルかかったでしょう。そして、本学にある旧式のDNAシークエンサーを使うと4500年かかることになります。新しい文明が生まれそうな時間です。

バイオテクノロジーが引き起こすブレークスルーにはいつもドキドキします。福山大学では、次世代シークエンサーを使って野ネズミや魚類等、動物の食性分析、しまなみ諸島沿岸域に生息する魚類の環境DNA分析、芦田川に生息する魚類の環境DNA分析、腸内微生物叢の分析などの研究が進んでいます。

導入から2年弱。次世代シークエンサーを利用した実験はルーチンワークとなりました。すでに、グリーンサイエンス研究センターにはなくてはならない機器となっています。上記の研究以外にも多様な使い方ができますので、今後の展開が楽しみです。

以上、次世代シークエンサー管理人 生物工学科 佐藤から報告しました。

 

学長から一言:高価な次世代シークエンサーですが、佐藤准教授を初めとする福山大学の研究ブランディング事業関係者にとって、欠かせない存在になっていますねッ!これを使って分析されたデータにもとづくハイレベルの論文がどんどん世に出て、国内外で福山大学の研究に注目が集まるようになることを期待していま~す!!!