【生物工学科】ラオスからラム酒の巨大マーケットに挑む

【生物工学科】ラオスからラム酒の巨大マーケットに挑む

生物工学科では、3年生対象の講義「バイオ経済・企業論」があります。日本及び世界で活躍する方を講師としてお招きし、これから就職活動が始まる3年生に向けて、バイオとビジネスの観点からお話をしていただいております。11月2日(水)の講師として、ラオスにあるラム酒製造企業LAODIの井上育三先生にご登壇いただきました。その様子を生物工学科佐藤が報告します。なお、先日、行われた井上先生と福山市長との交流の様子はこちらからご覧ください。

実は、井上先生は、ラオスでLAODIを立ち上げる前には福山市内の企業で働かれていました。今年度で退職予定の生物工学科秦野教授(下写真)が福山大学に赴任したころから井上先生との付き合いがあったとか。かれこれ30年以上の付き合いです。そのようなつながりもあり、福山大学生物工学科では数年前からラオス研修を行っています。その中では、LAODIでサトウキビの刈り取りから、発酵やラム酒製造工程を学ぶほか、小学校や大学との交流、ラオスの文化学習を行います。3年前には大変充実した研修を行いましたが、新型コロナウイルス感染症拡大のため、その後の2年間は実施することができませんでした。しかし、今年の12月に再びラオス研修を実施する運びとなり、参加予定者はみんな大変楽しみにしています。

井上先生の講義の中では、ラオスの地理・歴史の話から、政治・経済の現状、戦争の傷跡、日本との交流の話からはじまり、LAODIを立ち上げた経緯、ASEANで各国のリーダーにLAODIのラム酒を飲んでいただいたことの経験とそこから得た自信など、具体的な体験に基づき、世界3大スピリッツの一つであるラム酒の巨大マーケットに挑戦しようする思いを語っていただきました。井上先生の言葉は、何か人間味があり、具体的で体に染み入ってくる力があります。学生の皆さんも何かを感じたはずです。

LAODIは「農産加工品で付加価値の高い商品づくりを通じてラオスのビジネスモデルを目指すこと、そしてLAODIが関わる全ての人たちが幸せを実感できるようにすること」を目標としています。仕事は、泥臭いサトウキビの刈り取りから始まります。1日体験するだけでも本当に大変な作業です。しかし、そこから付加価値の高い商品を作れば、ブランドが出来上がり、少々高くとも売れるのだそうです。そして、それが世界から高く評価されると、「自分たちの作ったもので楽しんでいただけるのだ」という従業員の自信につながっているという話がとても印象的でした。従業員には女性が多く、女性の活躍の場となっていることも特筆すべき点です。講義では、学生からも積極的に質問が出てよかったと思います。

講義の後には2019年にラオス研修に参加し、現在、卒業研究でラム酒の化学成分を調べている学生と井上先生との交流がありました。3年前にラオス研修に参加した学生たちは、それぞれの心の中に何かを持ち返ってきたのだなと強く感じます。今年、再度、研修に参加する学生も4名おり、3年前に実に良い体験をしたということがわかります。これもラオスにおける井上先生とLAODI社長のシハッタ・ラスフォン氏の親身の指導のおかげです。この12月の研修においても、学生たちはこれまで体験したことのない体験をするのだと思います。少しでも学生の成長の糧になり、そして、学生の人生の中で何かが変わったというきっかけになってくれるといいなと思います。日本でうまくいかない問題が小さく見えたりもするものです。

最後に、今年度ラオス研修に参加するメンバーと井上先生との間で顔合わせをしました。中には、はじめて海外に行く学生もいるため、不安がないこともないのですが、井上先生がその不安を解消してくださいました。あと1カ月、準備を重ねて、充実した研修になることを願っています。学生14名、教員2名、ラオス研修に向けて期待と不安を胸に準備中!

 

 

学長から一言:今年度の「バイオ経済・企業論」の講義の一つは、非常勤講師の井上育三先生により成功裏に終了したようです。ラオスのLAODI社でラム酒の製造に携わり、本学のラオスでの実習や同国との交流でも日ごろから大変お世話になっている井上先生の豊富なご経験が詰まった授業に学生諸君は魅了されたことでしょう。受講生の中には12月実施のラオス研修への参加予定者も含まれ、事前に学ぶところ大だったと思います。