【生物工学科】ラオスの空高く

【生物工学科】ラオスの空高く

多すぎる。3,000枚近くある写真のどれを抜粋してお伝えしたらよいのか。。。生物工学科の学生14名と引率教員2名で1週間ラオスに滞在し、本当に多くの素晴らしい経験をして帰ってきました。みんなの楽しんでいる姿をみると、どの写真も捨てがたし。生物工学科佐藤が抜粋した約50枚(2%以下:許してください)の写真でその経験を紹介します。

ラオスでは、LAODI社でのサトウキビ刈り取りからラム酒づくりのプロセスと黒糖づくりの体験、ラオス ナーソン村の小学校訪問・交流、地元のお酒ラオラオ(お米を使った泡盛のようなお酒)の製造場の見学、ランの栽培見学、ラオス国立大学農学部訪問・交流、地元の植物由来の色素を使った織物染色の体験、首都ビエンチャン観光、母なる川メコン川との出会いなどなど書ききれないほど多くの経験をしました。本当に1週間だったんだろうか?

LAODI研修①:ガイダンス

ビエンチャンのホテルに着いたのは21:00頃でした。一晩ゆっくり休んで、次の日から研修が始まりましたが、ビエンチャンからマイクロバスで1時間強、サトウキビからラム酒を製造するLAODI社に到着しました。まずは、副社長の井上育三さん、社長のシハッタ・ラスフォーンさんにLAODI社の紹介をしていただき、学生たちからはこの研修で何を学びたいか、何を期待するかについて一人一人話してもらいました。その後、LAODI農場内の見学を行いました。この高い空!

母なるメコン川

さて、その日の午後は、ランの花の栽培をしている日本人の方の家を訪問し、珍しいランを見学しました。その後は母なるメコン川へ。前日の夜に飛行機の窓から見て、黒く太い帯状になっていた川を実際に見ることができ感激しました。そして、対岸はタイ。その雄大さに圧倒されました。ネズミなど多くの陸生動物の分布にも影響するだろうなと感じました。

LAODI研修②:サトウキビの刈り取り

宿泊所からは、毎日、トラックの荷台に乗ってLAODIに向かいました。なかなかできない経験で、良い思い出になりました。LAODIでは2班に分かれて、サトウキビの刈り取りと搾汁を行いました。重さ数キログラムのナタを振って、気温30℃を超える中、手のマメをつぶしながらも何本も何本も刈り続けました。サトウキビの差し入れもあり、水も飲みながら、休みも取りながら、助け合いながら、何とか全員で数百本は刈ったのではないかと思います。これがラム酒になるのかと思うと、ラム酒の味わい方も変わってきます。サトウキビの気持ちを感じようとした教員もいました(下)。

LAODI研修③:サトウキビの搾汁

さて、刈ったサトウキビは、これまた何本も何本も刈った分だけ搾汁機にかけ、サトウキビからラム酒づくりの材料となる搾汁液を搾り取ります。次から次へとやってくるサトウキビを持ち運び、終わったころにはもうくたくたです。これを毎日行っているLAODIの従業員の皆さんは本当にすごい!

LAODI研修④:黒糖づくり

井上さんが日本の皆さんへのお土産にと、私たちに黒糖づくりにも挑戦させていただきました。先ほど絞ったサトウキビの絞り汁を煮詰めて、どろどろの状態にし、混ぜて混ぜて一晩固めると、おいしい黒糖が出来上がります。大きな金属のお皿の上で何時間も交代でかき混ぜました。途中、味見をさせてもらいましたが、おいしい!帰国後、出来上がったものも食べましたが、コーヒーやお茶にとっても合う美味でした。

LAODI研修⑤:ナーソン村BASIセレモニー

LAODI研修の最後に、さよならパーティを開いていただきました。LAODIのあるナーソン村の村長さんや祈祷師の方にも来ていただき、ラオス伝統儀式であるBASIセレモニーが執り行われました。儀式の結果、私たちは村に受け入れられ、白い糸を通して村の皆さんと私たちメンバーは一つになりました(One Team!)。LAODIの方から私たち、あるいは友達同士でも白い糸を手首に結び合い、お互いの旅の安全や健康、友情など祈り合いました。パーティでは食事を楽しみながら、片言のラオス語とボディランゲージでコミュニケーションをとり、そして最後には、音楽に合わせて一緒に踊りLAODIの皆さんとの交流を深めました。

LAODI研修を終え

ハードな、そしてとっても有意義なLAODIでの研修でした。初めての海外経験であるという学生も多い中、何十年たっても、きっと心のどこかに必ず残るほど強烈な印象だったと思います。是非、成長の一過程にしていただきたいです。空高く。私たち教員は青空に向かって空高くぐんぐん伸びるサトウキビを見るのがとっても好きなのです。良いチームでした。

ネズミ!

すみません。私ごとですが、私(佐藤)はネズミを探しにラオスに行きました。そして、運よく排水池でおぼれていたドブネズミの仲間を見つけました。大物!これを網で捕まえていただいたのが下の写真です。ラオスの人達はこれを食べるのだそうです。様々な理由により詳細は省きますが、ネズミを捕まえた彼も私とは違う意味で少しうれしそうでした。

終わりじゃないよ:小学校訪問

上の写真を数えてみると、現在28枚。半分強です。もうちょっとだけお付き合いいただければ嬉しいです。次は、ナーソン村の小学校の訪問です。300人弱の子供たちが出迎えてくれて、国歌斉唱をしてくれました。私たちからは、靴や絵本など不足しているものを提供させていただきました。帰り際にずーっと手を振ってくれた子供たちの無邪気さがとっても印象的でした。また、この日は、地元のお酒ラオラオ(50度を超す強いお酒)を造る民家を訪問させていただき、その製造過程を学びました。

ラオス国立大学との交流:教育と研究の連携に向けて

次に、ラオス国立大学農学部との交流を行いました。この交流は、学生同士の交流とラオス国立大学農学部と福山大学生物工学科との教育や研究における連携・協力の可能性を探る意義がありました。秦野教授からは福山と福山大学についての紹介、佐藤からは生物工学科の教育と研究についての紹介、そして14名の学生からはスライドを使った自己紹介をそれぞれ英語で発表させていただきました。ラオス国立大学からは30名程度の教員と学生が参加してくださり、大学の教育と研究を紹介してくださいました。教員だけでの連携の可能性を探る議論の場では、私たちの教育・研究にも興味を持っていただき、学生と教員共に今後につながるとても良い交流ができました。

Houey Hong Centerで織物の染色体験

ビエンチャンの郊外に、Houey Hong Centerという「女性の経済的自立を目指した織物・染色技術センター」があります。そこで、地元の動物(カイガラムシ)や植物が持つ色素を組み合わせた織物染色を体験しました。地域の自然の産物を産業利用する点は本学の里山研究とも、瀬戸内に根ずく藍染めの歴史とも相通じるものがあります。それぞれ好みの型と色を決めて染色した織物をお土産としました。

ビエンチャン観光!

やはり、見知らぬ土地に来て文化や歴史を学ばずには帰れません。最後に、ビエンチャン市内の名所を観光しました。ラオスには仏教にまつわる多くの建物があります。また、フランス統治時代の名残のある街です。黄金の仏塔のタートルアンはビエンチャンのシンボルであり、仏陀の骨が収められているとされています。パリの凱旋門に習い作られたパトゥーサイは戦没者慰霊の塔。7階まで登るとビエンチャン市内を広く眺めることができます。急ぎ足ではありましたが、最後の2日間で多くのラオスの文化に触れることができました。観光から早めに帰ってきた2年生は、なんとホテルの窓ふきの掃除を手伝っていました。服装も知らぬ間にナイトマーケットで買ったラオスの帽子とTシャツになっていました。従業員さながらで、ホテルの従業員も笑っていました。やるじゃん。こういう行動、とってもいいね!

トゥクトゥクで空港へ!

ラオスの交通手段と言えば、トゥクトゥクです。最後の最後にその経験ができました。ホテルの人に空港までトゥクトゥクで行くと言ったら、驚いていました。そんな遊び心をもって、ラオス最後の地であるワッタイ国際空港に着きました。最後に、LAODIの井上さんとシハッタさんと空港でお別れし、ラオスともさようなら。楽しかったことも、うまくいかなかったことも、両方たくさんありました。実は、体調を崩した学生もいました。それでもラオス研修を終えてみると、そんな学生も、来年もう一度行きたいと言うのです。それだけ充実した心に刺さる経験だったのだと思います。LAODIの井上さん、シハッタさん、最初から最後まで細部にいたるおもてなしで、私たちの旅を成功まで導いていただいたこと本当に感謝いたします。ありがとうございました。コープチャイライライ。

LAODIのラム酒

LAODIのラム酒のボトルは外側から見ると、とてもモダンでクールなものに見えます。しかし、私たちが体験したラム酒づくりはその対極にあるような、さんさんと照り付ける太陽の下、土とサトウキビと汗の匂いに満ちたハードな作業でありました。私たちがこのLAODIのラム酒を飲むときには、そんな情景を思い浮かべながら飲むことができます。ただのラム酒ではない、ラム酒以上の何かを感じざるを得ません。

空高く。いまや世界はとっても狭くなり、ますます多様性を受け入れる素養を身に着けることが求められています。今回のラオス研修が、学生の国際的視野を広げ、文化的多様性、生物多様性、その他、様々な多様性を経験し、理解し、受け入れる、そんな成長の一助となればよいなと思います。学生の皆さんの成長が、生物工学科の成長そのものです。私たちも負けませんが。

 

学長から一言:なんと盛りだくさんのラオス研修!!!学生の皆さん、素晴らしい経験になりましたねッ!ここが出発点。。。これからの進展・発展が楽しみです!LAODI社の皆さまをはじめとするラオスの皆さま、ありがとうございました!!!今後ともよろしく!隊長、副隊長の2人の教員もお疲れ様!