生命工学部

Faculty of Life Science and Biotechnology

生物工学科

秦野 琢之(はたの たくし)

職 名 教授
学 位 工学博士
専門分野 応用微生物学、応用遺伝子工学
担当科目 バイオマス・資源リサイクル、微生物培養工学、応用遺伝子工学、植物栽培実習、醗酵生産工学特論など
メッセージ 微生物は私たちの目ではほとんど見ることはできませんが、実は無限の能力を備えているといっても過言ではありません。また未知の微生物がまだ100倍近くいるといわれています。私たちの研究室ではこれら微生物の力を最大限引き出して、人類にとって有用な物質をバイオマス原料から生産する技術の開発を目指しています。

有用油脂の分泌発酵生産システムの開発

油脂は生物にとって必須であり、また燃料としても利用できます。油脂は植物、動物に加えて微生物からも生産されています。しかし、ほとんどの油脂生産生物は細胞の中に油脂を溜めこんでしまいます。そのため、細胞が肥満してパンパンになったらそれ以上は作れないし、回収の時には細胞を壊して抽出しなければなりません。細胞内で合成した油脂を、細胞の外に出して(分泌して)くれる微生物を改良して作ったら、生産性の向上と抽出コストの低減につながります。私たちは酵母を材料として、油脂の分泌発酵生産を実現したいと考えています。

油脂の分泌発酵を可能にしたい

食用廃油からの植物ガソリンの生産

テンプラやフライ等に使用された食用廃油は、一部は石鹸やバイオディーゼル燃料等に再利用されていますが、まだ十分とはいえません。私たちは特定の食用廃油(パーム核油:食品工場でフライ等に使用)をメチル・アルキル・ケトン(MAK:炭化水素に酸素分子が1つだけついた化合物)に変換するカビを分離しました。MAKは燃料として十分利用できるので、私たちは「植物ガソリン」とよんでいます。私たちはこのカビを使って、貴重なバイオマスでもある食用廃油から植物ガソリンを大量生産するための基礎実験を行っています。

夢を見るならでっかくいこう

バイオマスを原料とするバイオエタノールの生産

現在燃料用バイオエタノールのほとんどは、トウモロコシやサトウキビから作られています。これでは家畜やヒトの食料と競合します。そのため木質バイオマス(製材工場残材、建築廃材、古紙、林地残材など)や未利用バイオマス(稲わら、もみ殻、その他農作物の非食用部など)またグリーンタイドで大量発生するアオサや海藻などからバイオエタノールを作る研究が広く行われています。私たちは遺伝子組換え酵母や自然から分離した野生酵母を用いて、植物繊維(セルロース)やアオサからのバイオエタノールの生産を目指しています。

究極のバイオマス利用を実現したい