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薬学科

道原 明宏(みちはら あきひろ)

職 名 教授
学 位 博士(人間・環境学)
専門分野 生化学(脂質代謝)、細胞生物学、分子生物学
担当科目 生体のなりたち、生体機能調節I、生命情報を担う遺伝子、ゲノム情報と創薬、バイオ・細胞医薬品、など
メッセージ コレステロールって、体に悪いイメージ、ありませんか? そんなことはありません。むしろ、体に必要なものなんですよ。とはいうものの、たくさんのコレステロールがありすぎると良くありませんが、低すぎるほうがもっと怖いんです。なぜなら、低すぎると、総死亡率、脳内出血、うつ病、自殺等が増えるといわれているからです。コレステロールは中庸(中程度)が一番ということですね。

コレステロールって、どうやってできるの?

コレステロールは何からできるか、知っていますか? 体の中で、酢(酢酸)から作られるんですよ。不思議ですよね! これを可能にしているのが、酵素です。コレステロールができるまでには32個以上の酵素が関わっていると言われています。この酵素が少なくなると、コレステロールの量が減ってしまいます。コレステロールが減ると、総死亡率、脳内出血、うつ病、自殺が増えるといわれています。遺伝的原因で酵素が減少する人は、これらの病気になる割合が高くなるかもしれません。コレステロールを作る酵素をコントロールしているものは何なのか? これが分かれば、病気の予防に役立つかもしれません。

コレステロール合成酵素を制御する転写因子の探索

コレステロールと脳卒中の関係って、知ってますか?

コレステロールは細胞膜の一員です。知っていましたか? ですから、これが減ってしまうと、細胞が弱くなってしまいます。血管は細胞でできています。何となく分かってきましたか? コレステロールが減ると、細胞膜が弱くなり、血管が破けてしまいます。脳で起こると脳内出血という状態になってしまいます。反対に、コレステロールが増えすぎると、サビついたコレステロールがたくさんできてしまい、血管に溜まりすぎて、血管の穴が、ふさがれていきます。これが脳で起こると脳梗塞、心臓で起こると心筋梗塞という状態です。遺伝的原因でコレステロールの量が変動していたとしても、食生活の改善でこれらの病気が予防できることを(一部の例外を除いて)、多くの人たちに知ってもらいたいです。

脳卒中易発症ラットを用いた血清コレステロール低下機構の解明

ストレスで脳が壊れるの?

ストレスをうけると人間は弱ってしまいます。ストレスにもいろいろあります。「酸化ストレス って言葉、聞いたことありますか? 分かりやすく言うと、体の中のいろいろな物質がサビついていく状態を、酸化ストレスと言います。これが脳で起こると、どうでしょう?大変なことになってしまいますよね。酸化ストレスは、脳卒中の1つの原因であることが、最近、分かってきました。病気の大部分は、この酸化ストレスが原因ではないかとも言われています。なぜ、脳卒中を引き起こす人々の多くが、酸化ストレスの影響を受けているのでしょう? 大変興味がありますよね。これらのメカニズムを明らかにし、病気の予防に役立てたいと日夜頑張っています。

脳卒中易発症ラットの脳に及ぼす酸化ストレスの影響

細胞と細胞をつなげるクギの正体とは?

血管はゴムホースではありません。なぜなら、細胞でできているからです。ですから、血液中の物質が細胞と細胞のつなぎ目から外に漏れ出すことが、時々あるんです。これが大量に起きているということは、血管が破けた状態にあるということになります。この状態は、まずいですよね! これらを防ぐために、細胞と細胞の隙間をうめる、クギのようなタンパク質が存在します。それが、クローディンというタンパク質です。クローディンが少なくなると、細胞と細胞の隙間ができやすくなり、血管が破けやすくなることが考えられます。クローディンの量を増やすことができれば、脳内出血の予防になるのではないかと考え、日夜頑張っています。

クローディンD1の機能解析

色白美人で一攫千金!

ビタミンEの仲間に、トコトリエノールというものがあります。このトコトリエノールの抗酸化作用(体の中のサビを止める作用)は、一般的なビタミンE(トコフェロール)よりも、40倍強いことが知られています。すごいですよね! トコトリエノールの作用は、なんと、これだけではありません。コレステロールを下げる作用も持っています。さらに、みなさん、ビックリしないで下さいよ! メラニン(シミ・ソバカスの原因)を作る酵素を抑える効果もあるんです。つまり、美白効果があるということなんです。このトコトリエノールを有効的・効率的に使うことができれば、色白美人になれるかも! 一攫千金目指して頑張ろう!

メラニン細胞に及ぼすトコトリエノールの影響