建築学科

Department of Architecture

福山大学建築学科WEB卒業設計展2021

見に来ていただきありがとうございます。
今年の「WEB卒業設計展」では、デザイン系ゼミの先生方(大島・佐藤・藤原・佐々木・酒井)に9作品の中から上位3作品に3~1点の得点をつけていただき、ランキング形式で集計しました。
上位3作品の得点を添えて紹介します。
先生方からの評価(コメント)も一緒にお楽しみください。

  1. 2021年度作品
  2. 2020年度作品

最優秀賞(得点11点)

 

海葬・回想  ~忘れてはいけない記憶~  山根 翔平

計画内容  墓標を必要としない海洋葬

計画敷地  似島北部にある山地

コンセプト

都心からほど近く、自然環境の良い、海と深い繋がりのある似島で、墓標を必要としない海洋葬を用い、弔い、祈りをすると共に、宿泊施設を設け、利用者が落ち着いた時間を過ごせるようにする。

詳細図面(PDF)
教員からのコメント

これは友人の死をきっかけに弔いの場を模索した作品である。瀬戸内の島の自然を生かしたランドスケープアーキテクチャで、土地の力を最大限引き出すチャレンジングな空間構成。地中深く沈めた空間に静寂な回想を求め、陽の光を浴びる地上に祈りの世界をつくった意欲作である。(佐々木)

テーマとして「命」があり、それを「死後」どのように弔い、記憶にとどめるかについて、検討されている作品である。しっかりと場所に生きつく、設けだて評価する。(藤原)

広島の歴史的景観を押さえた上で、人間の死というテーマに取り組んだ作品で、「死」に対して生者が向き合う「弔い」という行為と「死」へのイメージを空間化することによって形づくられた作品である点を評価する。(酒井)

優秀賞(得点7点)

 

Ark ~Plan to Turn sled Wall into Ecotone~ 岡田紘汰

計画内容  洪水と向き合った生活空間作り

計画敷地  服部大池

コンセプト

ため池決壊のリスクから住民の保護、生態系を保全、ため池の継承の3つの保守を目的とし、長期的な構築を構築する。

詳細図面(PDF)
教員からのコメント

洪水という災害から人を守りながらも、洪水を利用と共存ができるように逆転の発想がなされており、類を見ない作品となっている。

優秀賞(得点5点)

 

線路を解く ~旧三江線を利用した機能連結型都市の提案~ 道上拓海

計画内容  廃線となった三江線の線路及び各駅舎のコンバージョン

計画敷地  廃線となった三江線の線路及び各駅舎

      尾関山駅 粟屋駅 長谷駅 船佐駅

      所木駅 信木駅 式敷駅 香淀駅

コンセプト

広島県三次市はかつて「住みよさランキング」の医療・福祉面の安心度について全国11位(2014年)等の評価をされたこともあった。

しかしながら現状は一部地域を除く多くの地域で高齢化と人口減少が加速しているなど、住みよさとは真逆の方向へ進んでいる。

一方で平均寿命は全国1位であり、さらなる延伸が見込まれることから「人生100年時代構想会議」を行うなど、老若男女が活躍できる社会を目指した基本構成をまとめている。

これらをもとに三次産業に従事しながら三次市に住み続けられる地域と建築の提案を行う。

詳細図面(PDF)
教員からのコメント

図面だけではなく、模型もしっかり作っている。広島県三次市は広島県北部に位置し、三好駅は山陽と山陰とつながる3路線の結節点であったが、利用者の減少により2018年に三好駅が廃線となった。しかし、線路と駅は残され、それとともに嘗て三江線を利用した住民たちの記憶のなかにも残されている。道上君は、鉄道と駅が地域を繋いできた歴史を重く受け止め、廃線となった鉄道路線と間隔が約2Km前後でつながる8つの駅を再利用し、住民たちが長く住み続けられるような設計提案を行った。各駅は周辺環境も各地域に求められる機能も異なるため、駅のつくり方のスタディを行った結果、共通のシステムによって形態と空間をつくり、各駅の敷地条件や駅周辺のニーズや特性にも適合するようなつくり方を考えた。その結果、一つの駅にすべての機能を設けるのではなく、その駅と地域の特徴によって必要な機能を設定し、その他の機能は他の駅を利用するという機能連結型駅の提案である。これらの多様性に対応する手法として、架線の架台として一般的に使われている鉄構造の門型フレームと車輛を思わせる木造を主体構造としたボックス状のチューブという2つの要素を用いる要素構成型のシステムを考えた。共通システムで駅の形や空間を作ることにより、各駅の関連性と連続性及び一体感を与えることができる。当作品は、廃線となった三江線と各駅の周辺状況を綿密に調査し、有触れた門型フレームとボックス状のチューブという2つだけの構成要素のみで、周辺環境が異なる各駅の多様な諸条件にも対応システムを構築した。その結果、各駅のチューブが積層する形態は美しく統一感もあり、しかも、それらの結節点には流動性と空間が生まれ、住民たちの記憶の継承とともに、今後も新たな生活の場として親しまれていく駅の可能性を感じることができる作品として評価したい。(大島)

ひやさいのある図書館 ~新たな本に出会える場所~ 重松 晃平

コンセプト

現代、インターネットの普及により、図書館へ足を運び調べ物や読書をするという、現代の利用形式のみでは利用者が減少傾向となっている。倉敷市立中央図書館では、それに加え老朽化も進んでおり、衰退か変化の岐路に立っている。そんな現状を解決するべく、倉敷の街で効果的に用いられている「ひやさい」に着目した。これを図書館の持つ空間性に機能を落とし込み、情報拠点としての役割だけでない、新たな滞在型図書館のあり方を提案する。

詳細図面(PDF)
教員からのコメント

近年稀にみる大胆な提案である一方、空気感まで伝わるCG表現などが秀逸。(佐藤) 倉敷市立美術館と博物館の間にある倉敷市立図書館の建替え計画である。敷地周辺の環境も考慮して、現在の駐車場部分を地下に移転させ、3つの建物のための広場を設け、両サイドの建物を繋ぐ役割も持たせている。図書館内の計画は、従来の整然とした無機質な開架スペースではなく、書架と読書スペースをNDCにより分類したブロックに分け、それぞれが独立した建物のように広いオープンスペースの中に配置している。各ブロックは、は細い路地的な通路によって利用でき、あたかも倉敷固有の路地のような空間を作っている。利用者は、本を探しながら街の中の路地をめぐり、自分の好きな書物に出会い、心地よい空間の中で読書することができる。(大島)

路地参道 ~交わる人と道~ 大貝晴輝

コンセプト

観光客が往来する参道空間と町民のための生活空間である路地空間のあり方を見直し「琴平らしさ」を残しながら、観光客と町民の交流を促す、新たな参道空間を提案する。

詳細図面(PDF)
教員からのコメント

路地の通行客が通る部分の上にルーバーを設置することにより、動線の流れを視覚的に促す提案が印象に残った。また、夜になると各所に設置された提灯により幻想的で賑わいが感じられるような空間になっている。

都市スポーツインフラ ~地域の活性化計画~ 小橋 一輝

計画内容  スポーツ空間を設けることで既存の施設との連携も考慮し、都市のインフラとしての計画

計画敷地  広島県福山市のJR福山駅前に位置する伏見町

コンセプト

今後の長寿社会における快適な生活条件の一つとして市民の「健康」があり、「健康」に関わるスポーツ環境の整備が重要である。スポーツはあくまでも個人的努力で行うとされてきたが、縮減社会・長寿社会を前提に、都市環境の中に取り込むことによって市民により親しみやすいものになりえると考える。スポーツ関係の施設は主に郊外に点在的に配置され、非日常的な特別な存在として捉えられている。しかし、日常的な身近なものとして位置づけることが必要である。

詳細図面(PDF)
教員からのコメント

テーマ・コンセプトに沿った敷地選定、選定した敷地の背景や現状なども調査されている。 様々なスポーツの形態や、捉え方を運動のみでなく前後の準備・休憩なども考慮し、その用途に対応した空間・スペースをとっている。また、気軽に利用できる空間も多く存在していて、多くの人の利用、利用者の交流を促進させることで都市づくりにもつながる。

建物全体が広い空間となっていてを開放的な印象を受ける。

ヒトとモノが行き交うトコロ ~駅・商業施設・物流倉庫の複合施設~ 板垣智瑛

計画内容  リプレイスメント-駅と物流センター+αの複合施設の提案

計画敷地  東福山駅及び東福山貨物駅、線路を挟んだ北側の敷地

コンセプト

人のための駅と物のための駅が同じ場所に存在するならば、この場所に「きっかけ」を作り、繁栄の中心とする。変化を持たせて、飽きの来ない施設にするため、テーマは「リプレイスメント」である。 福山市の東福山駅及び東福山貨物駅、そして線路を挟んだ北側の敷地を利用して計画を行う。モーダルシフトを促し、都市の二重構造の解消を図るため、物流倉庫を配置する。さらには商業施設の配置を行うことで、モーダルシフトのさらなる効率化、及び周辺地域の活性化を図ることを目的とする。

詳細図面(PDF)
教員からのコメント

トラックによる幹線貨物輸送を大量輸送が可能な鉄道に変更することをモーダルシフトと呼ぶ。板垣先輩のこの計画はそれを促進させるために、駅に物流倉庫と商業施設を配置している。またこれらをスケルトン・インフィルで統一性のある目新しいデザインでまとめているところが素晴らしいと感じた。

 

地方都市における重要な問題として、商業施設の郊外立地による市街地の空洞化現象がある。都市の郊外には大規模な商業施設と物品倉庫が立地し、地方都市の2重構造の原因にもなっている。当計画提案は、これらの流通システムの見直しとしてモーダルシフトをテーマに卒業設計を行った。敷地を東福山駅に選定し、鉄道を中心に物流倉庫を駅東側に設け、西側の駅改札廻りに商業施設をまとめて配置し、物流と配送を近距離で効率的配置ができる環境を構築するとともに、消費の場としての商業施設空間を形成している。変化の激しい流通に対してスケルトン・インフィル的なシステムを設定し、10mグリッドによる白のスケルトンと、パステル調のカラフルなインフィルとしての商業施設との対比が特徴的である。(大島)

命を象る ~神石高原町における動物保護施設~ 戒野由晃

計画内容  動物病院、動物墓地と動物を保護するシェルターを併せた複合施設

計画敷地  広島県神石高原町

コンセプト

動物病院と動物基地を利用する人に動物を保護するシェルターの存在を知ってもらい、動物の命に対する価値観について再考する場をつくる。

詳細図面(PDF)
教員からのコメント

動物と触れ合う場所と動物保護シェルターの複合施設で、動物の命を取り扱う施設で動物と触れ合えることを目的とした珍しい作品である。

 

記憶にふれる 木梨稜也

計画内容  大久野島歴史資料館

計画敷地  大久野島の高所

コンセプト

大久野島の歴史と毒ガス製造の歴史についての理解をしてもらうために大久野島歴史資料館を計画する。

詳細図面(PDF)
教員からのコメント

大久野島の毒ガスの歴史に焦点を当て、大久野島を見渡せる場所に建てることでまさしく記憶にふれる作品となっている。

都市を縫う ~ 広島県福山市「2XXX年の都市計画」~ 河田陽依菜

計画内容  福山駅前再生

計画敷地  福山駅前

コンセプト

現在福山駅前は高層ビルが立ち並んでおり、駅前の高層ビルの中に忘れられた「空き」が存在している。「都市を縫う。」として人の動きによって町が形成され自然と法則が生まれるような新しい駅前の在り方を計画する。

10.河田陽依菜 詳細図面(PDF)
教員からのコメント

福山駅周辺の一部にこの施設を建てることで、福山駅周辺の未来が構築されるといった未来の都市計画は目を引くものがある。図面の表現は水彩タッチで柔らかさがある。

最後に大学院生の論文を掲載します。

都市空間における歩行空間に関する一考察~「歩く」まちづくりのための心理学的要因を加味した都市空間について~ 安田亮太郎【 修士論文