【スマートシステム学科】宮内克之教授の最終講義が行われました

【スマートシステム学科】宮内克之教授の最終講義が行われました

今年度をもって福山大学を退職される宮内克之教授の最終講義が、こちらのURLで告知したとおり、3月1日(水)に行われました。この様子について、工学部スマートシステム学科(フェイスブックはこちら)の伍賀が報告します。

宮内教授の最終講義は「なぜ、研究をするのか?なぜ、研究をしないといけないのか?」という演題で行われました。

宮内教授は鳥取大学の大学院を修了以来、研究と教育に尽力され、研究では特にコンクリート構造物の耐震性に関する研究テーマに長年取り組まれてきました。福山大学へは2003年に赴任されています。

宮内教授「なぜ、研究をするのか?なぜ、研究をしないといけないのか?」

今回の最終講義は未来創造館の講義室で開催され、演題でもある「なぜ、研究をするのか?」という問いかけに対し「楽しいから、面白いから、研究するのだ」という自身のスタンスを紹介されました。また、これまで取り組んできた研究を振り返りながら、炭素繊維シートによるコンクリート構造物の耐震補強の研究、乾式吹付け工法による耐震補強の研究が、1995年の兵庫県南部地震阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災の甚大な被害を目の当たりにしたことによって注目されてきた経緯を説明されました。

30号館大型構造物試験体実験室でのドイツSto社の視察時の写真を示しながら

特に、宮内教授の考案した乾式吹付け工法の耐震補強方法の開発に関しては、国土交通省や海外メーカーであるドイツSto社から、福山大学30号館の大型構造物試験体実験室での実証試験にたくさんの方々が視察に来られました。

宮内教授の最終講義の冒頭では、「楽しいから、面白いから、研究するのだ」というスタンスを示されましたが、講義の中であった「研究を通して、人間は謙虚な姿勢を身に着けていく」という話や「コンピュータは研究をしない」「覚えたことを教えるだけならば機械で十分」という趣旨の話は、研究の厳しさやその深い意義を同時に示唆されていることを感じました。また、質疑応答の時間には、宮内教授の薫陶を受けた他の大学の研究者の方々からもオンラインで質問が多く寄せられ、宮内教授の研究指導の大きな成果を窺うことができまました。

最後に花束と記念品の贈呈があり、和やかな雰囲気の中で最終講義は終わりました。

自作の一句を前に記念品を手にする宮内教授

「願わくば 我が家の下にて初夏死なん 幟たなびく青空のもと」

宮内教授は研究で取り組んできた耐震補強の知識を活かし、これからは実家建物の整備に励むとのことで、春のこの時期に詠まれた西行の句を本歌取りした一句を披露されました。また、最終講義の開催前には、自身で作曲された音楽を流し、非常に多才な一面を見せていただきました。個人的な思い出ですが、災害対応技術についていろいろと教えていただいたことに大変感謝しています。宮内教授のこれからのご活躍を祈念しています。

 

 

学長から一言:宮内克之教授の本学での長きにわたる勤務の終了を前に、末席で拝聴した最終講義は、貴重な学術的実績とともに洒脱な人柄を想像するに十分な内容でした。教授の多大な尽力で導入され、地域防災士の資格取得につながる地域防災関連諸科目は今や教養教育F群「地域学」の人気科目。これを受け継ぐわれわれの重責を感じます。