【心理学科】西藤小学校で妖怪版地域安全マップ作製セミナーを実施しました!

【心理学科】西藤小学校で妖怪版地域安全マップ作製セミナーを実施しました!

皆さんは「妖怪」は好きですか?

本日は、PACE福山支部が行う地域安全マップに「妖怪」を取り入れた活動について、心理学科濱本有希助手からの報告をお届けします(投稿は学長室ブログメンバーの大杉です)。

 


心理学科の濱本です。

そろそろ後期の授業も終わりが見えてきましたね。心理学科の4年生は、2022年12月15日(木)に卒業論文を提出し、1月26日(木)に卒業研究発表会を控えています。

犯罪心理学研究室4年の小林歩夢さん(並木学院福山高等学校出身)は、この度卒論論文として「妖怪版地域安全マップの効用-小学生児童を対象として―」を提出しました。この卒業研究の一環で、2022年11月21日(月)に尾道市立西藤小学校の3年生を対象として「妖怪版地域安全マップ作り」を行いましたので、本日はその様子を報告いたします。

地域安全マップとは、心理学科にあるボランティア団体PACE福山支部が行っている活動であり、参加した子どもの危険回避能力を高めることを目的とした活動です。この活動の防犯教育としての効果は非常に高く、参加者の危険回避能力、コミュニケーション能力、地域への愛着心、非行防止能力が向上することは既に明らかになっています(濱本・平,2008)。

小林さんは、「より効果が継続できるような改良をしていきたい!」という目的を持ち、地域安全マップに妖怪を組み込むことで、妖怪に対する興味が高まるだけでなく、同時に防犯に関する知識の定着や継続に期待できるのではないかと考えました。

卒業研究のために、小林さんを含む8名のメンバーが指導員として妖怪版地域安全マップ作りの指導のために集まりました。小学生に楽しく妖怪を見つけてもらうため、学生指導員の名札も妖怪版に作成しました。可愛い妖怪がたくさん隠れています。

<妖怪版地域安全マップ作製指導を行うメンバーの名札>

妖怪版地域安全マップ作製のプログラムは、通常の地域安全マップ作製とスケジュールは同じですが、「妖怪クイズ」、「妖怪探し」、「妖怪安全マップ作り」の3つの要素が新たに加わっています。

  1. 妖怪クイズ:事前講義で、地域にある様々な安全・危険に関わっている妖怪を紹介しました。
  2. 妖怪探し:フィールドワークで、安全・危険な場所に潜む妖怪を見つけて(考えて)もらいました。
  3. 妖怪安全マップ作り:マップ作りで、妖怪の名前や姿を考え、詳しい解説を含めてもらいました。

<妖怪版地域安全マップのスケジュール>

<学生が作成したスライドの一部>

フィールドワークから帰ってくると、どの班も見つけた(考えた)妖怪の話題で持ちきりでした。子どもたちはすぐに「妖怪の説明シート」に妖怪の絵を描き、その妖怪の名前、その妖怪が安全なのか危険なのか、そしてその妖怪がどんな妖怪なのかの説明を夢中で書いてくれました。もちろん、通常の地域安全マップ作りの内容も踏まえているので、安全な場所のキーワードである「入りにくい・見えやすい」や、危険な場所のキーワードである「入りやすい・見えにくい」もしっかり書けていました!

<小学生が考えた安全な妖怪(左)と危険な妖怪(右)>

そして、完成した地域安全マップを以下に紹介します。どの班もとても素敵な「妖怪版地域安全マップ」ができていました。事前に妖怪に関する知識を持っていない人が見ても理解しやすいように、しっかり工夫されたマップです。

<完成した妖怪マップ>

小林さんは、この活動の前後で質問紙調査を行い、卒業論文にはその結果が載せられています。小学生の楽しそうな様子を見て、私(濱本)も妖怪を取り入れた成果があったのではないかと感じました。

それでは、妖怪版地域安全マップを終えた小林歩夢さんの感想を紹介します。

先輩の研究を引き継ぎ、妖怪版地域安全マップを小学校で実施しました!まずは、妖怪版地域安全マップに参加してくれた西藤小学校の3年生の皆さん、そして、忙しい時期のお願いに対応してくださった西藤小学校の先生方のおかげで素敵な卒業論文ができました。ありがとうございます!

また、一緒に指導員をしてくれたPACE福山支部、平ゼミ(平伸二教授の犯罪心理学研究室)、同級生の仲間、そして心理学科の先生方など、多くの人が応援・協力してくれたおかげで当日まで無事に辿り着くことができました。本当にありがとうございました!

地域安全マップに高い防犯教育の効果があることはもちろんですが、今回私たちが実施した「妖怪版地域安全マップ」により、子どもたちに更に楽しく防犯に関する知識を学んでもらえたと感じています。妖怪を防犯教育に用いるメリットについては、卒業研究発表会で詳しく報告する予定です。頑張ります!

小林さんは、妖怪版地域安全マップ作りを終えた小学生の感想について、質的な分析を行い、言葉の出現頻度の多さに応じた大きさで図示してくれるワードクラウドを作成しました。小学生が、楽しく地域の安全や危険について学べたことがよくわかる結果となりましたので、紹介させていただきます。

<妖怪版地域安全マップ作りを終えた小学生の感想>

妖怪版地域安全マップ作りも大成功でした。ご協力くださった尾道市西藤小学校のみなさま、ありがとうございました。

PACE福山支部の活動、そして妖怪版地域安全マップの今後の展開にも、ぜひご期待ください!


国土交通省がすすめる防災教育でも、妖怪が登場する水害ハザードマップが存在します。怖さも含みながらも親しみやすい妖怪を取り入れる遊び心は、小学生の心をぐっとつかむものです。今後もよりより防犯教育をすすめられるよう、心理学科一同、頑張りたいと思います。

 

 

学長から一言:楽しい妖怪クイズや遊びをしたり、妖怪の名前を組み込んだ地域安全マップを作る中で、小学生が自然な形で身の周りの危険を認識していく。そして、その過程を心理学的に分析した小林歩夢さんの卒論はきっと素晴らしい仕上がりでしょう。子ども達が考えた妖怪の名前も実にユニーク。通り一遍の訓示などより、安全意識の向上に何倍も役立つでしょうね。