【生物工学科】ラオスの風はラオスに吹く① LAODI

【生物工学科】ラオスの風はラオスに吹く① LAODI

コロナ禍の中、海外に出かけることも少なくなり、島国で暮らす私たちは、ますます自分の周辺という枠の中で生きるのみになっています。ある程度の年齢を重ねた人にとってはそれでもよいのでしょう。しかし、これから予測不能なダイナミックな世の中で生きていかなければならない若者にとっては、若いうちに日本にいるだけでは気づかない自分自身に出会うことが人生において大変重要な意味をもちます。多様性を認識し、理解し、受け入れる。そうした時代にいま私たちは生きています。どんどん外にでることで、自分の幅を広げていく必要があるのです。ラオスの風はラオスでしか感じることはできません。実体験のみが人を成長させます。

以上、ちょっと堅苦しい話はさておき、12月2日(金)~11日(日)に生物工学科の学生13名と教員2名がラオスを訪問し、素晴らしい研修を体験してきましたので、生物工学科佐藤が報告します。ラオス海外研修は2019年に実施しましたが、その後、実現しませんでした。今回、3年ぶりに実施することができ、学生たちが大変アクティブな活動をするのを見て、大変うれしく思いました。あまりに充実した研修であったので、1つのブログでは紹介しきれません。今回のブログを含めて今後、複数のブログに分けて順に報告したいと思います。今回は、世界的なラム酒製造メーカーであるLAODIでの研修の様子をお伝えします。

LAODI

LAODI社は、Lao Argo Organic Industries 社の略で、今や世界を舞台に活躍するラム酒メーカーです。会長で醸造責任者の井上育三さんは、福山市のご出身で、本学でも非常勤講師をしているというつながりがあり、今回のLAODIでの研修が実現しました。LOADIには広大なサトウキビ畑があり、学生たちはサトウキビの刈り取りから搾汁作業、搾汁液から白玉糖の作成、そしてラム酒製造過程の学習を体験しました。井上さんのガイダンスの後、学生には一人一人研修に対する思いを語ってもらいましたが、学生の言葉は研修に対する期待にあふれるものでした。以下の写真は、LAODIのサトウキビ畑と思いを語る学生です。

サトウキビの刈り取り

LAODIスタッフは朝早くから作業をしていましたが、私たちは8時半頃から参加しました。お昼が近づくにつれ、気温が30℃を超えてきて、だんだん疲れが増してきます。それでもLAODIスタッフは歌を歌いながら、もくもくとサトウキビを刈ってまとめる作業をしていきます。つらい仕事を楽しくこなすスタッフの働き方を感じました。それを真似て私たちも力の限り鉈を振り下ろし、楽しみながら(疲れたけど。。)サトウキビを刈り続けました。このような労働の末にLAODIのラム酒ができあがるのかと思うとラム酒に対する考えが変わってきます。休憩時間にはサトウキビをかじってみました。ほのかに甘い!当たり前ですが、直に体験したということが大切です。休憩時間には言葉が全く通じない中、笑顔と身振り手振りでLAODIスタッフとコミュニケーションをとり、交流しました。

サトウキビ畑は広大なので、専用車で移動しました。短い距離をゆっくりと移動するのですが、ガタガタと揺れる荷台に乗る経験は大変印象的だったと思います。それにしても、初日は大変天気が良く気持ちが良かったです。

サトウキビからの搾汁

さて、今度はサトウキビからの搾汁です。サトウキビ畑から次々と運ばれてくるサトウキビをひたすら専用の搾汁機に投入します。つぶしてサトウキビの中から糖を含んだ液体を絞り出し、ラム酒をつくるための原料とします。どれも力仕事です。この搾汁作業を担当しているLAODIスタッフは全員女性です。女性が活躍する職場なのです。作業がおわったらお昼御飯でした。カオカーム―というお弁当でしたが、仕事の後のご飯はとってもおいしかった!

白玉糖づくり

今度は白玉糖づくりです。これは、簡単に言うと、サトウキビの搾汁液を煮詰めて固めた砂糖のことで、高知県芸西村伝統のスイーツです。ぐつぐつと煮詰めた搾汁液のpHを調製し、布でこしとり、香りづけにラム酒を加えて、最後にはひたすらかき混ぜます。1日室温で固めて、カットしてお土産としました。これだけの量の白玉糖は相当な額になるとか。以下はその作業風景です。写真が多いですが、どうぞ。

LAODIスタッフとの交流

LAODIでの最後の日にはパーティを準備してくれました。たくさんのラオス料理、楽しい会話とダンスとともにLAODIスタッフと交流しました。今回の研修では、井上さんとLAODI社長であるシハッタ・ラスフォーンさんに本当にお世話になりました。お二人がいなければ、他のどこかでは体験できないこのオリジナリティあふれる海外研修を実施することは不可能であったでしょう。お二人には感謝しかありません。

LAODIで得たこと

LAODIでの研修は、この生物工学科の海外研修を単なる観光ではないオリジナルな内容にする重要なポイントになっています。生物工学科のカリキュラムの中で発酵を学び、その延長線上にこのラオス海外研修があります。学生たちはきっと覚えた知識を実体験とともに身に着けることになるのでしょう。Only source of knowledge is experience. アインシュタインが述べた言葉ですが、まさに実体験をさせていただく研修は、学生の知識を本物にする上で素晴らしい機会を与えてくれました。きっと将来、このLAODIでの体験とともにラム酒の味や香りを思い出すことになるのでしょう。ビエンチャンのおしゃれで綺麗なLAODIバーでラム酒を飲んでいても、このサトウキビ畑での大変な作業を思い出し、さらにラム酒がおいしく感じられるはずです。長く濃密なLAODIでの3日間でした。今後もラオス海外研修のブログ報告の続きをご期待ください。

 

 

学長から一言:よそでは絶対に経験できないラム酒作りの過程でのサトウキビの収穫や搾汁作業、煮詰めて糖分を取り出す作業など、ラオス研修の中核的な活動を無事に終えた参加者の皆さん、お疲れ様でした。旅行会社が企画するラオス観光旅行では味わえないような、現地の生活に対する理解が深まり、特別な学びが体験できた様子が写真に溢れています。体験レポートの続編が楽しみです。