【生物工学科】醸造責任者として初めて醸したワイン

【生物工学科】醸造責任者として初めて醸したワイン

生物工学科の卒業生(ワインプロジェクト1期生)であるせらワイナリー醸造責任者が学長を表敬訪問しました!今年度のワインの仕込みも一段落した今月初め、初めて責任者として製造したワインを片手に成長した姿を見せてくれました。同席した岩本学科長よりレポートをいただきましたので、学長室ブログメンバーで福山大学ワイン醸造所長の吉﨑が投稿します。

せらワイナリーの醸造責任者に

2019年に生命工学部生物工学科を卒業し、今年の7月に弱冠25歳でせらワイナリーの醸造責任者に就任した橋本悠汰醸造責任者(広島県立福山明王台高等学校卒業)が、(株)セラアグリパークの宮本幸三常務とともに学長室を訪問し、醸造責任者として初めて醸したワインを大塚学長に持参されました。橋本氏は、中四国ワイナリー協会に加盟する23のワイナリーの中でもとびきり若い最年少の醸造責任者だそうです。

            橋本悠汰醸造責任者(左)と宮本幸三常務(右)

橋本くん(親しみを込めてあえて「くん」で呼ばせていただきます)は、生物工学科の醗酵科学研究室(山本覚教授吉﨑隆之准教授)で卒業研究を行い、ワイン醸造家を夢見てせらワイナリーの門を叩きました。同ワイナリーでは、前醸造長の厳しい指導のもと、ワイン醸造からワイナリーの運営、商品化に至るまでの様々なことを叩き込まれました。その前醸造長が今年の6月に退職されたのを機に、25歳の若さでせらワイナリーを任されることになりました。橋本くんは、とても勉強熱心で熱意あふれる若者とはいえ、さすがに思い切った抜擢です。

本人曰く、「今年はタンク1つを任せてもらえないかと醸造長にお願いしようと思っていたところ、いきなりワイナリー全体を任されることになってしまいました。最初は自分にできるのかと思い悩みましたが、悩んでいても仕方がない、若さに任せて思いっきりやってみようと決め、迷いは捨てました。」と力強く語ってくれました。

先輩後輩の二人三脚でワイン造り

とはいえ、若く経験も少ない身に大きな負担がかかるのは確実で、老婆心ながら様子を尋ねたところ仕込みの人手が圧倒的に足りず、なかなか家にも帰れないとのことでした。そこで、ワインの仕込みを手伝ってくれる人がいないかと学生さんに呼びかけたところ、広島県立世羅高等学校出身の深光純弥くん(生物工学科4年生)が手をあげてくれました。セラアグリパーク様の暖かいご支援のもと、ここから生物工学科の先輩・後輩の二人三脚でのワイン作りが始まりました。ちなみに、深光くんの実家は世羅町で鉄工所を営まれており、せらワイナリーではたくさんの方に声をかけていただいたとのことです。

                深光くん(左)と橋本くん(右)

以下にハニー・ビーナス(ブドウ品種)の仕込み風景動画を掲載しますので、どうぞご覧ください。この日は3-5トンのブドウを仕込みました。流れるような作業ですね。

 

無事に今年の仕込みを終えて

今年仕込んだブドウは合計60トン。ここから6万本ものワインができるとのことで、気が遠くなる数字です。橋本くんに「そんな大量のワインが売れるの?」と聞いたところ、「気合と根性です」とのことでした。いやはや若さとは恐ろしい。ということで、もしせらワイナリーに行かれることがあれば是非ワインをお求めいただき、忌憚ない意見を橋本くんにお届けください。皆さんの声をバネに、さらに美味しいワインの醸造に邁進してくれることでしょう。コロナに負けずに精進し、その体験を後輩に伝えてくれることを楽しみにしています。

追伸 

今回、大学に持参されたのは、上の仕込み風景動画にあるハニー・ビーナスのヌーヴォー(その年に収穫したぶどうを醸造した新酒ワイン、ボジョレ・ヌーヴォーが有名)と橋本くんが3年前せらワイナリーに入社した年に初めて仕込み、樽で熟成させていた “百花 マスカット・ベーリーA”の2本です。“ハニー・ビーナス ヌーヴォー”は、まるでぶどうジュースを飲んでいるようなさっぱりとした口当たりの甘口ワインで、ワインが苦手な方でも美味しくいただけます。“百花 マスカット・べーリーA”の方はまだ飲んでいないので、どんなワインか楽しみです。

 

 

学長から一言:生物工学科卒業から3年目にして早くも「せらワイナリー」の醸造責任者として活躍している橋本悠汰さんが、上司である株式会社セラアグリパーク常務の宮本幸三様と一緒に、自らの初作品であるワインを携えて学長室を訪ねて下さいました。60トンものブドウの仕込みの全責任を任されたのです。抜擢して下さった会社に心から感謝ですが、橋本さんにしてみれば、たいへんな重圧だったことでしょう。それでも同学科4年生の後輩で、助っ人を買って出た深光純弥さんの協力もあって、見事に責任を果たしたという苦労話は感動もの。しかも、岩本教授など学科の教員は学生が卒業した後も何くれとなく気にかけて、世羅まで足を運んだり、相談に乗ったりしているとのこと。本学は「面倒見の良い教育」を誇りにしていますが、これほどの手厚さは他所ではなかなか見られないでしょう。