【海洋生物科学科】「栽培漁業の変遷と技術開発―その成果と展望」が出版されました!!

【海洋生物科学科】「栽培漁業の変遷と技術開発―その成果と展望」が出版されました!!

このたび、海洋生物科学科有瀧真人教授が編者として取り纏めに当たった書籍「栽培漁業の変遷と技術開発-その成果と展望」が恒星社厚生閣から出版されました。このことについて、海洋生物科学科の太田健吾が紹介します(投稿は学長室ブログメンバーの阪本)。

本書の内容

本書は今を遡ること60年前,昭和36年に我が国が世界に先駆けて資源管理型漁業を提唱し、産声を上げた「栽培漁業」の歩みと得られた知見、技術を後世に引き継ぐために刊行されました。

栽培漁業の変遷と技術開発-その成果と展望

執筆にあたっては、栽培漁業の第一線で活躍した全国の技術者38名が協力し、「親魚養成と良質卵の確保」「餌料培養」「種苗生産」「放流効果の把握」の各工程において、総論と対象種毎の各論に纏めています。本書は種苗生産現場においては実用書として、教育機関では教科書として広範に活用いただけるように平易な表現でわかりやすく記述されています。

また、年表、用語解説、ポイント毎の説明やたくさんのコラムも載っていますので、一般の方々にも親しんでいただきやすい内容になっています。僭越ながら、私も執筆者のひとりとして栽培漁業を代表する対象種のヒラメについて親魚養成と良質卵の確保、種苗生産の各論を担当いたしました。この他、種苗の放流効果を把握する上で不可欠な標識技術についても現状と課題を述べるとともに、食品添加物を素材に用いる新たな標識技術の開発成果を紹介しています。

大塚学長に書籍の出版を報告

「増養殖学」の教科書

栽培漁業は、沿岸の環境や水産資源を一般の方々にわかりやすく示すことができるツールであり、種苗の生産現場では対象とする魚介類の一生を見届けることが可能です。また、放流した種苗が漁獲されて市場に並び、地域の料理としてテーブルに上がることを体験すれば、漁業の実態や沿岸環境の重要性、その地域の食文化を実感することもできます。

今後、本書は本学の授業のひとつ「増養殖学」の教科書として活用する予定です。大塚学長からは「培われた匠の技術と知識を伝えることで多くの学生にアクティブ・ラーニングの機会を提供でき、本学が進める「瀬戸内の里山・里海学への貢献も期待できる」との賛辞がおくられました。

左から有瀧教授、大塚学長、太田教授

今回ご紹介した書籍は図書館でもご覧いただけますが、内容の詳細は恒星社厚生閣のURLで確認をお願いいたします。

http://www.kouseisha.com/book/b584973.html

 

 

学長から一言:有瀧教授、太田教授から近刊の高著『栽培漁業の変遷と技術開発』について、直接に報告を受ける機会がありました。自らの手に成る書物の上梓に伴う昂揚感が伝わって来ました。二人とも本学赴任前には栽培漁業の第一線での実践経験豊富な研究者。かつての多くの同僚・同士との絆を活かして完成した本書は、多大な学術的・実践的価値を有する著作として評価されるでしょう。本学図書館の「本学教員著作コーナー」がまたひとつ厚みを増しまたことも喜びたいです。