【メディア・映像学科】教員が優秀論文賞の受賞報告!

【メディア・映像学科】教員が優秀論文賞の受賞報告!

メディア・映像学科では、学生たちも大学の中に限らずいろいろと活動していますが、教員も教育だけでなく研究活動にも力を注いでいます。今回、第9回日本マス・コミュニケーション学会優秀論文賞を受賞した今年度着任の丸山友美講師が、松田学長へ報告に伺いました。今回は、その様子と丸山講師による報告を投稿いたします。(メディア・映像学科:安田投稿)


優秀論文賞を受賞しました!

日本マス・コミュニケーション学会の学会誌である『マス・コミュニケーション研究』95号に掲載された論文「ラジオ・ドキュメンタリー「録音構成」の成立:NHK『街頭録音』と『社会探訪』」が、第9回日本マス・コミュニケーション学会優秀論文賞を受賞しました。2年に一度選考が行われるこの賞は、2001年から始まった学会賞制度で、優れた研究論文を顕彰するために設置されました。

受賞論文は1945年まで放送史を遡り、日本のテレビ・ドキュメンタリーはどんなラジオ文化に倣って誕生してきたのか、歴史的・技術的文脈と詳細な番組分析から検証したものです。「テレビ研究者」の私が、なぜラジオを研究したのか。その答えは、私の博士論文と密接に関係しています。

私の博論プロジェクトは、1957年から1964年に放送された日本初のテレビ・ドキュメンタリーシリーズ『日本の素顔』を通じて、いかにテレビ・ドキュメンタリーという表現形式が形成・成立したのか明らかにすることを目的にしています。これを論じるため、私は現存する番組をすべて見直し、放送台本や番組に関する雑誌・新聞記事、さらに局内誌や人事資料などの資料を収集し、存命する番組関係者の所在を調査して、当時の話をインタビューするという方法で研究に取り組んできました。

このように、プロジェクトを進める過程で、何度も耳にした話があります。その話が今回の論文の種になっています。それは、「ラジオの録音構成をテレビに移植することを目指した」というテレビ・ドキュメンタリー成立を論じる上で絶対に無視できない、当時の制作者たちに共有されていた思想です。この思想は、先行研究でも放送人たちの自伝でも想起/回顧されているのですが、録音構成はどんなスタイルの番組で誰がどのように制作・放送し、その録音構成の意図や形式はどんなふうにテレビに持ち込まれたのかということは、ほとんど検証されていませんでした。

このようにして発見した問いに、一つの答えを与えようとした試みが受賞論文です。占領期メディア史研究は、大御所から若手まで分厚い研究者層を備えるフィールドなので、足を踏み入れるのはとても怖かったです。しかし、テレビ研究者としてこのフィールドに貢献できたことを、今はとても嬉しく思っています。テレビ草創期の方々に直接話を伺える最後のタイミングだと言われている今、私は日本中の元テレビマンの声を集めることを目指し研究を続けています。今後はさらにその対象を広げ、番組制作部門だけでなく、事業部門や技術部門といった<テレビマン>にも光を当てていく予定です。また、ここで研究成果を報告できるように頑張ります。


 

学長から一言:文句なしに、おもしろい論文ですね~。。。私の子ども時代の最大の娯楽の一つがラジオでしたでしたから、テレビ草創期も経験していますが。。。なるほど、こんな風に研究対象にもなるのですねッ!おめでとうございます!授業もきっと興味深い内容でしょう!!!