【心理学科】「ものづくり × 心理学」: 企業との共同研究を学術誌に発表!(2)

【心理学科】「ものづくり × 心理学」: 企業との共同研究を学術誌に発表!(2)

心理学は「ものづくり」にも役立ちます!ミントの香りのするマスクなどいかがでしょう!?!

皆さんこんにちは。心理学科の大杉です。マスクの話題が絶えないこの頃ですが、本日のブログはそのマスクに関する研究の紹介です。認知心理学研究室宮﨑由樹准教授より紹介していただきます。

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こんにちは。宮﨑です。日本人間工学会の学術誌「人間工学」の56巻1号に、福山大学、北海道大学、ユニ・チャーム株式会社の3者共同研究の成果を発表しました。

ミントの香りのする衛生マスクを着用することで、花粉による鼻の不快感がどの程度和らぎ、その和らぎは時間とともにどのように変わるのかを調べた研究です。

近年、ミント等の香りのついたマスク製品が各メーカーから発売されています。このような着香は、純粋に香りを楽しむことの他、花粉によって生じる鼻の不快感を和らげることが主な目的でなされています。

香りに対する主観的な強度が時間とともにどのように変わるかについては、これまでも様々な研究で調べられてきました。しかし、香りの強度そのものの変化ではなく、(ミントのような)香りを嗅ぐことで、鼻の不快感の和らぎが時間とともにどのように変化するかについては明らかにされていませんでした。
このようなデータは長時間の装着が見込まれる香りつきのマスク製品を開発する際に貴重なものです。

この研究では、日常生活場面で、ミントの香りのするマスク(比較となる対照条件では通常の無香料のマスク)を、花粉による鼻の不快感を訴える方々に6時間装着してもらいました。
そして、マスク装着前、装着直後、30分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後に、その時点での鼻の不快感について、繰り返し回答をしてもらいました。

研究の結果、総じて無香料のマスクに比べて、ミントの香りのマスクを着用することで花粉による鼻の不快感が和らぐことがわかりました。

ただし、その「ミントの香りによる鼻の不快感低減効果」は、ミントの香りのマスクを装着した直後に強くあらわれることも同時に明らかになりました。
装着した直後から30分未満の香りの印象が特に大事なようで、30分を過ぎた後、1時間後、2時間後、6時間後・・・と時間とともに、ミントの香りによる鼻の不快感低減効果が加算的に増していくということは無いことも同時に分かりました。

※ この研究の結果は、ユニ・チャーム株式会社の超快適マスク す~っとミントにも活用されています。

この研究のように、「ものづくり」に心理学の知識や方法を活かすことができます

ユニ・チャーム株式会社との共同研究はその他にもあります(過去の取り組み1過去の取り組み2)。
現在進行中の研究も、いずれ紹介したいと思います。

高校生の皆さん、福山大学の心理学科で、企業が抱える課題の解決に一緒にチャレンジしてみませんか??

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心理学の力で、ミントの香りによる鼻の不快感低減効果がばっちり明らかになっているからこそ、良い製品だとわかりますよね。この時期花粉による鼻の不快感に悩まされる私も、ミントの香りのマスク・・・欲しいです!今後も「ものづくり☓心理学」シリーズをお楽しみに!!

 

学長から一言:多才な宮崎准教授は、マスクの香りの研究にも着手のようですねッ!花粉症で、最近いつも鼻をグスグスさせながら学長室に来る某氏にもお勧め?と思いましたが。。。ちょっとミントのイメージとミスマッチ。。。かな?それはともかく、心理学はお・も・し・ろ・い!