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薬学科

前原 昭次(まえはら しょうじ)

職 名 准教授
学 位 博士(薬学)
専門分野 天然物化学
担当科目 薬物の宝庫としての天然物、天然物化学、物質の基本概念、実習Ⅲ(天然物化学)、実感する化学など
メッセージ 昔から人間は動植物を有毒なもの、薬効があるものと経験的に識別し、薬として利用してきました。それらが産生する天然化合物の中には薬の素材として重要なものが多く、実際に薬になっているものも数多くあります。皆さんが普段飲んでいる薬に目を向けて見てください。どこかで聞いた事のある植物の成分かもしれませんよ。

植物の体内は無菌じゃない!?

古くは植物の体内は無菌だと考えられていましたが、実は植物体内にも微生物がいます。植物体内で植物に害を与えず共生している微生物をエンドファイトといい、私たちの研究室ではこれまでに、お茶の木、キナの木、ウコンなどから単離しています。それぞれの植物にどういう種類の微生物がいるのかを調べることによって、それぞれの植物に特有の微生物の種類の構成がわかり、多くの植物からデータを集めることによりエンドファイトの構成から植物を分類することができるようになるかもしれません。

キナの花

キニーネを作っているのは植物?それとも・・・?

キニーネは1820年にフランスの化学者によってキナの木から発見されました。それから200年もの間、キニーネは植物が作っていると考えられてきました。私たちの研究室では、キニーネの本当の生産者に興味を持ち、キナの木からエンドファイトを単離し、そのエンドファイトがキニーネを作ることを明らかにしています。しかし、エンドファイトがキニーネを作っているからといって植物が作ってないとは言いきれず、植物もエンドファイトも作っているのかもしれません。これらの共生関係を解明するために日々研究しています。

エンドファイト糸状菌(ジアポルテ属)

■薬をもっといい薬に作り変えるエンドファイトたち!?

薬用植物の体内で生活しているエンドファイトは、いつも薬用成分(生理活性成分)にさらされています。このような環境で生活しているエンドファイトの中には、薬用成分を他の物質に変える能力(微生物変換能)が備わっている菌がいるのでは?と考え、エンドファイトを利用した薬用成分の変換を行い、より薬効のある副作用の少ない薬にするため研究を進めています。これまでに、キナの木やウコン、茶の木のエンドファイトに微生物変換能があることを見つけています。