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薬学科

町支 臣成(ちょうし とみなり)

職 名 教授
学 位 博士(薬学)
専門分野 有機合成化学、複素環化学、医薬品化学
担当科目 基礎有機化学Ⅰ、基礎有機化学Ⅱ、ターゲット分子の合成、生体分子の構造と化学的性質、医薬品の化学構造と性質など
メッセージ アルツハイマー病、がん、HIVなど治療満足度が低いクスリは、新薬の開発が望まれています。一方、様々な測定機器の進歩により、植物などに極微量に含まれる新規な生理活性天然物が発見され続けています。このような背景の中、既存のクスリとは異なる新規な生理活性天然物に対して有機合成化学をその手法として使った全合成研究を行うことで、治療に有効と思われる新薬の種(シーズ)の探索研究を目指して日々研究を行っています。特に、がん治療は、これまで手術(外科治療)、薬物療法(抗がん剤治療)、放射線治療が三大治療とされ、近年ではがん分子標的薬の開発など、治療の選択肢が広がってきています。 しかし、高額な医療費がかかることから安価で使用できる低分子化合物の抗がん剤開発を目指しています。

 研究者情報 

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マイクロ波照を熱源とする電子環状反応による効率的な生理活性縮合複素環合成法の開発と医薬素材の探索研究

研究テーマの一つである熱電子環状反応を有機化学的一手法として、その有用性を確立することをテーマとし、近年では「熱」に関してはマイクロ波に着目し、その有用性も併せて研究を推進している。今回、タイトルに示したテーマとして図に示すように、ベンゾフェナンスリジン構造をもつ一連の天然物を合成できるルートを確立し、細胞増殖抑制作用の強い化合物を見出すことが出来ている。 今後は、さらに誘導体を合成し、より作用の強い誘導体の探索を続け、医薬品への展開の可能性を検討しています。

集積二重結合(X=Y=Z)構造を組込んだ6π電子系共役トリエンに対する熱電子環状反応の開発と医薬素材の探索研究

標的とする生理活性天然物合成に対して、集積二重結合(X=Y=Z)構造を組込んだ6π電子系共役トリエンを分子設計し、研究テーマの熱電子環状反応により、その天然物の骨格合成法を確立すると共に、その全合成研究、医薬素材の探索研究へと展開している。集積二重結合(X=Y=Z)構造とは、二重結合が2個以上連続しているもので、アレン(C=C=C)、イソシアナート(N=C=O)やカルボジイミド(N=C=N)を合成素子として利用した研究を行っています。 図に示すように、アレン(C=C=C)を組込んだ6π電子系共役トリエンに対する熱電子環状反応によりインドロ[3,2-j]フェナンスリジン構造をもつcalothrixin Bの全合成の達成と一連の誘導体を合成し細胞増殖抑制作用の強い化合物を見出すことができている。さらに誘導体を合成し、より作用の強い誘導体の探索を続け、医薬品への展開の可能性を検討しています。