経済学部

Faculty of Economics

【経済学科】2023年度卒業論文:学部長賞受賞コメント

【経済学科】2023年度卒業論文:学部長賞受賞コメント

経済学部では2022年度より、論文完成度、作成努力度、教員指導度といった観点から評価付けを行い、特に優秀と経済学部長が認めた卒業論文に対し「経済学部長賞」を授与することとしています。2023年度経済学科の受賞者4名と受賞コメントを紹介します。

〈経済学部の学部長と受賞者。学位記授与式にて〉

受賞コメント
①岩田紘輔さん(田中ゼミ)広島県立福山明王台高等学校出身)『選挙における世襲・派閥の有利性』

テーマを選んだ理由
第1次安倍内閣発足以降、自民党が優勢となる選挙が続いており、自民党が選挙で勝ち続けることができる理由を知りたいと思ったからです。

苦労したこと
衆議院選挙の勝敗や得票率などの選挙データだけではなく、各自民党候補者の所属派閥や親族の議員経験(世襲の有無)を調べることに非常に苦労しました。

工夫したこと
就職活動や内定先企業から出されている課題など忙しい時期も多かったですが、可能な限り一日の中で必ず卒業論文の執筆の時間を設けました。

成長したこと
卒業論文のような長期的な課題に取り組む経験はこれまでになかったのですが、執筆を続ける中でゴールに向かってコツコツ努力ができるようになりました。

学んだこと
データ分析を通じた因果推論を身に付けることができました。

後輩へのアドバイス
卒業論文の執筆では、1年を通じて努力を続けなければなりませんので、皆さんも自分が本当に興味を持っているテーマを選んで、卒論に取り組んでください。

②大下剛生さん(助田ゼミ 広島県・呉港高等学校出身)『欧州五大リーグとサウジアラビアリーグ―大量のスター選手を集めたことで欧州五大リーグのような人気あるリーグへと成長していくのか―』

テーマを選んだ理由
スポーツ観戦(特にサッカー)が趣味ということもあり、サッカーの発展に国を挙げて取り組んでいるサウジアラビアに焦点を当て、マイナーリーグから始まり、世界有数の選手が集まることで、多くの観客を取り入れることのできるリーグへと変貌できる可能性があるのかを、人気リーグとの比較や国の環境といったデータをもとに考察してみたいと考えました。

苦労したこと
一目で理解できる図表を作成するのに苦労しました。

工夫したこと
図表では、数字だけでなく前年との比較を明示し、注目すべき部分はセルの色を変えるなど、伝えたい情報を初見の人にも伝わりやすくするように工夫しました。

成長したこと
どの部分が読んでいて伝わりにくいか、どうすればより多くの人に理解される論文になるか、客観的に評価する能力が大きく成長したと感じています。

学んだこと
答えのない問題に対して自分なりの考察を加えて説明する経験が少なかったため、論文を書く過程で多くを学びました。

後輩へのアドバイス
13,000字以上という要件があったものの、自由に選べたテーマが私の関心事であったため、調べるうちに新たな疑問が次々と浮かび、想定よりも容易に指定の文字数を超えることができました。これから卒業論文を執筆する皆さんも、少しでも関心のある題材を選んで、意義深い論文を作成してください。

③森拓人さん(楠田ゼミ 広島県・銀河学院高等学校出身)『企業はSDGs に取り組むべきかどうか』

テーマを選んだ理由
近年SDGsについてよく見聞きしますが、そもそも企業はどうしてSDGsに取り組むのかと疑問に感じたからです。

苦労したこと
有価証券報告書にSDGs事業への投資情報を記載するよう義務付けられたのが2023年で、情報公開をしている企業が少なかったことです。

工夫したこと
SDGs活動としてではなく環境活動として17年前から建築資材に環境に配慮した素材を使用したり、次世代の教育に力注いでいる積水化学工業(株)に焦点を当て分析したことです。

成長したこと
「統計学」は苦手科目だったのですが、自分で調べたり先生に聞いて、試行錯誤しながら自分で実際に回帰分析を行うことで、理解を深めることができました。

学んだこと
データは多ければ多いほど分析での信頼性の向上に繋がることを学びました。

後輩へのアドバイス
分析し始めると、「あのデータが必要」「このデータは使えない」といったことが多々あるので、早くからどういうデータが必要で、そのデータは入手可能なのか情報収集したほうがいいと思います。卒業論文を執筆するのは自分ですが、行き詰ったときは先生の研究室を訪問したり、ゼミの仲間と協力し合うことも大切です。

④八谷麻衣さん(高羅ゼミ 広島県立大門高等学校出身)『福山市の不登校児童生徒支援―多様な教育機会の実現に向けて―』

テーマを選んだ理由
私はアルバイトで塾講師をし、3年次にはスチューデントアシスタントとして「ミクロ経済学」の講義のサポートをするなど、教育に携わっており、また4月から市職員として働くということもあり、福山市の教育に関心がありました。調べてみると、福山市の2021年度の不登校児童生徒数が過去最多であることが分かり、市ではどのような支援を行っているのか、何が課題となっているのか考察してみようと思いました。

苦労したこと
個人情報などの観点からインタビューをする方法や内容が限られたことです。

工夫したこと
 インターネットやホームページから得られる情報が限られていたため、市の教育委員会や不登校児童生徒支援を行っている企業にインタビューして、情報を入手したことです。また、図表の作成では注目すべき箇所を色付けし一目でわかるようにしました。
 時間の使い方も工夫しました。私の場合、アルバイトが夕方からが多いので午前中に卒業論文の執筆に取り組むようにしました。また、先生からいただいたコメントはWordにメモし、クリアしたら○をつけることで、時間やコメントを無駄にすることなく、進めることができました。

成長したこと
今までレポートや小論文は書いたことがありましたが、卒業論文では13,000字以上でテーマや章構成を自分で考える必要もあり、自分で物事を考え進める力がついたと思います。

学んだこと
読み手に分かりやすくするために構成を考え、説得力のある内容にするためにデータを用いて分析することが必要だと学びました。

後輩へのアドバイス
 情報収集ではまず「不登校 文部科学省」のように大まかに検索し、現状や取り組みなどがヒットしたら、さらに具体的な取り組み名などで検索したり、引用先や関連リンクにもあたることで、過不足なく適切な情報を入手することができます。
 卒業論文はテーマ設定から資料収集、分析、執筆まで多くの時間や労力がかかり大変ですが、自分の興味・関心があることや新聞やニュースなどいろいろな角度からテーマを考え、困ったりつまずいたときはゼミの先生や仲間に相談し、自分の納得のいくものを作ってください!

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