経済学部

Faculty of Economics

福山大学備後圏域経済・文化研究センター経済部門公開シンポジウム開催報告

福山大学備後圏域経済・文化研究センター経済部門公開シンポジウム開催報告

2025年11月8日(土)、福山大学備後圏域経済・文化研究センター経済部門主催によるシンポジウム「地域におけるSDGsの現状と課題―東アジアにおける備後圏域の持続可能な社会構築をめぐって―」が福山大学社会連携推進センターにて開催されました。今回は、オルガナイザーとしてシンポジウムを企画・運営してきました経済学部税務会計学科の 大城朝子准教授 よりシンポジウムの報告が届きましたので、学科のFUKUDAI Mag委員の堀田彩がご紹介します。

 


当日は学内外から延べ102名の参加があり、持続可能な地域づくりに向けて活発な議論が交わされました。
今回のシンポジウムには、台湾から台湾SDGs協会会長の黄佳慧(ホアン・ジャーフェイ)氏をお招きしました。黄氏からは、台湾におけるSDGs推進の先駆的な取り組みを紹介いただきました。

遠路はるばるご来学くださった黄会長の熱意と実践的な視点に、参加者一同が深い感銘を受けました。特に、設立からまだ2年に満たない台湾SDGs協会が、すでに4回もの国際交流事業を展開していることは印象的でした。その行動力と推進力には目を見張るものがあり、台湾におけるSDGs推進の熱意と実行力を実感できる発表となりました。

台湾SDGs協会、黄佳慧会長による発表の様子

 

続いて、経済学部税務会計学科の大城朝子准教授が登壇し、SDGsの取り組みを一人ひとりが自分自身の課題として捉え、身近なところから実践していくことの重要性について述べました。個人の意識の変化が社会全体の持続可能性を支える基盤となることが強調されました。

経済学部税務会計学科の大城朝子准教授の発表の様子

 

また、備後地域を代表する企業である株式会社石井表記より常務取締役管理本部長・松井忠則氏にご登壇いただき、「サステナビリティ推進の取組みについて」と題して発表していただきました。

多くの地域関係者が心待ちにしていたこの発表では、長年にわたり地域経済を支えてきた同社が、企業の社会的責任と技術革新をどのようにSDGsと結びつけているかが紹介されました。その取り組みは、まさに「備後発のサステナブル経営」を体現するものであり、参加者に強い印象を残しました。

株式会社石井表記常務取締役管理本部長松井忠則氏の発表の様子

 

さらに、経済学部経済学科善野吉博教授からは、中国におけるグリーンボンドの現状とその意義について報告がありました。中国が経済成長の陰で環境問題に対しても積極的に取り組み、持続可能な社会の実現に向けて新たな金融手法を展開していることが紹介され、参加者からは「中国がこのような面で先進的な取り組みを行っているとは意外だった」との声も聞かれました。

経済学部経済学科善野吉博教授の発表の様子

 

パネルディスカッションの冒頭では、福山市経済環境局の渡邉真悟経済部長から、市が推進する「グリーンな企業プラットフォーム」の取組について説明していただきました。

福山市では、環境への配慮や、誰もが働きやすい職場づくりを進める“社会や人にやさしい企業”を「グリーンな企業」として、企業、大学、行政、産業支援機関が連携するグリーンな企業プラットフォームを構築しています。企業の環境に対する活動や多様な雇用の促進、職場改善を「チャレンジ宣言」として発信できる仕組みが整えられており、学び・実践・支援の三つの側面から企業の取組を後押ししていることが紹介されました。行政・企業・大学が協働して地域の未来を支えようとする市の姿勢に、参加者からは共感と期待の声が寄せられました。

福山市経済環境局渡邉真悟経済部長(中央)の発表の様子

 

質疑応答では、参加者にご記入いただいた質問票をもとに進行しました。質問票には多くの質問や意見・感想が寄せられ、SDGsへの高い関心と、地域の課題を自らの問題として捉えようとする意識の高まりが感じられました。

 

台湾と備後、そして大学・行政・企業が手を携え、持続可能な社会の構築に向けて歩みを進めようとする今回のシンポジウムは、次なる連携と実践に向けた新たな出発点となりました。

ご登壇・ご参加くださったすべての皆様に、心より感謝申し上げます。

 

学長から一言:備後圏域経済・文化研究センター経済部門が主催した今回のシンポジウムは、「地域におけるSDGsの現状と課題」というテーマの下、台湾SDGs協会の黄佳慧会長による基調講演で始まりました。続いて、お招きした株式会社石井表記の松井忠則常務取締役管理本部長や福山市経済環境局の渡邉真悟経済部長に本学の大城朝子准教授、善野義博教授も加わってパネルディスカッションが行われ、内容の濃い議論が展開されました。センターの経済部門が着実に運営・研究成果を上げているのは実に喜ばしいことです。

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