Department of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences
学科の取り組み
福山大学薬学部は、日本で最初の「医療薬学教育の実践」を教育理念とする薬学部として1982年(昭和57年)4月に開設されました。また、設立当初から実務実習を必修とした臨床薬剤師の育成を実践してきました。6年制薬学部となって、医療薬学教育センター(平成22年)に設置された最新の教育・実習施設を用いて、充実した薬剤師教育を行っています。
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問題解決能力を養うための授業
薬学部では、問題解決能力を養うためにproblem-based learning(PBL)形式の授業を1年次から6年次までの各学年で取り入れています。グループ討論と発表を繰り返すことにより、問題を発見してその問題に対する解答を学生自身で導き出していきます。
生体機能の調節Ⅰ(1年次)
ジグソー法やPBL・チュートリアル形式などの能動的学習方法を取り入れた授業を行います。1学年を18のグループに分け、担当教員がチューターとして学習のサポートを行います。グループ学習と自己学習を基盤にして発表と質疑応答を繰り返すことで、問題発見・解決能力やプレゼンテーション能力を培っていきます。
統合型症例検討演習(4年次)
薬物による治療経過において、薬の効果や副作用などの問題点を明らかにし、その原因を探る際に用いる臨床推論の手法を学びます。また、問題点の解決法を提案し、それが適正であったかを評価する基本的なスキルをSGDで議論しながら身に付けます。
課題研究(3年次~6年次)
問題解決能力を持つ医療人になるため、「薬学」という学問・科学を深く探求する能力を養うことをめざし、学部学生全員が、3〜6年生の間、20の研究室に分属し、研究室教員の指導のもと、化学系、物理系、分析系、生物系、衛生系、薬理系、薬剤系、医療系の専門分野の研究に取り組みます。
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講義で学んだことを実習で確認する
薬学部では1年次の後期から実習が始まります。講義で学んだことを実際の実験で確かめることにより確実に知識や技術を身につけていきます。また実習で修得したさまざまな実験手技は、3年次以降に配属研究室で行う課題研究に活かされます。
漢方生薬系実習(2年次)
代表的な生薬の鑑定実習や、漢方薬の煎じ薬、丸剤、軟膏剤に加え、漢方薬のゼリー剤や坐剤の製剤実習を通して、現代医療で使用される生薬・漢方薬を理解するための基本的知識と技能・態度の修得をめざします。
衛生系実習(3年次)
超高齢社会において、“サクセスフル・エイジング”の重要性が認識されており、「健康寿命の延伸」を図るために薬剤師による寄与が大きく求められています。本実習では、疾病の一次予防および二次予防を担う上で必要となる公衆衛生、食品衛生および環境衛生に関する基本的知識と技能の修得をめざします。
薬理・薬物治療系実習(3年次)
生体に適用した薬物が効果を発現することを観察します。さらに、薬物の作用点、作用様式および作用機序について検討し、作用部位に達した薬物の量と作用により薬効が決まることを理解するための基本的知識、技能、態度の修得をめざします。
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薬剤師の職能を身につける
5年次には、病院や薬局で実務実習を行いますが、その前に大学でもトレーニングを行います。4年次に行う薬剤系実習および実務実習事前学習では、薬剤師業務の基本である調剤実習はもちろんですが、患者応対といったコミュニケーション実習や、適切な薬物療法が行われているかを考察する薬物モニタリング演習などを行います。
調剤・無菌操作
医薬品には、錠剤、散剤、液剤、注射剤など多くの剤形が存在します。調剤の方法はその剤形により異なり、様々な技能が必要となります。4年次には、それぞれの剤形における調剤の技能について実薬を用いて学修します。患者さんの血管に直接投与する注射剤は、雑菌が混入しない環境下で調剤する必要があるため、クリーンルーム(無菌室)内での実習を行います。
患者応対
患者さんにお薬の説明をするには、コミュニケーションの技能が不可欠です。薬剤師が患者さんと面談する場面は、患者さんから情報を入手するとき、調剤したお薬を患者さんへ渡すとき(説明するとき)、ドラッグストアでお薬の質問を受けたとき等様々です。それぞれの場面における応対について、マナー等も考慮して学修します。
薬物モニタリング
薬剤師は調剤したお薬を患者さんに説明して、正しく服用してもらうことだけが業務ではありません。患者さんが服用したお薬が、期待通りに効果を表しているか、お薬の副作用がでていないか等の薬物モニタリングも重要な業務の1つです。4年次には、様々な疾患の患者さんの症例を提示して、グループディスカッションにより薬物モニタリングを行い、問題点がある場合にはその対処法について考えます。