機械システム工学科
西尾 茂(にしお しげる)
| 職 名 | 教授 |
|---|---|
| 学 位 | 工学博士 |
| 専門分野 | 船舶海洋流体力学、画像計測、計測の不確かさ評価 |
| 担当科目 | 浮体静力学、船体構造概論、海洋浮体運動学、船舶工学概論 |
| メッセージ | 船舶設計技術の根幹を成す船舶海洋流体力学では、流場の解析は数値解法(CFD)や実験に頼らざるを得ないのですが、速度や圧力などの流場の詳細情報が得られたとしても、それをどのように扱うのかは、別の工学課題として残ります。流れを見えるようにする可視化技術や、画像から物理量を抽出する画像計測技術を組み合わせて、流体現象の解明に取り組みます。 |
研究者情報
Fukuyama Univ Ver.浅水域航行の操縦特性変化に関する研究
近年の船舶の大型化の傾向は著しく、全長400m程度の船舶も珍しくなくなってきました。このような船舶が比較的水深の小さい海域を航行する場合に、操縦特性が大きく変化し、事故に発展する事例も報告されています。本研究では、流れの数値解法;CFDと実験を組み合わせ、操縦流体力の変化の調査と特性変化のメカニズム解明を目指しています。数式船型を使った系統的かつ大規模の調査を行うことにより、船型と流体力変化の関係を解き明かす試みをしています。(日本船舶海洋工学会論文集,Vol.22,pp.67-73, 2015.)
極めて浅い水域で正横方向に低速移動する接岸運動の船舶まわりの流線分布。
(大きな剥離領域が背面に現れています。)
燃料インジェクタにおける噴霧特性変化の時空間解析とメカニズム解明
大型船舶で主機に採用されるディーゼルエンジンは、気筒内に燃料を直接噴霧する方式を採用している点が特徴ですが、燃焼効率や環境性能は噴霧特性に大きく依存します。本研究では、高速度撮影で得られた可視化画像を定量評価する技術を開発し、噴霧特性の変化を時系列で解析することに成功しました。時空間で得られるインジェクタ内流動と噴霧の関係を明らかにし、インジェクタ設計に必要な技術の基盤構築を行っています。(Atomization and Sprays, Vol.30, Issue 4, pp.287-300, 2020.)
インジェクタ内で発生するキャビテーションと噴霧の同時撮影画像。
(この画像を分析し、微粒化促進度を数値化して評価した。)
曳航水槽における推進性能試験の高度管理法構築
国際航路に投入される大型船舶は、EEDI;エネルギー効率関連条約の規制により、建造前に曳航水槽試験で規制値を満足できることを証明しなければなりません。船舶の環境性能は、運航経済性と同等の重要性が求められ、それを支える信頼性の高い水槽試験技術が不可欠となっています。本研究では、商用水槽における計測精度の高度な管理法の構築を目指し、計測の不確かさ手法の開発と改善を行うものです。データサイエンスの知識を活用し、工学としての応用技術の開発を目指します。(日本船舶海洋工学会論文集,Vol.24, pp.1-12,2016.)
長さ200mの商用水槽の例です。画像提供:川重マリンエンジニアリング㈱ 明石船型研究所
(大型模型を使って船体抵抗や推進性能の試験を行っています。)




