【税務会計学科】今年も地元企業と連携授業「地域調査」を開始

【税務会計学科】今年も地元企業と連携授業「地域調査」を開始

地元企業とのコラボ連携授業である税務会計学科の「地域調査」が今年度も開始されました。この開始の機に昨年度の実施状況について、担当の張楓教授から報告が届きましたので、学長室ブログメンバーの関下が投稿します。

 


「地域調査」は、備後地域の経済・社会の過去・現在・未来に関する疑問を、学生自身による学外訪問調査により解決することを目的とするアクティブ・ラーニングです。学生を主体とする演習形式のなかで、事前学習や訪問調査、発表、討論を実施することにより、地域への関心を高め、専門科目への橋渡しとしても期待されています。

この授業の実施にあたって、(株)ププレひまわり、(株)エブリイホーミイホールディングスという地元小売企業の2社が、相互協力による地域課題解決を目的として福山大学と締結した「協働事業協定」に基づいて地域調査の実践に参画いただいています。連携授業の狙いは、受講生が講義を通じて地域経済を支える地元企業に対する理解をより深め、高付加価値商品・サービスの提案力を身に付けるとともに、能動的学習能力の向上を図ることにあります。

【写真1】2023年4月に実施した「世羅農場エブリィふぁーむ」の見学

これまで学長ブログで報告しているように、新型コロナウイルス感染症が危惧される中においても、学生の意欲的な学び及びスムーズなグループワーキングを確保することを目指して、(株)ププレひまわり、(株)エブリイホーミイホールディングス両社のご協力を仰ぎ、感染拡大の防止を行いながら、オンライン形式でも大いに学べる企画を練り上げ、その実施に際して若干戸惑う学生に対する指導体制も工夫して参ったところです。

まず、エブリイ社との前期連携授業では、「さらにエブリイの魚を好きになってもらうために、お魚に関するイベント提案、魚売り場の提案、お魚料理レシピ提案」という具体的課題が学生に与えられていました。学生は6つのグループに分けて、具体的な提案に向けてグループワーキングを行いました。最終プレゼンでは、「子ども食堂」をはじめ、「スーパーの料理本」、「家族連れイベント開催」などの具体的提案が披露されました。

【写真2】エブリィ松永店で店長(左から2番目)の魚売場の説明を聞く学生

優勝チームは、幼稚園児や小学生の家族にターゲットを絞り、イベントを通してもっと魚に興味を持ってもらい、また魚嫌いを克服できることをテーマに掲げました。子供向けのプールやお魚クイズにとどまらず、親御さんを対象とする料理教室の企画も提示され、エブリイ社から高い評価を獲得できました。チームリーダー(A・T君)から喜びの声が届いています。ご紹介します。

 

「この授業を受講した理由は、昨年度にププレひまわりと連携した地域調査を受講し、この講義は自分の将来に役立つ講義だと感じたからです。また、この授業は地元企業のことを知ることができる良い機会であり、よく通っているお店のため、とても興味を持ちました。今回の授業の内容は、グループに分かれてエブリイについてのプレゼンの資料を作り、発表することでした。私は魚のことにより興味を持ってもらうためのイベントについてのプレゼンをしました。プレゼン終了後、他のグループのプレゼンを見て、プレゼンの資料の作り方や発表方法などの良い点・悪い点に気がつくことができました。プレゼンの資料作りと発表は社会人に必要な能力なので、この授業を通して貴重な体験ができたなと感じました。」

 

優勝は惜しくも逃したものの、各グループは地元企業との連携授業のなかで様々なことを経験し、大いに学んでいるように見受けられました。ほかのグループからも感想の声が届いていますので、ご紹介します。

 

「私は地元企業と一緒に活動できるこの授業に興味を持ち、履修しました。一緒に活動をさせて頂いた企業さんは私の馴染みのあるスーパーで、とても親近感があり、より興味が湧いてきました。一緒に活動していく中で、私たちのグループは鮮魚コーナーの売り場作りの提案について考えました。初めはどこに視点を置いて考えれば良いのか難しかったですが、同じグループのメンバーがちょっとした魚についての疑問を出してくれたおかげで、そこからいろいろ繰り広げて最終的に2つの売り場作りを考えることができました。最初はどうすれば良いか不安でしたが、同じチームのメンバーや、先生、企業の方のお力を借りつつ提案策をつくり、プレゼンテーションで発表することが出来ました。こういったプレゼンテーションで発表する機会は授業内ではあまりないので、この授業での経験を生かし(他のチームの良い点を理解し吸収、自分たちが出来ていなかったことを次出来るように意識して)今後のインターンシップや就職活動にも活かせていけたら良いなと思います。とても楽しい授業でした!!」(経済学部税務会計学科2年生)

「今回はエブリイさんとの連携授業でした。前回のププレひまわりさんとはまた違ったことを学ぶことができました。今回もリーダーという形でチームをまとめて、どこよりも良い発表、提案にしようと心掛けました。私たちのチームはイベントをテーマに子ども食堂とエブリイの連携案を提案しました。そのなかの4つの案を4人それぞれが一生懸命考え、一つのものにまとめ上げることができたことは、大きな達成感となりました。チーム作業というのは難しく、何かをまとめ上げるというのはもっと難しいですが、一人一人がしっかり取り組んでくれたおかげでいいものができました。今回もいい経験となって私の中では、大きな自信につながりました。」(経済学部経済学科2年生)

 

続いて、後期におけるププレひまわり社との連携授業では、前年度につづき、第2弾として「販売計画立案:経営者観点をもち数値改善せよ」というかつてなかった難しいテーマにチャレンジしました。具体的には、①売上表を基に課題を抽出し、②課題に対して個人が商品を選定し、➂選定した商品の売り上げを上げるために、「どのように展開したらいいのか」、「どこに展開したらいいのか」、「どのように演出したらいいのか」、具体的経営数値を交えながら①~➂を考え、最終プレゼンで6チームが発表しました。

【写真3】ププレひまわりとの連携授業の様子

(株)ププレひまわりの担当の方が下記のコメントを送ってくださいましたので、ご紹介します。

「この度は「ドラッグストアの売上分析の課題の抽出」、「課題対策の売場の具現化」、「プレゼンテーション」など3つの項目をテーマに、学生の皆様には課題に取り組んでいただきました。売上分析では、今のコロナ禍において、生活様式の変化や今の時代にあった背景を考え、その課題を的確にフォーカスし、対策を考えていただきました。売場の作成では、個々人の売場を全員に作成していただき、POPや陳列方法などの講義で学んだ事を自分の売場作成に活かし、ひまわりのバイヤーに近い発想と内容で考えていただきました。最後にプレゼンテーションでは、相手にどうやったら伝えられたかという部分も重視して評価させていただきましたが、グループ別で特徴があり、非常に実りのあった授業だったと感じました。改めまして、参加した学生に感謝すると同時に、この講義が参加学生のさらなる成長の起点になることを願っています。」

【写真4】最終プレゼンの様子

優勝チームのリーダーの税務会計学科4年生M君は、以下のようなコメントを寄せてくれました。やや長文となりますが、ご紹介します。

「地域調査という授業は、ただ教授の話を聞き、出席票を記入し、課題を提出して単位をもらうという、よくある面白みのない講義ではなく、実際の企業から社員の方にお越しいただき、企業がどのような狙いで商品を販売しているか、どんな目標設定をしているかなど、大学で普通の講義を受けているだけでは経験できないような刺激のある内容の講義でした。現場のリアルな話が聞けるということと、グループワークがあるということでププレひまわりとの地域調査を受講してみることにしました。私には前期で地域調査Ⅰ(エブリイ社との連携)を受けていた経験やノウハウがあったので、後期の講義も簡単だと思っていました。しかし実際に受講してみての率直な感想は全く逆のものでした。まず、一番に経験がなかったということです。今まで学習してきたものは通用しないものでした。地域調査という講義は 「勉強」 というより、 「実践」 に近い講義であり、教えられたことを記憶、応用して、どうにかなるものではなく、自分で考えて行動するという性質の講義です。つまり受動的ではなく、 “能動的“ に考える力が求められています。そして、自分の考えを企業の方、他の受講生に簡潔に、なおかつ分かりやすく伝える “プレゼン力“ や他人のプレゼンを聞いて良い個所を取り込み、自分の力にする “インプット力”、といった能力が必要になってきます。今までそうした能力を養っていなかった自分に気づかされ、とても難しい講義でした。最終プレゼンを終えて全体の授業を振り返ってみると、自分の能力だけではどうしようもなかった時期がいくつかあったことに気が付きました。しかし、そんな時に企業の方や同じグループのメンバー、違うグループの人の意見を取り入れたり、相談したりしながら、最終日のプレゼンに臨み、自分の満足のいく結果が得られました。その時の達成感は今まで大変な思いをしたこともあり、とても大きかったのを覚えています。講義を通して養われた能力が多く、同じグループのメンバーとも交流を深められました。それだけでも受講してよかったと自信を持って言えます。地域調査の受講をおすすめしたい学生はと言えば、「コミュニケーション」・「プレゼン」・「アウトプット」・「インプット」といった能力に自信のある学生、また自分が社会でどの程度通用するのかを知りたい学生ということになります。もちろん、それ以外にも、上記の4つの能力に自信のない学生、自分の能力を向上させたい、社会に出て必要とされる人間になりたいと考えている学生にも強くおすすめしたい講義です。」。

【写真5】優勝賞品が贈られたグループリーダーM君

 

学長から一言:地元企業関係者の協力を得て実施されている税務会計学科のユニークな授業「地域調査」は今年度も快調に進んでいるようです。いつも多大な便宜を図って下さる(株)ププレひまわり、(株)エブリイホーミイホールディングス両社の皆さまには、私からも感謝を申し上げます。この授業が学生の成長のみならず、地域との連携、地域への貢献にも益々役立って行くことを願っています。