【海洋生物科学科】新任紹介(その1)~山本知里講師~

【海洋生物科学科】新任紹介(その1)~山本知里講師~

2022年春から海洋生物科学科へ新たに山本知里講師泉貴人講師佛円あや助手の3名のスタッフが加わりました。それぞれ今後の活躍が楽しみな、個性豊かな専門性と経歴の持ち主です。今回は、3名の中から山本知里講師を紹介します(投稿は海洋生物科学科の山岸)。

左から、佛円助手、山本講師、泉講師

 

以下、山本講師の自己紹介です。

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山本知里です

4月から海洋生物科学科に着任した山本知里です。鯨類を対象とした生物の社会行動や認知の研究を専門としています。研究室名は海洋哺乳類研究室です。

調査地の海にて

 

鯨類の研究

水族館などでイルカやクジラを見たことがある人は多いのではないでしょうか。では、イルカとクジラの違いは一体何でしょう? 実は、イルカもクジラも同じ仲間(鯨類)です。オトナになった時の体長が4mを超える種をクジラ、小さい種をイルカと呼んでいます。

日本周辺の海には、クジラもイルカも生息しています。また、日本各地の水族館では、いろいろな種類のイルカが飼育されています。日本は鯨類をたくさん見ることができる研究にもってこいの場所です。

日本にはたくさんのイルカやクジラが生息しています

イルカの“こころ”の研究

私はイルカの“こころ”に興味をもって、研究を進めてきました。イルカの中にはハンドウイルカなど、群れで暮らしている種がいます。イルカたちは周りの仲間とどのようにコミュニケーションをとったり、何を考えたりしながら、群れで暮らしているのでしょう? イルカの行動をじっくりと観察したり、認知実験をしたりすることで、これを調べることができます。

私はこれまで、ハンドウイルカがけんかをした後に仲直りをすることや、周りのイルカが宥めに入ることを明らかにしてきました。また、2頭で一緒にひもを引いた時だけ報酬が得られる装置を使った実験によって、ハンドウイルカは協力相手が必要なことを認識していることもわかりました。少しずつイルカの“こころ”がわかり始めていますが、謎はまだまだ残っています。今後もさらに研究を続け、謎を解き明かしていきたいと思っています。

イルカの「こころ」を調べる実験の様子

 

瀬戸内海に暮らすイルカの研究

瀬戸内海にはスナメリという小さなイルカが生息しています。スナメリは岸近くに暮らすため、人間活動の影響を受けやすい種です。では、スナメリは瀬戸内海をどのように利用しているのでしょうか? これを明らかにし、スナメリが暮らしやすい環境を守ることは、瀬戸内海の自然を守ることにもつながると考えています。

海洋哺乳類に興味がある学生の皆さんと一緒に研究を進め、海洋哺乳類研究を福山大学からさらに盛り上げたいと思っています。これからどうぞよろしくお願いします。

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以上、山本講師からの自己紹介でした。

学科に山本講師が加わったことで、新たにイルカの仲間の学びや研究が充実し、学生たちにも大いに刺激を与えてくれることでしょう!(山岸)

 

 

学長から一言:山本講師、福山大学へようこそ! 大海原を悠々と泳ぐクジラやイルカを見ていると、それだけで人間が大きくなるのではないでしょうか。かなり高度な知能を備えていると聞いたことのある鯨類が、如何にして仲間作りをするのか、意思疎通を図るのか、知れば知るほど興味や謎が深まるのでしょうね。瀬戸内海を舞台に、学生諸君と一緒になって、新たな研究成果がドンドン生まれることを祈っています。