【生物工学科】新入生がせらワイナリーを訪問!

【生物工学科】新入生がせらワイナリーを訪問!

新入生オリエンテーションの一環として、生物工学科の新入生が広島県世羅町にあるせらワイナリーを訪問しました。同ワイナリーでは、昨年より生物工学科卒業生の橋本悠汰氏が醸造責任者を務め、橋本氏は中四国ワイナリー協会に所属するワイナリーで最も若い醸造責任者です。その様子を学長室ブログメンバーの吉﨑が紹介します。

せらワイナリー

新入生は橋本氏の案内で、ワイン工場の前に置かれた除梗機(ブドウの房からブドウの粒だけを取り出す装置)や圧搾機(ブドウの果汁を搾る装置)を見学し、「ワインの仕込みのシーズンには、ここがブドウで一杯になり、多い日には10トンのブドウを処理します」などの説明を受けました。昨年の秋の仕込みの様子はこちらをご覧ください。

中四国のワイナリーの中で最年少の醸造責任者である橋本悠汰氏(生物工学科卒業生)

 

そのあと立ち並ぶワインタンクを見ながら、ワイン作りやせらワインの特徴について、雄弁かつ情熱的に説明する様子に、引率教員の吉﨑(橋本氏の学生時代の指導教員)も目を細めました。今回の新入生オリエンテーションに付き添った学生ボランティアは、醗酵科学研究室の4年生だったので、彼(女)らの刺激にもなったと思います。橋本氏は入学時には全くワインに興味が無く、研究室でワイン醸造の研究をして、気がついたら醸造責任者としてワインを作っていたとのことです。 

質問タイム

質問タイムには活発に質問が出ました。仕込むブドウの量(60トン)と、できるワインの本数(6万本)や、土地の特徴がワインの味にどんな影響を及ぼすか(このことをフランス語で「テロワール」と呼びます)などなど。世羅高原の冷涼な気候の中で育った100%世羅産ブドウで作ったワインは、絞りたてのブドウ果汁のような、飾り気のない爽やかでフルーティーな味わいが特徴です。

「ワインを作っていて一番辛いことは何ですか?」との質問に対して、新しく上市したワインをお客さんに試飲していただいた時、「酸っぱい」とか「まずい」とか「薄い」「もっと濃いのないの?」と言われるのが一番辛いとのことで、「そういう風味がうちのワインの特徴なんです。」と言いたいのをグッと抑えているそうです。「でも悔しいので、今年から始めたせらワイナリー初の直営ぶどう園に、シラーの苗木を植えました。5年後にはきっと満足いただけるワインを作りますよ。」ちなみに、シラーとは、濃い紫色で力強い味わいの赤ワインができるブドウ品種です。今から5年後が楽しみです。

ワインタンクの前で、新入生からの質問に丁寧に答える橋本氏

 

せらワイナリーで雇っていただけますか?」との質問には、「今の6万本の生産量が10万本になったら、もう1人雇えるかもしれないので、どうぞワインを買ってください」とのこと。その後、売店を覗いてみると、生物工学科久冨泰資教授が福山市内のバラの花から採取した「福山バラの酵母」で醸したワイン「ローズマインド」が売られていましたので購入しました。ちなみに、「ローズマインド」は橋本氏によると、「バラや花の香りは強くないが、発酵力が抜群の酵母」を使ったワインだそうです。

新入生の皆さんも、二十歳になったらせらワインを一度お試しください。ブドウの産地、ワインの生産場所、そしてワインの生産者を知ると、味わいに違いが生まれます。

久冨教授の「ローズマインド」の前でポーズを取る4年生。

最後に 

「お父さんに」「お母さんに」「家族に」とワインをお土産に買って帰る心優しい学生さんを見ていると、これからの4年間が更に楽しみになりました。

 

 

学長から一言:成人年齢の引き下げで、法の上ではもう大人でも、ワインをたしなむには未だ少し早い新入生が、オリエンテーションで学科の先輩の勤務先のワイナリーを訪ねて、直接説明を聞く企画、いいですねえ。これからの学びの動機付けに大いになったことでしょう。生物工学科での懇切な指導を受けて、新入生諸君の中から橋本先輩のような立派な醸造技術者が何人生まれることでしょう。期待が膨らみます。