【機械システム工学科】共同研究成果が特許を取得しました!

【機械システム工学科】共同研究成果が特許を取得しました!

このたび機械システム工学科常石商事株式会社との共同研究成果により特許を取得しましたので、これについて学長室ブログメンバーの小林が報告します。

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「小水石を穿つ」という言葉があります。水滴でも繰り返せば石に孔をあけることができるということです。工業的にも水で鉄を削る、ということが行われています。圧力は水道水の1000倍という非常な高圧と砥粒入の水を使用しますので、小水石を穿つ、とは少し意味合いが異なります。問題は圧力が高すぎることと、砥粒が環境汚染を引き起こすことです。

この問題を解決するため、企業と共同で取り組みました。シャワーヘッド、洗濯機などに使われるナノバブル、ファインバブルという言葉を聞いたことがあるかもしれません。ナノミクロン(100万分の1ミリ)の大きさの気泡を指し、洗浄効果があります。共同研究では、これを利用すると、これまでの1/10の圧力で金属を加工できることを発見しました。写真は実験の様子と削れた金属です。

実験成功の理由は次の事実であることを突き止めました。内部に発生した亀裂にナノバブルを含んだ水が侵入し、亀裂内部で膨張して破壊するためです。効果があらわれるためには、ナノバブルが多く存在することが必要です。

下の図はナノバブル水の分析結果の一例です。ナノミクロンの大きさの気泡が沢山含まれていることがわかります。1ミリリットルあたり、3億個あります。肉眼では見えない大きさですので、たくさんあっても肉眼では普通の水と変わりません。

この結果が特許に値するものと認められましたので、現在はこの特許技術を用いて商品化できるよう共同研究を行っています。

特許の詳細は、以下のリンクに記載されています。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-2020-136716/E547EA3E768EE24642A8DF39FAB09E85DA6D071F0FE1F324B57645758CCDA30B/10/ja

 

 

学長から一言:洗車ホースから出る水を「シャワー」などでなく「ストレート」にしていて、誤って手などに当てて「痛!」と思うことがありますが、水で鉄でも削ることができるのですね。そうした水による金属加工の最適な条件を見つけ出すには、さまざまな工夫を根気強く続ける必要があったことでしょう。特許が取れるほどの優れた結果が得られ、本当に良かったですね。さて、次はこの技術を使って、どんな製品が生まれることか、楽しみです。更なる頑張りに期待しています。