【生物工学科】東村葡萄園でブドウを収穫!

【生物工学科】東村葡萄園でブドウを収穫!

2019年に開園した福山大学東村葡萄園では、今年度から本格的に2年生の果樹栽培加工実習としてブドウ栽培に取り組んでいます。その後の実習の様子、そして9月7日(火)に一斉収穫を行いましたので、福山大学ワイン醸造所長の吉崎がお伝えします!

稲藁施用と反射シート設置

前回、生物工学科では2年生の果樹栽培加工実習で東村葡萄園での栽培を開始し、雨除けのビニール屋根を張ったことを報告しました。その後の作業として、まずは稲藁の表面施用を行いました。これは、土が乾燥するのを防いだり、防草効果、そして時間はかかりますが有機肥料としても機能します。

まずは、全員で稲藁をきれいに敷き詰めました。土が剥き出しの状態よりも管理された圃場の雰囲気が出て良いですね(笑)。

今回は、4列あるブドウ樹の2列を稲藁の代わりに反射シートを敷いてみました。こうして太陽光を反射することで、葉の裏からも光を当て光合成を促し、ブドウの糖度が上がるという報告があります。上手くいくようであれば、次年度以降はすべてこれにしてみようと思っています。

この白さが美しくて良いですね!まるで、農業試験場の実験圃場みたいで格好いいです(個人の感想です)。

栽培管理

ブドウの実は、あっという間に大きくなります。7月に入る頃にはブドウの房に防鳥・防虫のために袋がけを行いました。学生がやればあっという間ですが、これを1人でやると大変な手間です。農家の方は、この圃場以上の広さを1人で管理なさっているので、本当に頭が下がります。

袋がけ前のブドウの様子です。かなり、ブドウらしくなってきました。

さらに、8月に入る頃には色付いてきました。果実軟化やアントシアニン合成が起き始める時期で、ベレーゾン期と呼ばれています。カラフルで美味しそうに見えますが、まだ堅くて酸っぱいので食べられません(笑)。

この間も様々な栽培管理があります。写真は電動草刈り機で園内を除草している様子です。2年生がやってくれました。

こちらは農薬散布の様子です。ブドウは湿気に弱い植物で、日本では地域毎に定められた栽培カレンダーに従ってきちんと農薬散布をしなければ、ブドウ栽培は不可能に近いです。家庭でブドウを育てられている方は、本当に様々な病気に罹るのを実感されておられると思います。

そして、いよいよ収穫が近づいてきました。この頃になると、毎日圃場に足を運んで糖度と酸度を測定します。生食用ブドウは糖度が高ければ良いのですが、ワイン用ブドウは酸度も重要なので、糖度と酸度のバランスを見ながら収穫日を決めます。少し早くても、天気予報をみて収穫せざるを得ないこともあります。

また、今年は長雨の影響で、昨年は19度あった糖度が今年は16.4度までしか上がっていなかったのですが、翌日から雨の予報だったことから9月7日(火)に急遽収穫を行いました。夏休み中なので帰省している学生も多く、今回は来られる学生にだけ手伝って貰いました。収穫作業自体は手早く終わり、流れ作業で午前中には終了しました。

今回収穫できたものを学生実習室に並べてみました。結構な量ですよね。約400㎏ありました。問題はここからです・・・。

夏休みが終わってから始まるワイン醸造実習で使うブドウは、あまり日持ちしないので冷凍します。スペースが限られるので、そのまま冷凍するわけにはいかず、へたを2mmくらい残して、1粒ずつ切り落としていきます。この作業に時間がかかります。午後からは10人くらいで作業を行い、100㎏処理するのに夕方までかかりました。

下の写真のとおり、実習用に各班12.5㎏ずつ小分けしてあります。この後、研究室の大きな冷凍庫に保存しました。収穫作業とあわせて一日働き通しで、デスクワークの多い教員にはぐったり疲れる一日でした。

残りのブドウは、醗酵科学研究室の4年生の卒業研究材料として、大きなタンクで仕込みを行いました。その様子については、別の機会にでも報告できればと思います。さらに、後期のワイン醸造実習の様子も報告予定です。

 

 

学長から一言:やりました、実りましたねえ。5月のブログでブドウ畑のビニール張り作業などの報告をアップしたとき、「秋のたわわに実った美味しいブドウを想像して」と書きましたが、今年の天候不順も何のその、まさに大豊作!その裏には、今回の報告に記されたように、さまざまな作業を行い、ずいぶん手間暇がかかったのですね。まずは皆さんのこれまでの努力をねぎらい、豊作を慶びたいと思います。そんな御苦労などつゆ知らず、呑気に試食させて頂いた「努力の結晶」は絶品!さあ、これからが本番、生物工学科の真骨頂のワイン醸造でどんな作品に仕上がるか、また一つ楽しみが増えました。