【生物工学科】図書館の勧め

【生物工学科】図書館の勧め

生物工学科の学生と学科長の何気ない会話から本の話になりました。生物学の本って一般的にも結構面白いんですよ。自分という生命のことを知ることもできますし。読みたい本が多すぎて、時間がいくらあっても足りません。岩本学科長から生命科学に関する本の紹介です(執筆者は佐藤)。

 

はじめに

先日、1年生にこう話しかけられました。

「先生、大学に入って比較的時間もあるので、何か新しいことをやってみたいのですが、お勧めはありますか?」

「じゃあ、本でも読んでみたら。」

「本...ですかぁ? 私はマンガ以外、本は読まないんですけど。 ...やっぱり本って読んだ方がいいですか?」

「本はいいよ。ページを開いた瞬間に、時間や空間を飛び越えて別の世界に行けるから。」

「そうですかぁ。じゃあ(気が進みませんが)本を読んでみます。ところで、何かお勧めの本はありますか?」

「うー ...その質問は難しい。そうだなぁ、本屋さんで本を眺めてみて、ピンとくる本を読んでみたら。本屋さんに行かなくても図書館に行ってみればいいよ。」

ということで、図書館に行ってみました。


■図書館に行く

図書館(本館)のゲートをくぐると、すぐ右に新着本の書架があったので、生物工学科に関係ありそうな本を集めてみました。

最初は、細胞周期を司る遺伝子の研究でノーベル賞を取ったポール・ナース博士が、初めて一般向けに書いた本『生命とは何か WHAT IS LIFE?』です。細胞、遺伝子、進化、化学、情報という5つの視点から生命について書いた小さなエッセイで、ポール・ナースという稀代の研究者の人となりが感じられます。

隣の『LIFE SPAN 老いなき世界』は、個人的にも切実です。ヒトはどうして老いるのか? 必ず老いなければいけないのか? バイオテク技術などで老いない体を手に入れられるようになれば、どのような世界が訪れるのか? といった内容です。うーん、複雑。

次は、Life;  The Science of Biology 12ed.という英語の本です。ポール・ナースの本と対照的に、生命について書き尽くした大著です(といっても、アメリカの教科書としてはよくあるサイズ)。とにかく図表がきれいで、英文を読まずに図表だけ見ていても楽しめます。 英語と生物学を一緒に勉強したい方は是非(上の写真の右)。ちなみに、本書の一部はブルーバックスの『カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書』として翻訳されています(前の版の翻訳ですが:下の写真)。細切れになっていて本のサイズも小さいので、英語版のほうがお勧めですが、日本語版もわかりやすいです。新版はまだ出ていませんが、第4巻進化生物学と第5巻生態学もわかりやすいのでお勧めです。

実験関係では、『実践 生物実験ガイドブック』(『生物の科学 遺伝』別冊)という本もありました(上の写真の左)。この本は、全国の理科や生物の先生が、授業などで取り上げる生物実験の「実験・観察のコツ」をまとめたもので、料理に例えると「秘密のレシピ集」のような本です。中を覗いてみると、やってみたい実験がたくさん掲載されていて、どちらかというと教員に参考になりそうです。

発酵関係の本もありました。『発酵の技法 The Art of Fermentation 世界の発酵食品と発酵文化の探求』と『ノーマの発酵ガイド』です。前者は、そのタイトルがすべてを語っています。世界の発酵食品と発酵文化大全という内容で、実際にいろんな発酵食品を作ってみたくなります。後者は、相当立派な大きく重い本です。いろいろな発酵産物について懇切丁寧に書かれており、酢、麹、みそ、しょうゆの前に「コンブチャ」が出てきたのにはびっくりしました。コンブチャ=昆布茶ではなく、昔懐かしい「紅茶キノコ」(若い人は知らないでしょうが)がその正体で、海外では有名みたいです。

それ以外に少々専門的になりますが、『再定義される タンパク質の常識』『機械学習を生命科学に使う!』『イメージング時代の構造生命科学』という本も並んでいました。

■図書館の勧め

以上、新着書架に並んでいた生命科学関係の本をかいつまんで紹介しましたが、これはごくごく、ほん(本?)の一部にすぎません。空き時間があれば、是非図書館でブック・ハントして、読書の夏をお迎えになることをお勧めします。以上、図書館の勧めでした。

 

 

学長から一言:岩本教授による生物工学分野に絞った図書館利用術、とくに本学図書館が最近新たに購入したり寄贈を受けたりした新着書籍への興味深い誘いブログ。NHKテレビで放送していたタモリさんと山中伸弥先生による「人体の不思議」シリーズのDVDもちゃんと入っていることを知りました。先日公開したブログの本学教員著作コーナーhttps://www.fukuyama-u.ac.jp/blog/51007/もそうですが、図書館は「宝の山」。でも、まずは山に分け入らないと、宝は見つかりませんね。