【国際経済学科】卒業論文を英語で執筆!

【国際経済学科】卒業論文を英語で執筆!

卒業論文の執筆は、4年間の学修の集大成となるとても重要な作業です。データ集めに奔走し、構成に悩み、論理が弱くてまたデータを探し、書いては消し、書いては消し・・・果てしない過酷な作業でもあります。教員にもそんな時代がありました(遠い目)。今年度は新型コロナウイルス感染症対策のため、対面による論文指導に制限があり、どのゼミも卒業論文の作業には例年以上の苦労があったと思います。

そんな中、国際経済学科には、果敢にも論文を「英語で」執筆することにチャレンジした学生たちがいます。今回は、英語による卒業論文を指導しているBisset准教授に、なかでも素晴らしい論文を完成させた2名の学生を紹介してもらいました。Bisset准教授のコメントと彼らへのインタビューが届きましたので、国際経済学科のブログ担当:藤本が伝えます。

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One of the requirements to enter my seminar in the 3rd year of the International Economics course is that you agree to write your graduation Thesis in English. This is quite a challenge for students at Fukuyama University, but more students each year are accepting the challenge! This year there were 8 students who wrote their graduation Thesis in English and I’d like to introduce two, who wrote exceptionally good papers. Nitta Ryosuke(新田涼介君) and Zhang Ting (張テイさん).

(国際経済学科の3年次のゼミナール(経済学演習Ⅰ)を決める際に、ビセットゼミでは英語で卒業論文を書くということを一つの条件としています。これは、福山大学の学生のみならず日本人学生にはかなり大変なことですが、年々チャレンジする学生が増えてきています。今年は、8名の学生が英語で卒業論文を作成しました。今回は、そのうち優秀な論文を書いた新田亮介くんと張婷さん(Zhang Tin)の2名を紹介します。

 

Nitta-kun’s paper was titled “Foreign Workers in Japan: a policy roadmap for the future” where he tackled the timely issue of foreign labor in Japan. He concluded that Japan should create a policy that respects the rights of foreign workers and incorporates the intentions of each government.

(新田くんの卒業論文のタイトルは「日本の外国人労働者:将来の政策ロードマップ」で、タイムリーな話題である日本の外国人労働者問題に取り組みました。彼は、日本は外国人労働者の権利を尊重し、送り出し、受け入れ双方の政府の意向を組み入れた政策が必要であると結論付けています。)

新田涼介くんとBisset准教授です

 

Zhang-san’s decided to compare the real estate markets in Japan and China. Her paper, titled “Analysis and discussion on the real estate market between Japan and China”, even used primary data to develop a regression model to estimate the determinants of real estate prices in Japan, with an R-squared of more than 0.7.

(張さんは、日本と中国の不動産市場を比較することにしました。彼女の卒業論文のタイトルは「日中の不動産市場に関する分析と議論」という題名です。少し専門的な話になりますが、日本における不動産価格の決定要因を推定するために1次データを利用した回帰分析を行い、決定係数が0.7を超える回帰モデルを構築しました。)

張婷(Zhang Ting)さんとBisset准教授です

 

以下は2名へのインタビューです。

Q1. なぜ、英語で卒業論文を作成するビセットゼミを選択したのですか?

張さん: ビセット先生のゼミに参加する前に、先輩たちはビセット先生がデータで経済モデルを作ることがとても上手だと教えてくれました。英語で論文を書くのは少し難しいですが、以前は知らなかったことをたくさん学べると思いますので、ビセット先生のゼミを選びました。

新田くん: 英語で論文を書くには、資料を探したり英語で構造を考えたりと、日本語で仕事をするよりも論理的で深い思考が必要になるので、とても大変です。しかし、このような努力は今後の仕事に役立つと思い、このゼミに入りました。

 

Q2. 卒業論文のトピックを選んだ理由を教えてください。

張さん: このテーマを研究する前に、米中貿易戦と日米貿易摩擦を比較分析する論文を書きました。その時、研究の過程で不動産市場は国の経済に大きな影響を与えていると感じました。日本はバブルを経験したことがあります。その経験は中国の住宅価格が高止まりしている状況で中国に参考になると思いますので、比較研究を行おうと考えました。また、ビセット先生がゼミで教えてくれた重回帰分析の方法は、不動産情報の影響度を分析するのにも使えるので、このテーマは研究に値するテーマだと思いました。

新田くん: 大学生活の中でアルバイトをしている際に、留学生など外国人労働者の待遇がとても酷い現実をみて、調べてみると、このような状況は日本各地で発生していると知りました。また、私の叔父から働いている工場でも最低賃金を下回る労働条件で外国人を雇っていると言う話もよく聞きました。そのため、日本の政策に疑問を持つようになり卒業論文では外国人労働者政策を取り上げました。

 

Q3. 英語で卒業論文を作成するにあたって、困ったことや苦労したことはありますか?

張さん: 論文を書く時、一番難しいのは政策の名称と専門用語の翻訳です。公式の翻訳が見つからない場合は、用語をチェックするのに時間がかかりました。

新田くん: 論文を書く時に最も苦労したことは、統計データなどの資料探しです。自分のとり上げたトピックは日本国内の話題であったため、日本語では簡単にアクセスできる内容でも、英語で調べてみると中々見つからないことが多くありました。

 

Q4. 卒業後はどのような進路に進みますか?

張さん: 一橋大学大学院に進学して、日本の女性管理職登用の現状と企業経営における女性の強みを研究します。そして、卒業後は日本で就職するつもりです。

新田くん: 東京の保険会社で働きます。大変なことも多々あると思いますが、国籍を問わず日本で働く人たちやその家族に合った保障商品を届けたいと思います。

 

Bissetゼミ4年生のみんなで

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「英語で書くには、より論理的で深い思考が必要」という新田くんの言葉は、英語による論文執筆のとても重要な意義をうまく表しています。来年度以降も、多くの学生がBissetゼミで英語論文にチャレンジしてくれることを期待しています。

 

学長から一言:Bissetゼミの皆さん、英語での卒業論文の執筆、お疲れさん!!!さすが国際経済学科!就職したら、色々な意味合いで、この苦労がすぐ役立つと思いますよッ!!!