【機械システム工学科】3次元デジタル設計の授業が進行中!

【機械システム工学科】3次元デジタル設計の授業が進行中!

コンピュターによる機械設計教育に重点を置いている機械システム工学科。今、各学年で後期の授業が終盤に入っていますが、3次元デジタル設計の授業の様子を紹介します。(ブログ作成:内田、投稿:小林)


 

設計から生産までの一連を体験 - CAD/CAMシステム

最初に紹介するのは、2年生向けの授業である「CAD/CAMシステム」です。この授業では、学生が小型のスパナを設計し、それを実際に製作するまでを行います。写真は、昨春にリニューアルしたCAD/CAM室ですが、受講学生が教室の中を頻繁に移動したり話し合ったりと、大変にぎやかで活発的な授業です(もちろん、座席の間を広く空けるなどの三密対策はしっかり取っています)。それでは、スパナを設計して製作するまでの流れを、順を追って見てみましょう。

 

まず、CAD(コンピュータ援用設計)を使ってスパナの形状を設計します。左側はこの授業を受け持つ坂口教授です。学生らは、疑問な点があったらすぐに教授に尋ねるなどしながら慎重かつ確実に設計を進めていきます。なお、写真で学生が左手に持っているのは学科の教育研究設備である高速光造形機(高精度3次元プリンタ)を使って、学生自身があらかじめ試作したスパナのモデルです。

 

次に、設計したスパナがどのくらいの力に耐えられるかなどをCAE(コンピュータ援用エンジニアリング)ソフトを使って確認します。この授業では、与えられた設計条件(大きさや耐えられる力など)の範囲で、各自が自由にデザインしたスパナについて設計をチェックしなければなりません。力が加わったときにどのように変形するのか(変位解析)、どこの部分が主に力を受け持つのか(応力解析)など、いろいろな角度から解析します。

 

そして、大丈夫な設計ができていることがわかったら、いよいよ製作準備に移ります。まず、先のスパナの設計データを用いて鋳型(いがた)を設計しますが、そのためにCAM(コンピュータ援用生産)を使用します。鋳型というのは、製作物の凹凸を反転させた鯛焼き器のような型のことで、そのくぼみの中に溶けた金属を流し込むと目的のものができあがるわけです。

 

鋳型の設計が終わったら、設計データを加工データに変換して3次元切削加工機に送ります。すると、加工機がドリルのような刃物(エンドミル)を回転させながら自動的に型材を削っていき、目的とする鋳型を作っていきます(いわば切削加工ロボットですね)。この3次元切削加工機もリニューアルしたばかりの最新型を使っています。

 

そして、完成した鋳型に溶けた金属(少し特殊な金属を使用しています)を流し込み、冷えて固まったものを取り出せばスパナの完成です。自分たちが設計した通りのものが実物としてできあがったのを見ると、コンピュータ設計のありがたみが、ひとしお実感されます。

 

最後にレポートを作成します。目的通りのスパナが作れたのか、何か課題はなかったか、受講学生どうしで意見交換をしながらまとめていきます。企業に就職して設計の仕事に就いたならば、設計完了後には必ずレポートを書くことになるので、その訓練は重要です。

 

高度な設計解析を学ぶ ― メカニカルCAE

次に、3年生向けの3次元デジタル設計教育科目である「メカニカルCAE」を簡単に紹介します。この科目は、計算解析の理論面に重点を置いていて、先の「CAD/CAMシステム」とは打って変わって物静かな授業です。皆さん、集中して黙々と解析を行っています。

この日の授業のテーマは「固有振動解析」です。機械の振動は一見複雑そうな動きに感じられる場合でも、いくつかの単純な振動の「成分」が合わさったものになっています。固有振動解析とは、そうした振動の成分を割り出す解析のことで、振動しても壊れない機械を設計するために大変重要な技術です。

写真では動きがわかりませんが、金属板などがどのように揺れるのかをコンピュータ画面上のアニメーションを見ながら解析します。

 


以上、機械システム工学科の3次元デジタル設計教育科目の2つを紹介しました。学科には、このほかにも多数のデジタル設計の授業科目を設けています。コンピュータの利用技術はますます発展し、重要になっていくので、学科では今後も最新の技術を取り入れるなどこの方面の教育に力を入れていく予定です。

 

学長から一言:機械の設計も、コンピュータでスマートに行う時代なのですねッ!withコロナもafterコロナも、これなら大丈夫!!!