【生物工学科】ネズミを探して四国まで2020

【生物工学科】ネズミを探して四国まで2020

卒業研究も終盤を迎えようとしています。今年はコロナ禍のせいで出遅れた4年生ですが、ここにきて勢いが出てきたと感じます。卒業研究発表会まであと残り数か月、大学でしかできない研究を存分に楽しんでほしいなと思う今日この頃です。今日は、今年最後のフィールド調査となった四国中央市周辺の山林における野ネズミの調査の様子を生物工学科佐藤が報告します。

秋の調査は涼しくて虫も少ないので快適です。今回は卒業研究生(略して卒研生)3人が頑張りました。まずは、調査地の選定から行いました。車でぐるぐる回り、ワナの設置に適した場所を探します。途中、イノシシと出会ったり、野生のサルが近づいてきたり、何やらよくわからない食肉類の鳴声が聞こえてきたりと山の営みを感じることができました。

場所が決まったらワナの準備です。今回は、2か所に60台ずつ野ネズミを捕獲するためのワナを仕掛けました。山に入る前には忘れ物がないかしっかりと確認し、必要なものを準備します。山に登ってから戻るのだけは避けたいのです。準備ができたらいざ山へ!

一人15台のワナを4人で手分けをして仕掛けます。時には急峻な斜面を登ることもありますので、助け合いながら、声をかけながらワナを設置します。山ではいろいろなことを同時に考えなければなりません。何よりも自分自身の安全、仲間の安全、ネズミの行動を考えてトラップの設置場所を探すこと、目印をつけること、などなど。頭が鍛えられます。

翌朝、ワナの中を覗いてみると野ネズミたちが待っていました。卒研生は、中国地方や瀬戸内海島嶼、そして四国の野ネズミのDNAを分析し、その類縁関係を調べています。それで何が分かるのか?瀬戸内海の島々のでき方が分かるのではないかと考えています。地質調査ではわからない日本列島の形成過程をネズミのDNAで明らかにしようじゃないですか(参考文献)。

実は、今年のフィールド調査の回数はコロナ禍の影響でとても少なく、4年生は調査に慣れるまで大変だったと思います。しかし、今年最後の調査では教員の助言は必要ありません。スムーズに調査が進みました。これが成長ってもんですね。教員の好物です。

福山大学周辺で野ネズミの調査を始めたのが約10年前。向島、因島、、、と芸予諸島の調査を続け、数年前に四国に上陸しました。今治、西条、そして今年、瀬戸内海を挟んで福山の反対側の四国中央市まで来ました。塵も積もれば山となる。長い時間をかけて4年生の努力が少しずつ暗闇に光を当てるがごとく私たちの知的世界を広げています。そんな研究に興味のある仲間を集めています。高校生の皆さん、どうですか?

生物工学科では、他にも様々な分野の教育・研究を行っています。興味のある皆さんは、是非こちらの動画サイトから学科のことをもっともっと知っていただければ嬉しいです!

 

学長から一言:ネズミのDNAの違いで、瀬戸内海の島々のでき方を調べるなんて、ロマンがありますね~!世界中のネズミを調べたら、地球の陸地の成り立ちもわかっちゃうよ!?!