【生物工学科】野生の生き物を学ぶ実習

【生物工学科】野生の生き物を学ぶ実習

生き物は好きですか?今年6月の論文によると、1900年から2050年までの150年間に、脊椎動物の絶滅速度は過去200万年間の絶滅速度と比較して1000倍以上も速くなると予測されています。まさに今、身の回りの生態系、そしてその生態系を支える生物多様性を理解するための知識と技術が求められています。生物工学科3年生対象の生物多様性実習を行いましたので、生物工学科佐藤が紹介します。

フィールド調査

フィールド調査といっても遠出はしません。何故なら、福山大学のキャンパスは森に囲まれており、自然に溢れているからです。生物多様性を学ぶ上ではとっても良い環境です。今年もネズミのワナと虫網をもって動物の捕獲を試みました。学生たちは、思い思いにネズミのワナを仕掛け(ネズミの捕獲には許可を取っています)、好きな虫を採ってきました。虫が平気な人の率が高し。さすが生物工学科の学生たち。採ってきた虫は図鑑で同定をしました。

残念ながら、最初に設置したワナではネズミが捕まらず、コロナ禍のせいで実習の実施が夏から秋に移動になったことを恨みましたが、その後、何度か挑戦することで、3頭のアカネズミを捕獲することができました。DNA分析用に少しばかり組織をいただき、捕まえた場所にリリースしました。元気に森に帰っていきましたよ。元気でな―。もう捕まるなよー。

DNA実験

ここから作業は、一気に細かくなります。ネズミの組織や虫の一部からDNAを抽出し、PCRでDNAを増幅します。そして、最後にはDNAシークエンサーで標的としたDNAの塩基配列(4文字の並び)を解読します。マイクロリットルレベルの液体を吸引・排出する作業が多くなり、集中力が求められます。コロナウイルスの検出でも似たような作業を行っています。

下の写真は、0.2ミリリットルのチューブの底についたDNAを取らないようにゆーっくりと液体を取り除いているところです。DNAは肉眼では見えないので、慎重に作業を行わなければなりません。この作業が終わったら、DNAシークエンサーで塩基配列を解読します!

さて、結果はどうだったでしょうか?100%成功とはいきませんでしたが、各班、DNAの情報を得ることができました。得られたDNAの情報を国際DNAデータベースで検索してみると、自分の取ったネズミや虫が結果として出てきました。成功です。このようにして、生物工学科では野生生物のDNAの分析技術を身に付ける実習を行っています。いろいろな分野に応用可能な大切な技術です。そして、何よりも面白いですよ!

以上、生物工学科における生態系研究の一端を紹介しました。生物工学科の目標は、生物の仕組みを解き明かし、社会に活用することです。そして、人と自然が共生する持続可能な社会を構築することを最終的な到達点としています。私たちの生活には、身の回りの生態系の理解が欠かせません。生物工学科で一緒に学びませんか?興味のある皆さんは、是非こちらの動画サイトから学科のことをもっともっと知っていただければ嬉しいです!それにしても、対面で実習ができ、本当に良かった。。。コロナに負けずに学び続けよう!

 

学長から一言:生物工学科という学科名からは、ちょっと学びの内容が具体的に分かりにくいですが。。。DNA分析などもバッチリなんですねッ!目標は、自然と共生する持続可能な社会の構築!!!