【スマートシステム学科】実験授業にMATLABの活用開始!

【スマートシステム学科】実験授業にMATLABの活用開始!

今度年から工学部ではPC環境を一新し、より効果的な授業の実施に取り組んでいます。の6月30日(火)のブログでもお知らせしたように、工学部スマートシステム学科(フェイスブックはこちら)では、技術計算ソフトウエアMATLABをスマートシステム基礎実験の授業に導入しました。9月23日(水)より後期授業が開始されて最初の授業が実施されましたが、その様子の報告が、実験を担当している仲嶋教授(スマートシステム学科長)より届いているので紹介します。(投稿は伍賀)


MATLABは、工学から経済まで幅広い分野で世界的に活用されている技術計算ソフトウエアです。本学は、本年度よりこの全学包括ライセンスを導入しました。これにより、本学のすべての学生・教員が学内外を問わず、自分のパソコンで本ソフトウエアを学修し、研究に活用することができるようになりました。

MATLABは、データ解析、制御システムから情報生命工学、計量経済学にまで活用されている幅広い計算ソフトウエアです。スマートシステム学科では、本年度の前期より3年生選択授業のMBD実習1と修士課程のメカトロニクス特論でメカトロ制御系設計の講義に使用してきました。そして、後期より2年生の必修科目であるスマートシステム基礎実験でもMATLABのモデル構築機能を用いた実験を導入しました。

学生実験は、もちろん実機を用いて行うのが主であり、これがとても重要です。しかし、その実機実習が学習効果を持つためには、実験結果を理論(モデル)を用いて予測し、そして実験結果と理論を比較して実験内容の評価を行い、理論の理解を深めるというプロセスを経る必要があります。この過程は、昔々工学という学問ができてからずっと変わりません。ただ、理論で予測する道具として、永らくは鉛筆とノートであったものが、デジタルツール(MATLAB)に進化したということになります。したがって、ICTの特性が活かされることで、実験内容の予測、評価、理解のスピード化が図られるとともに、さらに電気や力の作用など私たちが目にすることができないものを可視化することで、概念の解釈や理論の理解に大いに貢献することが期待できます。これが最も大きな効果かもしれません。

授業風景。皆さん真剣に取り組んでいます。

このMATLABの包括ライセンスを持つ福山大学の学生と教員は、MATLABに含まれる全ての拡張機能(Toolboxと呼ばれます)を使うことができます。ちなみに、その使い方は2種類あります。
1つは、MATLATをアプリケーションとして自分のパソコンにインストールして用いる方法です。ただ、インストールする拡張機能を増やしていくと、結構大きな記憶容量が必要になるので注意が必要です。また、パソコンの性能が処理能力に現れます。工学部のPC室のパソコンを利用すると心地よく計算してくれます。

もう1つは、Microsoft EdgeやGoogle Chromeのようなブラウザを介してオンラインで利用する方法です。(MATLAB onlineと言います。)こちらは、インターネット環境があればパソコンを用いてどこからでも利用できますし、MATLABのシステム本体はCloud上にありますから、手元のパソコンの記憶容量を大きく消費することはありません。さらに、処理能力は使っているパソコンの性能にあまり依存しません。大学構内は、WiFiのネットワーク環境がありますから学内どこからでも利用できることになりますし、もちろん、学外やご家庭からも全く同じ環境で使用することが可能です。(今日は、中庭の“四季の陽だまり”でMATLABを使っている学生がいました!)因みに、スマホやiPadのような携行デバイスからも機能の制約は生じますが、オンラインでの利用ができます(MATLAB mobileと言います。使い慣れると超高性能な電卓として活躍してくれて便利です)。

さて、当日の様子に話を戻しましょう。この日は、MATLABを学生実験に活かす方法を実感してもらうことが主たる目的です。まずは、MATLABを起動させることが第一歩ですが、学生が所有するパソコンの性能に処理能力が左右されないように、今回は2番目の方法であるオンライン版のアカウント取得から始めました。そして、理論解析の実習としてモデルを使って理論解析ができるSimscapeという拡張機能を使ってもらい、次にMATLABからレポート(ドキュメント)を作成することができるLiveScriptという機能を使ってもらいました。実習のお題は、数週間後に実機実験を行う予定のマス・バネ・ダンパーの運動解析です。マス・バネ・ダンパーと聞いても??の方も多いと思いますが、自動車などの緩衝器の原理構造だと思ってください。その乗り心地の良さの予測に挑戦したといってもよいでしょう。最初はオタオタ(そして、少しイライラ)していた学生も、だんだんと要領を得てきて、ものすごい集中力を発揮して全員が見事にシミュレーションを完了しました。そして、その結果をMATLAB上からレポートに仕上げてもらいました。

教員の指導を受けながら制御モデルを各人が構築していきます。

大きな画面と高性能の大学のPCをベースに実習したのちに、自分のBYODパソコンからオンライン環境で、動作確認をしてもらいました。自分のパソコンでも遜色なくシミュレーションができた学生たちは大満足の様子で「これはいい!うれしい!今日は得した気がする!!家でもやってみよう!」という声も聞こえてきました。これで虜になってくれたと思います。座学の講義でも効果的に活用することで、目に見えない現象の理解に役立てそうです。

シミュレーションにより入出力の特性が得られました。

本学では、BYOD(Bring Your Own Device:自分のノートパソコン等を携帯し授業に活用する)を推進しており、自分のパソコンから自宅でも使用できるので効率的に学修を進めることができます。いろいろな分野に活用できるので今後が楽しみですね!

最後に、福山大学の皆さん、ブラウザから「MATLAB online」と検索してみてください。素晴らしい世界が待っているかもしれませんよ!

 

学長から一言:面白そうですね~!ワクワクしますね~!MATLABを使えば、初心者もあっという間にかつての秀才!?!そこからちょっと努力すると、もうかつての天才?!?人の知能とパソコンとソフト(MATLAB)が一体となった世界が開けますねッ!高校生の皆さん、いかがですか?