【スマートシステム学科】海底カメラは海へ(2019)~2号機完成~

【スマートシステム学科】海底カメラは海へ(2019)~2号機完成~

福山大学ブランディング推進のための研究プロジェクトとして展開中の瀬戸内の里山・里海学で、スマートシステム学科では藻場観測のための海底カメラの開発が進行中です。今夏のフィールド実験の展開についての様子がスマートシステム学科の仲嶋教授や田中准教授から届いていますので、工学部スマートシステム学科(フェイスブックはこちら)の伍賀が紹介します。

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皆さんこんにちは。ついに完成しました!これが海底カメラの2号機です。そして、2号機の初めての海洋実験のために海へやってきました。海底カメラって何?という人は、これまでのブログシリーズをご覧ください。見るのが面倒という人のために簡単にいえば、“海の底に沈めて使う監視カメラ”です。海の秘密をのぞき見します。

2019.03.05 水中ドローン発進

2019.01.28 海底カメラの見た海の底

2018.11.17  カメラはさらに海底へ

海底カメラ2号機

 

新しく開発した海底カメラ2号機をご紹介しましょう。軽くなりました。1号機が総重量40kgだったのに比べて2号機は8kg、サイズも4分の1と小さく扱いやすくなりました。ボディは透明アクリル製のスケルトンです。また、材料費や製作費が4分の1になったので財布にも優しいですね。海底カメラは距離を測定するために2つのカメラを使います。2号機ではカメラ間隔を人間の両眼の距離に設定したため、肉眼でも立体が識別できる示が可能になりました。海の中を3Dで見られるなんてわくわくしますね。内部にはバッテリーの補助となる太陽光パネルが入っています。水中で太陽光発電なんてと思っていませんか?意外と浅い海の中は明るいんですよ!太陽光で発電して1日20分程度なら充電なしでも動く予定です。

実験に出発する前に、実験の成功を目指して気勢をあげます。今回のメンバーには「海デビュー」の新人4年生2人が参加しています。皆さん何か不安を抱えているらしく、ちょっとノリが悪いようですが。。。

出発前(大浜港にて)

 

そうこうする間に、八重子島の近海へ到着です。最近は、梅雨末期ということで天気も荒れ模様で、今日も雨模様とさらに風もあります。波は50cmくらいでしょうか。爽風丸は小さなボートなので心持ち揺れています。

海底カメラを投入

 

さあ、実験の始まりです。現場で海底カメラを下ろしていきます。軽いので一人で作業できるのですが、そのままではカメラ本体の浮力が勝ってしまって沈みません。下部にコンクリートでできたおもりをぶら下げて重量を確保します。水深は約5mくらいですから、すぐに海底に届くと思いきや、ぷかぷか浮いたまま沈んでくれないではないですか!周囲からは不安の声がします。重量計算の間違い?いえ、ロープを踏んでいた人がいたようです。ハプニングはありましたが、海中に沈んでいきました。

海底カメラが沈んだ後に残されたものは、炭酸飲料のペットボトルだけでした。これは海底カメラの設置場所を示すための浮きなのですが、今や海洋プラスチック汚染の元凶として白眼視される残念な子です。

ペットボトルをウキにしています

 

この時期(夏季)の海中は、プランクトンが繁茂しているために、どこを見ても緑色の世界しか見えません。それに藻場も枯れてしまっているので、海底は砂漠のような荒地です。そうした海中ですが、様々な不定形の浮遊物が流れていくことがわかります。この動きから海流の動きを調べようとしています。

海底カメラは何度か海面と海底との間を行き来しました。ふと、海上にクラゲが傘を広げて懸命に泳いでいるところに出会いました。クラゲは今回の運用実験中に見つけた唯一の大型の生物でした。

緑で染まる海の中(右に爽風丸の影とロープが見える)(海底カメラ2号機から)

海面を漂うクラゲ(海底カメラ2号機から)

船の上に引き上げられて空を見上げる(海底カメラ2号機から)

 

今回はわずか30分程度の海底の旅でしたが、3D撮影は見応えがあります。是非、ご覧いただく機会を作りたいと思います。

さて、今日は海洋探査に活躍が期待されるROV(水中ドローン)を使って海中を撮影する実験も予定しています。しかしながら今日は風が強く、海面が荒れた状態なのでちょっと心配です。因島大橋の雄大な風景の中で小さいドローンが出発です。ところが、海面に下ろした水中ドローンはみるみる流されてあらぬ方向に行ってしまいました。推進力最大で動かしても逆らえないこの海流では思うように操縦することもできませんでした。今日は日が悪かったですね。次はもっと強力なドローンをもって来ようと思いました。と言った反省の声も上がりましたが、自然相手ではどうしようもないこともあります。

因島大橋の前で水中ドローン出発

早い海流に悪戦苦闘(テザーで引き戻すしかないな)

実験を終えて港に帰る

 

そんなこんなで実験が終わり、それぞれの思いを抱いて港への帰路に着いたのでした。海底カメラ2号機の初実験のブログをお読みいだだきありがとうございました。これからも引き続き、海底カメラの記事をお届けしますので楽しみにお待ちくださいね。

 

学長から一言:やけに重くて操作の難しそうだった1号機に比較し、2号機はかなり進歩しましたねッ!藻場観測で新たな発見が続々出てきそう。。。と期待が膨らみま~す!!!プロジェクト全体もにらんで、横の連携も忘れないで!水中ドローンは、これからのお楽しみ!!!