【心理学科】母子の情緒的なやりとり研究が女性研究者奨励金に採択!

【心理学科】母子の情緒的なやりとり研究が女性研究者奨励金に採択!

女性が活躍する時代!心理学科の女性研究者も、活躍中です!

皆さんこんにちは、心理学科の大杉です。暑くなってきましたが、いかがお過ごしですか?今日はおめでたいニュースをお伝えしたいと思います!

心理学科児童臨床心理学研究室の金平希助教の研究課題が、2019年度女性研究者奨励金に採択されました。

女性研究者奨励金は、日本私立学校振興・共済事業団により、私立大学等の特色ある教育・研究の礎となる、女性研究者や若手研究者が自ら計画する独創的で発展性ある研究に対して、その研究に取り組むための機会を支援することにより、人材育成を図ることを目的としたものです。

以下、私大杉が、金平助教にインタビューした模様をお伝えします!

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(大杉)採択おめでとうございます!まず、どのような研究課題が採択されたか教えていただけますか?

(金平)ありがとうございます。女性研究者奨励金に採択された研究課題は、「情緒応答性評価による母子相互作用の強みと脆弱性領域の把握」です。

研究内容について簡単に紹介させていただくと「発達に特徴のあるお子さまとお母様の情緒的なやりとり(情緒応答性;Emotional Availability)の特徴を、実際の観察を通じて把握し、どのようなやりとりへ支援すれば良いのかを考える」というものです。

発達早期の養育者との良好な関係性は、子どもの愛着形成や、情動調整、認知や知的な発達など多くの重要な側面に影響を及ぼすと言われています。このような関係性は、親と子の相互の働きかけと反応を通じて構築されていきます。しかし、発達障害など子どもの反応の読み取りにくさや特異性がある場合、母親は敏感に関わることが難しく、自分の関わりに自信が持てず、やりとりに消極的になるかもしれません。そのため、まずは現状の母子相互作用を客観的に評価し、早期の母子関係を支援することが重要となってきます。

この研究では、現状の母子相互作用の特徴を評価するため、日本ではまだあまり研究がなされていない、情緒応答性(Emotional Availability)に注目しました。情緒応答性とは、情緒的に健康な関係を共有する母子の能力であり、互いに情緒を表現し合い、相手に十分かつ適切に反応しているときに高くなるといわれています。
実際の母子相互作用場面の観察から、母子ペアとしての情緒応答性および、母子それぞれの情緒応答性(具体的には、母親の「敏感性」、「構造化」、「非侵入性」、「非攻撃性」、子どもの「反応性」、「関与の促し」を評価する)を把握することで、強さと脆弱性領域の特定が可能となり、支援が必要かどうか、支援が必要であればどのようなやりとりへの介入を行えば良いかの判断が可能となると考えています。

<松田学長に採択を報告している金平助教>

(大杉)なるほど。情緒応答性というものに着目して、母子がよりよい関係性を築くために研究されるのですね!同じ女性として、とても心強いです。このような研究の必要性を感じる場面はありますか?

(金平)私は、現在3歳男児の母親として、日々育児に奮闘しております。またもうすぐ第二子を出産予定です。

日々の育児の中でふとした瞬間に、息子と私の相互作用を情緒応答性の枠組みで捉えることがあります。そして、自分の関わり方を反省したり、相互作用とは、いずれか一方の働きかけで成立するものではなく、相補的であると改めて感じたりすることがあります。例えば、ただその場に一緒にいるだけでは、情緒的な応答はできていないわけです。私が仕事のメールに夢中になっているときに、息子が「お母ちゃん何してるん?」と玩具を提示し、積極的にポジティブな関与の促しをしてくれると、ハッとしますね。

私が情緒的に応答すると、息子はとても嬉しそうな笑顔で反応します。これこそが、育児の報酬であることを実感するのです。一方で、障害やその他の様々な要因から、子どもの情緒応答性が妨げられ、報酬が少ない場合、育児とはなんと大変でしんどいものかとも感じています。その手助けが少しでもできたら、同じ母親としてうれしいなと思います。

現在私は、発達障害の幼児とその母親の情緒応答性の観察を通して、特に母親のポジティブな応答性に興味をもっています。臨床の中でそのような強み(resilience)を見つけ、支援していく視点を持ち続けたいと考えています。もちろん自分の育児の中でも活かしていきたいです!

<松田学長と、贈呈書を手にする金平助教>

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女性が研究者として、そして母として活躍する姿は、本当に素敵だなと思います。今後も世の中のお母さんのため、そして子どもたちのため、金平助教、頑張ってください!

 

学長から一言:金平助教は、本学の心理学科の1期生です!彼女が学生や院生だった頃は、私も第一線の教員でした。。。子育てをしながらしっかりと研究も行い、その研究の成果が子育てにも生きており、率直に、うれしいですねッ!!!これからもがんばって!!!