【人間文化学科】オンライン授業への取り組み ―「現代ヨーロッパ事情」における実践例

【人間文化学科】オンライン授業への取り組み ―「現代ヨーロッパ事情」における実践例

春頃は、教員にとってとにかく暗中模索の状態で準備を進めていた「オンライン授業」。現在はどのような状況なのでしょうか?

学長室ブログメンバー、人間文化学科の清水です。こんにちは。

オンライン授業については現在も模索中ですし、課題も多いことに変わりありませんが、様々な実践例の報告によって、よりよい形を少しずつ作り出せる空気が広がってきたように思います。

今回は、このオンライン授業について、人間文化学科の村上亮准教授からの報告をお伝えします。

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こんにちは。人間文化学科の村上です。

コロナ禍のために、オンラインで始まった2020年度前期、学生の皆さん、とりわけ1年生は不安な船出を迎えたと思います。また、我々教員にとっても暗中模索の日々でした。今日は、私の担当科目「現代ヨーロッパ事情」の遠隔授業における実践について、お話しします。

さて、大学における講義と聞いてどのような想像をされるでしょうか。おそらく、先生が「話し」、学生が「聴く」という構図を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、私の授業では、教室で話を「聴く」だけではなく、毎回コメントシートを書いてもらう、言い換えれば、何か「話して」帰ってもらっています。これは、人間文化学科における学びが教員の話を鵜呑みにするのではなく、聞いた内容を自分なりに整理し、学修を深めることや自分の意見を自分の言葉で語ることに重きをおいているからであり、それこそが世の中で生きていくために不可欠な能力と考えているからです。また、受講者の声は私の講義内容を常に見直し、改善するための貴重な材料でもあります。

それでは、授業内容に話を進めましょう。本科目の概要は、第二次世界大戦後から現在に至るヨーロッパとアメリカの現代史です。先日、投票日を迎えたアメリカ大統領選挙についても触れました。授業を進めるにあたっては受講生の不安を軽減するとともに、内容を理解しやすくするためにいくつかの工夫を講じました。

(1)毎回の授業で用意するパワーポイント資料に、時事問題に関する風刺画などを含めることで視覚的にとらえやすくするとともに、レジュメによって復習やすいように努める。

(2)受講者が提出するコメントシートの対応に時間をかけ、できるだけ全員に返 答を書く。

(3)受講者からのコメントシートを授業資料のなかで紹介し、遠隔授業においても同じ場所で学んでいる雰囲気をつくる

(4)授業内容をふまえ、現代世界について考えを深めてもらう課題を提示する。民主主義がコロナ禍をどのように克服すべきか、という問題について新聞記事などを題材に考えてもらうレポートを出したのはその一例である。

手探りのなかで始まった「現代ヨーロッパ事情」は、途中で放棄した受講者は一人もいませんでした。この結果は、学生ひとりひとりの頑張りによるものです。一時は対面授業が再開されたものの、再び遠隔授業に戻るという混乱のなかで一生懸命に取り組んでくれました。

以上の実践については、本学における教育改革シンポジウムにおいて報告する機会にも恵まれ、私自身にとっても自分の授業を見直す良い機会になりました。もっとも、同じやり方が別の授業でうまくいくという保証はありません。「良い」授業の鍵となるのは、教員が授業内容の面白さを分かってもらいたいという気持ちを持つこと、そして学生の主体性を引き出せる環境を整えることだと考えています。

 

学長から一言:村上准教授の授業を聴いたことはないですが、教育改革シンポでの発表はちゃんと聴きましたよッ!ICT機器の活用テクニックはごく普通でしたが、遠隔授業の中でも、学生の主体的な学びを保証しようという姿勢が印象的で、かつそれはかなり成功しているように見受けられました!