【人間科学研究科】修士1年生が学会で優秀発表賞を受賞!

【人間科学研究科】修士1年生が学会で優秀発表賞を受賞!

年末最後に、ビックニュースが舞い込んできました!

皆さんこんにちは。心理学科の大杉です。年末最後の学長室ブログで、心理学科と大学院人間科学研究科にとって非常に嬉しいニュースをお届けします。

今年10月の中国四国心理学会第75回大会における大学院生の発表が、大会優秀発表賞を受賞しました。
受賞した研究内容やそれにまつわるエピソード、さらには受賞にも引けを取らないサプライズについて、人間科学研究科長で指導教員の平伸二教授に紹介していただきます。

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人間科学研究科長の平です。
10月19日(土)~20日(日)に中国四国心理学会第75回大会が開催され、心理臨床学専攻の大学院生と心理学科の学部生が発表しました。発表の様子に関しては、10月21日(月)の学長室ブログ【心理学科】大学院生と学部生が中国四国心理学会で発表!で報告がありました。

この大会では、大学院生の発表に対して、優秀発表賞の審査が行われます。審査は発表の①独創性、②発展性、③プレゼンテーション、④社会貢献の4点から行われ、犯罪心理学研究室修士1年生の岡﨑麻依さんが、見事に大会優秀発表賞を受賞しました。
初めての学会発表でしたが、非常に多くの関心を集め、発表を聞きに来る学会員が途切れることなく1時間の責任発表時間を越えて、2時間用意されていたポスター発表時間すべてを費やして説明を行っていました。

<ポスター前で余裕(?)の岡﨑麻依さん>

発表題目は「SCITを用いた模擬テロ実行犯メンバーの検出―P300を指標として―」というものでした。SCITはsearching-concealed information testの略であり、日本の犯罪捜査で行われているポリグラフ検査の質問方法の1つです。日本語では探索型隠匿情報検査と呼び、犯人が隠している情報を探索的に引き出す質問方法です。

例えば、絞殺による殺人事件において、首に絞められた痕跡はあるものの犯人が絞めた物を取り去っていて、何が使われたかわからない場合があります。そのようなとき、SCITが使用されます。具体的には、呼吸、心拍、皮膚電気活動(汗腺活動)、脈波などの生理指標を測定しながら、下記のような質問をしていきます。

  1. 首を絞めた物はタオルですか?
  2. 首を絞めた物はネクタイですか?
  3. 首を絞めた物はベルトですか?
  4. 首を絞めた物はスカーフですか?
  5. 首を絞めた物はストッキングですか?

何度も質問を繰り返した結果、ネクタイにのみ生理指標が特異な反応を見せた場合、容疑者がネクタイで首を絞めたと推定することができます。実際に、犯罪捜査において頻繁に使用される優れた方法です。

岡﨑さんは、2020年に実施される東京オリンピック・パラリンピック競技大会でテロの危険性が懸念される中、テロリストの容疑者が確保された際に仲間であるテロ実行犯のメンバーを検出する方法としてSCITが使用できるのではないかと考え、模擬テロシナリオ課題を用いて仲間の顔写真を呈示することで、実験的に有効な方法であることを報告しました。さらに、従来の呼吸、心拍等の末梢系の反応ではなく、脳の情報処理過程の指標である事象関連電位のP300を用いて検証しました。

つまり、脳波測定及び解析技術も身につけて、脳機能研究として実験成果をより高度なものとしました。これらが、審査基準である①独創性、②発展性、③プレゼンテーション、④社会貢献のすべての面で高く評価されたものと思われます。

<大会発表優秀賞に輝いた岡﨑さんのポスター>

受賞の吉報は、学会事務局から岡﨑さん宛にメールで届くとともに、学会のメーリングリストでも発表されました。心理学科の教員や大学院生にもすぐに広がり、たくさんの祝福も受けていました。また、心理学科及び人間科学研究科を創設された松田文子学長にもお知らせしたところ、学長室訪問をして直接報告することになりました。年末のお忙しい中に時間を割いていただき、発表内容について資料をもとに説明ができました。

<資料を持参して説明する岡﨑さん>

また、大会発表優秀賞の報告とともに島根県警察本部刑事部科学捜査研究所の内定通知も持参して、来春から「科捜研の女」として勤務することも報告しました。

岡﨑さんは、広島県立大門高等学校の3年時に心理学科のオープンキャンパスに参加して私と出会って科捜研の研究員に魅力を感じ、入学してきたというエピソードも披露しました。犯罪心理学研究室からは、過去に2名の科捜研研究員採用実績(静岡県警と熊本県警)があり、岡﨑さんで3人目となります。科捜研の心理部門は全国で120人くらいのポジションしかなく、毎年数名の採用枠に全国の優秀な大学院生と学生がしのぎを削る超難関の試験です。その中で見事に夢を叶えたと言えます。

福山大学では、(犯罪心理学研究室)と大杉朱美講師(捜査心理学研究室)が科捜研の勤務歴を持つことから、全国的にも実践的な犯罪心理学の専門科目の受講(例えば、捜査心理学の授業内の特別講義第1弾第2弾)と研究ができる大学として有名です。また、在学生にも科捜研志望の学生が多くいて、今回の岡﨑さんの科捜研への採用は後輩たちにも大きな喜びと夢を与えました。松田学長からも岡﨑さんが科捜研に採用され、鑑定と研究に頑張ることで後輩たちの励みとなり、それが次に続く人たちを育てるとの激励を受けました。

最後に、記念撮影もしていただきました。

<岡﨑さんを囲んでの学長との記念撮影>

以下、岡﨑さんの感想です。

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人間科学研究科心理臨床学専攻修士1年生:岡﨑麻依

この度は、中国四国心理学会第75回大会の大会優秀発表賞という名誉な賞に選ばれ、大変嬉しく思います。今回の発表では、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を受け、テロの未然防止をテーマとし、顔画像を用いた隠匿情報検査の有用性について検討しました。8~9月中に実験データを集めていたのですが、夏休み中であるにも関わらず実験に協力してくださった方々、根気強く指導してくださった先生方に感謝しています。この賞をいただいたことで、自分に少し自信がついたような気がします。これらの経験を活かし、春から目標としていた科学捜査研究所の研究員として頑張っていきたいと思います。

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初めての学会発表だったこともあり、その報に接してとても驚いたようですが、科学捜査研究所に勤務する上での大きな自信と今後の研究への意欲も高まったと思います。犯罪捜査の最前線は、これまでに経験したことのない厳しい環境の下、常に新しい知識と技術を学び、的確な判断をする必要があります。この受賞を自信にして、いつも前向きに妥協を許さず徹底して取り組んで、自分の道を切り拓いていって欲しいと思います。

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今年の締めにふさわしい嬉しいニュースでした。これまでの経験を大いに活かして、更なる活躍をしてくれるものと期待しています!

 

学長から一言:岡崎さん、中国四国心理学会の優秀発表賞の受賞、おめでとう!!!修士課程の1年生で科学捜査研究所の研究員にも内定とのこと、かなり珍しいことですねッ!かさねておめでとう!!!