社会連携センター

Research Center for Social Collaboration

社会連携センター

中村 雅樹(なかむら まさき)

職 名 助教
学 位 工学士
専門分野 鋼構造
担当科目 地域防災基礎、地域防災応用、暮らしと物づくり、みらい工学プロジェクト、コンピュータグラフィックス演習など
メッセージ 我が国は道路や橋、ダム等に代表される社会資本を整備してきたが、多くの土木構造物は50年近く経過して維持管理費と更新費の増大から新設が困難な状況になりえると予想されている。限られた財源で更に必要な社会資本の整備を進めるためには、供用後の構造物を末永く健全に保全していく技術開発も非常に重要な研究課題です。

 研究者情報 

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構造物の余寿命を延ばすために耐震診断を行って補強や補修を!!

厚生労働省の健康日本21(総論)では、生涯を幼年、少年、青年、壮年、中年、高年に大別しています。ここで、壮年の年齢区分は31~44歳となっていますが、壮年期は最も体力や気力が充実していることから無理をするために不摂生や運動不足から、体を壊して中年以降に生活習慣病になることもあります。したがって、この時期から定期的な健康診断を受けて健康へ気を付ける必要があります。社会資本の大型構造物も同様な考えです。構造物の老朽化を防いで余寿命を延ばすために点検や耐震診断等を行って補強や補修を施すことになります。

構造物の余寿命を延ばすには定期点検と補強や補修が必要です。

鋼製橋脚にマンホールがある?

都市内での物流は主に高速道路が利用されます。この高速道路は幾重にも重なって地上高くそびえ立った高架橋となります。それを支える橋脚は高強度で変形性能のある鋼材を用いた鋼製橋脚が一般的です。この鋼製橋脚には維持管理者が橋脚内部に入るためのマンホールがあります。マンホールの大きさは400×600mmの小判形が主流です。鋼製橋脚にマンホールを設けると、その部分の強度は低下して鋼製橋脚全体の耐震性能も低下することになります。したがって、マンホールには耐震性能が低下しないための補強指針が必要になります。

マンホールは道路だけでなく構造物にもあります。

制振・免震・耐震

道路橋は、供用期間中に発生する確率の高い地震動に対しては健全性を損なってはならないこと、また供用期間中に発生する確率は低いが、大きな強度を持つ地震動に対しては致命的な被害を防止するか限定した損傷にとどめることとしています。これらの対策のために、道路橋には制震装置を組み込んで大地震動による地震動のエネルギーをそこで吸収する仕組みを設けたり、積層ゴムなどによる免震層で集中的に地震動のエネルギーを吸収したり、大地震動に遭遇したときに崩壊しないような耐震性能を向上させた設計を行っています。

地震動のエネルギーを吸収する部分があれば安心です。

巨大地震から構造物の倒壊を防ぐ!

構造物は、「強度」材料の引張強さと「変形性」ねばりの関係等で設計されます。強度も高く、変形能(靱性)も大きいことが最も良いのですが、そのような材料は入手困難で高価なため実現性は低くなります。地震力は、構造物が変形して吸収され、弾性域で吸収できなくなると塑性域に移行し、塑性変形でも吸収できなくなると破壊します。エネルギー吸収量=力×変位量ですから、その領域がエネルギー吸収量になります。中程度の強度材料で高靱性にして変形能を向上させるとエネルギー吸収量は大きくなり最終的な破壊を防ぐことができます。

構造物の変形性能を向上させると破壊を防ぐことができます。

「知」の時代の社会連携

「知識社会」の到来により地域活性化には、新技術の研究開発や新事業の創出が必要不可欠となりました。そのために、「産」民間企業やNPO等・「学」大学や高等専門学校等・「官」国や地方公共団体による産学官連携への動機が高まっています。最近は産学官に加えて「金」金融・「労」労働界・「言」マスコミも加わって進める雰囲気が醸成されています。新教育基本法では、研究成果の社会還元が大学の使命のひとつに明記され、特許などの知的財産を活用した産学連携が活性化されています。福山大学でも、これらの社会連携を推進しています。

産学官連携は「知」の種を育成する場を提供します。