薬学部

Faculty of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences

【薬学研究科】未来のがん治療へ挑む大学院生たち 博士課程3年生2名が中間発表会で研究成果を発表!

【薬学研究科】未来のがん治療へ挑む大学院生たち 博士課程3年生2名が中間発表会で研究成果を発表!

薬学研究科では、博士課程3年生を対象とした「中間発表会」を実施しています。中間発表会は、大学院生がこれまで積み重ねてきた研究成果を教員や学生の前で発表し、異なる専門分野からの意見や助言を受けることで、研究をさらに発展させる重要な機会です。

今年度の発表会について、以下は今重之 薬学研究科長からの報告です(投稿は五郎丸です)。

 


今年度は8月31日(月)、未来創造館3階にて開催され、博士課程3年生の要田恒希さんと水野翔太さんの2名が研究成果を発表しました。両名はすでに、それぞれ筆頭著者として2編の学術論文を国際誌に発表しています。 今回の中間発表では、これまでの成果に加え、現在進めている研究と今後の展開について発表し、多くの教員・学生と活発な議論を交わしました。

【発表者および研究内容】

要田 恒希 さん(衛生薬学研究室)
演題:「エストロゲンシグナル撹乱因子としてのカドミウム:閉経前後のモデル環境における解析」

要田さんは、環境中に存在する重金属「カドミウム」が、乳がんにおける女性ホルモンの働きに及ぼす影響について研究しています。これまでの研究から、ごく低濃度のカドミウムであっても、多くの乳がんで重要な治療標的となる「エストロゲン受容体」を介した細胞応答を変化させ、さらに抗がん薬の効果を減弱させる可能性を明らかにしてきました。これらの成果は、抗がん薬が効きにくくなる治療抵抗性の仕組みの解明や、患者さんの生体内環境を考慮した新たな治療戦略の開発につながることが期待されます。

 

水野 翔太 さん(医薬品化学研究室)
演題:「新規カンプトテシン類似体 アロマテシン誘導体の効率的合成法の開発および抗腫瘍活性評価」

水野さんは、優れた抗腫瘍活性を持つ一方で、化学的安定性などに課題を有するカンプトテシン類の課題克服に取り組んでいます。そのため、安定な骨格を持つ「アロマテシン類」に着目し、熱環化反応を鍵反応とした効率的な骨格構築法を確立するとともにその合成法をアロマテシンの誘導体合成にも応用しました。さらに、合成した化合物の抗腫瘍活性も評価しており、より優れた特性を持つ新たな抗がん薬候補の創出へと研究を発展させています。

 

中間発表会には、多くの教職員、大学院生、学部生が参加し、発表後には活発な質疑応答が行われました。

2人とも、専門分野の異なる教員から寄せられた質問に対し、これまでに得られたデータを示しながら丁寧に回答しました。さまざまな視点から研究について議論することで、自らの研究をあらためて見つめ直し、次の研究へつなげる貴重な機会となりました。今回の中間発表会で得られた新たな視点や助言を今後の研究に活かし、博士学位取得、そして次なる研究成果へ向けたさらなる飛躍が期待されます。

両名のこれまでの研究成果は、以下の学術論文として国際誌に掲載されています。
・Kanameda K., Honda A., Hirao-Suzuki M., Sugihara N., Takiguchi M., Takeda S. Interactions between cadmium and 17β-estradiol at physiologically relevant levels evoke unsynchronized events in MCF-7 breast cancer cells: Impaired cell growth and activation of estrogen receptor a-related pathways. Toxicol. Appl. Pharmacol., 500: 117360 (2025).

・Kanameda K., Hirao-Suzuki M., Takeda S. Cadmium interferes with the antiproliferative effect of fulvestrant in endocrine therapy-resistant estrogen receptor α-positive breast cancer cells. Toxicol. Lett., 416: 111829 (2026).

・Mizuno, S., Nishiyama, T., Endo, M., Sakoguchi, K., Yoshiura, T., Bessho, H., Motoyashiki, T., Hatae, N., Choshi, T. Novel Approach to the Construction of Fused Indolizine Scaffolds: Synthesis of Rosettacin and the Aromathecin Family of Compounds. Molecules, 28, 4059 (2023).

・Mizuno, S., Nishiyama, T., Bessho, H., Nakamura, T., Oe, T., Hayashi, N., Hieda, Y., Motoyashiki, T., Hata, T., Hatae, N., Choshi, T. Total Synthesis and Biological Evaluation of 22-Hydroxyacuminatine and the Related Natural Products Norketoyobyrine and Naucleficine. Molecules, 30, 2650 (2025).

 

【中間発表会を終えた大学院生のコメント】

要田 恒希さん:「中間発表会では、様々な分野の先生方から多くの質問や助言をいただきました。また、発表を通して自身の研究内容を見つめ直し、今後の展開を考える有意義な機会となりました。現状に満足することなく、今後もより一層研究に励んでいきたいと思います。」

 

水野 翔太さん:「普段は有機合成を主として研究を行っておりますが、中間発表会では有機合成にとどまらず、多角的な視点からのご質問・ご助言をいただき、視野を広げる貴重な機会となりました。本発表を通じて得られた議論や経験を大きな糧とし、今後さらに研究を深めていけるよう精進してまいります。」

 

【今重之 薬学研究科長からのコメント】
今回発表した2名の研究は、環境因子が生体に及ぼす影響を追究する「衛生薬学」と、既存薬の課題を克服し新たな医薬品を生み出す「医薬品化学」という、異なるアプローチから未来のがん治療に挑む研究です。

基礎研究から生まれる一つひとつの知見が、将来のより安全で効果的な治療へとつながっていきます。日々真摯に実験に向き合い、国際誌への論文発表を含め、着実に成果を積み重ねている大学院生たちを大変頼もしく感じています。

本研究科から、次世代の医療を拓く研究者、そして新たな創薬・医療イノベーションを生み出す人材を育てていけるよう、今後も研究・教育環境のさらなる充実に努めてまいります。

未来の医療に挑む本学大学院生たちの、今後の成長と活躍にぜひご期待ください。

※福山大学大学院薬学研究科では、今後も大学院生の挑戦を全力で支援し、未来を切り拓く研究者の育成に取り組んでまいります。
薬学研究科(博士課程)の募集要項・入学試験については、下記ページをご覧ください。

福山大学 | 大学院選抜

 

学長から一言:大学院薬学研究科で開催された博論完成に向けた中間発表会で日頃積み重ねた研究成果を発表し、参加者を交えた質疑応答を行った要田恒希さんと水野翔太さん、お疲れ様でした。二人の研究テーマはがん治療につながる内容。完成の暁には、世の中にとって大変重要な意味を持つ研究となることでしょう。これから益々の研鑽を積んで、満足いく結果を生むように頑張ってください。応援しています。

 

 

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