【☆学長短信☆】No.14 「学長賞を考える」

まもなく春の学長賞を授与する時期がやってきます。学長賞については、学則の第39条に定める学生に対する表彰の規定に基づき、平成13年に表彰の手順を定めた「細則」が設けられました。その後、平成24年には同細則の運用に関して、受賞者の選定基準がさらに詳しく取り決められました。学長賞には、春(56月)に各学年の在籍者を対象として表彰する場合と、冬(1月)に卒業・修了年次でない学生・院生を対象として行う表彰、そしてさらに、学位記授与式、つまり卒業式において表彰するために、卒業生の中から受賞者を選ぶ場合と、年3回の表彰時期があります。 

学長賞を授与する対象分野はいくつかに分かれています。まず、学業部門ですが、春の表彰では学部在籍者のうち前年度の学業成績が当該所属学科で各学年トップの学生が選ばれ、冬の表彰では、その年度の学業成績が優秀であったばかりでなく、全国規模の学会活動で顕著な業績を上げることが求められます。卒業して行く学生については、在学期間中を通じて各学科や研究科で最も優れた学業成績を修めた人が選ばれます。その際、単位を取得した各科目で獲得した素点の平均点や、秀・優・良・可などの成績を特定の計算方法によって数値化した成績評価値、いわゆるGPAだけではなく、卒業論文や学会活動等での研究発表において優れた学術的な功績をあげたことが選考の根拠となります。 

次に、学業以外のいくつかの部門を見ると、一つはスポーツ部門。各種競技において適正な予選を経て全国大会に出場するか、あるいはそれと同等の顕著な活躍をした個人又は団体が対象です。文化部門では、芸術その他の各種文化活動においてやはり全国的なコンクールなどでの入賞、あるいは適正な予選をへて全国大会に出場したり、それに匹敵する顕著な活躍をしたりした個人又は団体が表彰されます。さらに、社会活動部門では、ボランティア活動、人命救助、犯罪防止、災害対応等の社会活動において、影響が全国的にも波及するような功績があった個人又は団体が表彰されます。 

過去の受賞者を遡って見てみると、学業優秀者はさておき、さまざまな理由で表彰された人たちの記録が残っています。車を運転中に側溝に脱輪して運転席でアクセルを踏んでいた女性を炎上寸前の車から救い出し、人命救助をしたことで福山西警察署長から感謝状を授与された人。何年にもわたりボランティア活動の一環として月一回の芦田川清掃活動に取り組み、福山市から「善行市民賞」を贈られたボランティア部の代表者。1年次から本学学友会サッカー部の主要選手として、U-17全日本大学選抜のメンバーに選ばれたり、中国四国大学選抜や広島県成年国体選抜の選手として活躍し、本学サッカー部を中国大学サッカーリーグやインディペンデンスリーグでの優勝に導く上で多大の貢献をしたりするなど、常に他の選手の模範となった人等々、輝かしい活躍をした人たちを見いだすことができます。 

受賞候補者は各学部から推薦され、学生委員会で十分に審議された後、学長のところへ候補者リストが回ってきて、最終的に判断を下します。そして、受賞者には賞状と副賞を贈りますが、春と1月の在学生には特製の筆記具、卒業時には、例えば次の写真のような、特製のメダルや楯を賞状とともに贈ります。 

学業成績については客観的な基準があり、受賞者を決めるのはそれほど難しくはありません。一方、スポーツや文化活動は全国大会出場と言っても一括りにできないほど、その出場の難易度には差があります。さらに社会活動に至っては、内容もさまざまで、選考する委員の皆さんは甲乙を付けるのが容易ではないでしょう。例えば、過去のどこかの時点で表彰されたことがある事柄と同様の活動が、年度ごとにメンバーは入れ替わっても息長く継続されているケースがあります。日頃身近に見ている学生諸君を毎年でも受賞者に推したいと思うのも「親心」。その場合、当該活動の影響が「全国的にも波及するような」という細則や運用の覚え書きに盛り込まれた文言は、良い「落としどころ」を示していると思います。学部により温度差もあるようですが、所属する学生の功績を何としても顕彰したいと思う気持ちと同時に、候補者を推薦する際には、水平的にも垂直的にも彼我を相対化して見る知恵と姿勢が必要でしょう。そうした検討が尽くされた結果であれば、学生諸君の頑張りを大いに讃え、さらに大きく飛躍してもらいたいと励ます「得な役どころ」を喜んで務めさせて頂こうと思っています。さあ、今年はどんな人たちの功績が上がって来ることでしょう。 

いずれにせよ、学長賞の記念のメダルや楯が受賞者にとって長く「宝」となり、次の頑張りの励みになればと願うばかりです。