【☆学長短信☆】No.135 援助要請スタイル

例年通りの青く高く澄んだ秋の空の下、後期の授業が始まっています。対面授業と遠隔授業のハイブリッドです。これ以上コロナ事情が悪い方向に向かわないことを祈るのみ。

さて、私たちは困ったときはまず自分で何とか解決しようとし、それでうまくいきそうにない場合は、そのことで力になってもらえそうな他者に助けを求めます。これは援助要請のスタイルとしては健全でしょう。人に援助を求めるという行動は、助けを求められた人にとって迷惑なこともありますが、その人との関係を深めるきっかけになることもあります。学生の場合、援助要請が学生同士の友情形成につながることもあれば、教員との信頼関係形成のきっかけになることもあります。学生には、自分でいろいろ試行錯誤してもうまくいかず行き詰ったときは相談できる、そういう友人を大学時代に作ってほしいですし、教員には相談相手になれる人生の先達であってほしいものです。

しかし、よく考えれば自分で解決法が見つかるようなことまで、いちいち人を頼って相談する傾向の強い、そのような援助要請スタイルの学生には、自立を促すことも大切です。問題の自力解決力を強くすることも、適切な援助要請の技能を身につけることと同様に、学生時代の重要な学習課題です。

対応の難しいのは、悩みが深刻でも、一人で解決できそうになくても、抱え込んで人に相談しない、すなわち援助要請しない・できない学生です。必要なときに適切に他の人や機関の力を借りるという技能も、大学生の間にぜひ身に着けてほしいことです。そのためには、「相談してよかった」という成功経験が大切です。教員が、そのような成功経験の場をうまく用意することが出来れば、学生にとっては一生の財産を得ることになるでしょう。

 

参考文献:

永井智著『援助要請スタイル間の差異に関する探索的検討』教育心理学研究 2019年 第67巻 第4 pp.278-288.

 

お知らせ:

教員の受賞2件です。いずれも優れた教育にまつわるものです。

1)薬学部の特徴的教育である「コミュニケーション交流学習」が評価され、第5回日本薬学教育学会大会において、薬学部井上裕文教授が「教育実践奨励賞」を受賞しました。おめでとうございます。

詳細は、学長室ブログで。

https://www.fukuyama-u.ac.jp/blog/39719/

2)工学部の香川直己教授、沖俊任准教授が、マツダ㈱や広島大学の方々と共著で出版した著書「実習で学ぶモデルベース開発」が、『産学連携によるモデルベース開発(MBD)教育のための教科書の著作』である事が評価されて、日本工学教育協会の2019年度工学教育賞(著作部門)を受賞しました。おめでとうございます。

詳細は、学長室ブログで。

https://www.fukuyama-u.ac.jp/blog/39907/

教員の活躍です。

3)生命工学部の佐藤淳准教授が、日本哺乳類学会の英文誌“Mammal Study”の編集長に就任しました。私立大学では初とのこと。詳細は、こちら。

https://www.fukuyama-u.ac.jp/news/40005/

 

社会連携です。

4)本学、(株)サンテック、太陽誘電(株)が協働事業契約を締結しました。また、三者に福山市が加わって河川等状況監視システムの実証実験に係る協働が行われることになりました。

詳細は学長室ブログで。

https://www.fukuyama-u.ac.jp/blog/39992/