令和7年度 第3回 教養講座の開講について

【日 時】 令和7年9月25日(木)10:40~〔開場10:10~〕
【場 所】 大学会館1階ホール
【演 題】 ポストコロナの社会規範と社会制度
【講 師】 児玉 聡 氏
京都大学 大学院 文学研究科 倫理学研究室 教授
【講演概要】
日本でコロナ禍と呼ばれたCovid-19パンデミックに対する政府の対応については様々な議論がなされてきた。とくに下記の三点が重要である。
1、今回のパンデミックに際して、外出制限やマスク着用といった個人の行動に関しては、日本では基本的に自粛や協力を「要請する」というお願いベースであった。日本では、公衆衛生には強制が必要な場合があるというコンセンサスが失われている。
2、医療資源の需要が供給を大幅に上回る事態が生じた場合にはICUトリアージは避けられない。もちろん普段から医療体制を整備することで、このような事態を極力避けることが望ましいが、今回のような事態が発生した場合に備えて平時から検討を行うべきである。
3、今回の日本のパンデミック対応でもう一つ特徴的に思われたのは、パンデミックを「災害」と捉えない理解である。なぜ感染症の流行が災害とは捉えられないのか、またそもそも災害とは何なのか、「防災の倫理」の研究が必要である。
本講演では、コロナ禍での社会状況について振り返りながら、ポストコロナの社会規範と社会制度について論じたい。




