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海洋生物科学科

倉掛 昌裕(くらかけ まさひろ)

職 名 教授
学 位 博士(工学)
専門分野 食品科学、微生物学、糖質科学、酵素工学、バイオマス
担当科目 食品機能科学、食品衛生学、微生物発酵と食品、食品の安全管理、食品バイオテクノロジー、化学Ⅱ
メッセージ 海洋資源は豊富で未開発のものがたくさん存在し、糖質や抗酸化物質等の機能性食品への開発利用が期待できます。微生物の酵素を用いたキチン等からのオリゴ糖等の糖質の開発、様々な海藻類からの抗酸化物質等の機能性物質の探索を行い、それら海洋資源の有用性について調べています。

紅藻類由来カラギーナンからのオリゴ糖の開発

カラギーナンは食品添加物のゲル化剤や増粘剤として広く利用されており安価です。このカラギーナンを低分子化してオリゴ糖にすることで、機能性を有し付加価値が高められます。本研究では自然界からカラギーナン分解菌を探索し、その菌が分泌する酵素(カラギナーゼ)を利用してカラギーナンを分解し2~3糖類のオリゴ糖を作り出す研究をしています。得られたオリゴ糖はヒト腸内酵素では分解できず、大腸にてビフィズス菌に利用され整腸作用が期待できます。また藻類由来の糖類は硫酸基を有しているのでイオン性を有しており抗菌性等も期待できます。

カラギーナンからオリゴ糖へ

カニ殻由来のキチンから新規糖質の開発

カニ殻から得られるキチンはN-アセチルグルコサミンがβ‐1,4‐結合した多糖類で、医療や健康食品などに利用されています。この構成単糖であるN-アセチルグルコサミンはアミノ糖で関節炎の改善効果が報告されています。本研究では自然界より微生物由来の糖転移酵素を見つけ出し新規糖質の開発を行います。ここでの糖転移酵素はキチンを分解すると同時に、N –アセチルグルコサミンを遊離する前に他の物質(受容体)に結合させる酵素で、例えばブドウ糖を反応に加えておくとブドウ糖にN-アセチルグルコサミンが結合した2糖類のオリゴ糖が得られることになります。この受容体となるブドウ糖を他の糖に変えることで多様なオリゴ糖が合成できることになります。

カニ殻キチンを有用糖へ

海洋資源からの抗酸化物質の開発

ポリフェノールでよく知られている抗酸化物質は果物や野菜のだけでなく海洋資源にも存在します。カニやエビを茹でると赤色になりますが、この色素であるアスタキサンチンは高い抗酸化性を有し、化粧品や食品に利用されています。海洋資源にはまだまだ未知の抗酸化物質が存在します。本研究では様々な海藻類からウニまで、そのポリフェノール量や抗酸化性を調べ、新たな抗酸化物質に探索を行います。

海洋資源からのポリフェノールの探索