学部・学科・大学院

海洋生物科学科

泉 貴人(イズミ タカト)

職 名 講師
学 位 理学博士
専門分野 系統分類学・進化学・刺胞動物学
担当科目 生物学II・水生鑑賞生物の分類と進化・水生生物の生態と環境・博物館概論・博物館資料保存論など
メッセージ 海で見られるクラゲやイソギンチャク。なじみ深い生物なのに、よく見れば非常に不思議で、神秘的な姿をしています。彼らに魅せられ、研究の世界に踏み込んだ男がここに一人!各地の水族館や研究施設と共同しつつ、分類・生態や進化の研究をしています。
この分野、時に新種も見つかるような正に“ブルーオーシャン”。さあ来たれ!

瀬戸内海のヒドロ虫クラゲの出現を調査せよ!

海に漂うクラゲをご覧になった方も多いはずです。しかし、海中にはもっと、もっと小さいクラゲがたくさん生きているのです。これらは“ヒドロ虫”というグループに属するクラゲであり、まさに「プランクトン」といった趣き。
私は、福山大学の面する瀬戸内海でプランクトンネットを使い、小さなクラゲたちを採集しています。採集したクラゲは顕微鏡で観察し、種類を判別することで「分類」します。時に、今まで知られていない新種が出現することもあります!

プランクトンネットを船で曳く(写真提供:中野裕昭氏)

誰も知らない?“電気クラゲ”の赤ちゃんを探れ!

カツオノエボシは、日本を含む世界中の海に棲むクラゲの仲間です。青い風船のような姿をしており、紐のような触手の毒は極めて強く、“電気クラゲ”の異名で有名です。しかし、ここまで有名な生物にも関わらず、この生き物は飼育が一切成功しておらず、かつ子供の頃の姿が知られていません。
私は新江ノ島水族館などと連携しながら、漂着したカツオノエボシを飼育するとともに、その発生を調べることで、電気クラゲのライフサイクルを証明する試みをしています。

カツオノエボシ(通称“電気クラゲ”;写真提供:山本岳氏)

カイメンとイソギンチャクの数奇な共生関係とは?

2018年、世間をにぎわせるような面白い新種のイソギンチャクを発表しました。海老の天麩羅に似ているので「テンプライソギンチャク」と名付けたこの生き物は、衣のような別の生物「ノリカイメン」と共生関係にあります。イソギンチャクとカイメン類との共生の例は殆ど存在せず、生態的に大変興味深いものです。
私は鳥羽水族館や菅島臨海実験所(名古屋大学)などと連携しながら、テンプライソギンチャクの共生体の飼育を行い、共生の成り立ちや繁殖などを調べています。

テンプライソギンチャクとノリカイメン(写真提供:伊勢優史氏)

水族館の水槽から、新種を見つける。

レジャー施設として非常に人気な水族館ですが、昨今、その学術的な価値が見直されつつあります。即ち、各地の水族館で飼育される生物の“生体情報”こそ、生物学の研究にかけがえのない資料ということです。
私は各地の水族館と連携しながら、飼育されているイソギンチャク類やクラゲ類の分類を調べています。時に、水族館の水槽から新種が見つかったり、誰も知らなかった繁殖が明らかになったりと、素晴らしい成果を挙げることがあります。
2019年に発表されたチュラウミカワリギンチャクは、沖縄美ら海水族館の水槽に15年も飼育されたのち、水族館の名前を冠した新種となりました!

水槽のチュラウミカワリギンチャク(写真提供:沖縄美ら海水族館)

イソギンチャクの祖先はどんな形をしていた…?

ある生物の祖先がどんな形をしていたか、調べるのは非常に難しいものです。特に、化石の残らない柔らかい生物では、現在生きている種類のDNAの塩基配列の分析を行い、「系統樹」を描くことで、祖先がどのような形をしていたのかを調べる方法が用いられます。
私は主にイソギンチャク類を対象に、DNAを用いた分子解析を行い、系統樹を作成しています。系統樹は様々なことを教えてくれるもので、例えば伝統的に“祖先的である”と言われていたグループが実は比較的新しくできた形であることがわかり、進化の定説が丸ごとひっくり返ったことも!

イソギンチャク目の系統樹